動機:水の硬度
そもそもの話であるが、水の硬度とコーヒーや紅茶のできに関係があることが知られている。
コーヒーや紅茶を「淹れる」ことは一種の化学反応(水温や水の成分などの各種条件で、どの物質が溶け出すかが変わる)だから当然ではある。ここで注意すべきは、紅茶の場合は硬度が高いと 茶葉の成分が出難くなる のに対し、コーヒーの場合は 溶け出す物質が変わる(≒味が変わる)ため、論点が異なる。「紅茶には軟水が適する」という主張は正しいが「コーヒーには軟水(あるいは硬水)が適する」という主張は※単なる個人の見解です的な話である。
例えば筆者が使用しているNespressoマシンにも水の硬度に合わせて設定するよう説明書に記載があり試験紙が付属している。
実は筆者が悩んだのはここである。筆者はアイルランド在住時からBritaを愛用しているのだが、当然ながら水道水とBritaで濾過後の水とでは水質が異なるし、また、Britaの互換カートリッジには水質調整が可能なカートリッジも存在する。言い換えれば、使う水によってNespressoマシンの設定を変更する必要がでてくる。Britaや互換カートリッジは概ね150 Lでの交換が目安だから、筆者の場合は約3カ月に1回の頻度でカートリッジ交換が発生し、その都度Nespressoマシンの設定を変更するのが望ましいはずである(※Britaのカートリッジ交換の目安について「1カ月」という指標もあるが、それは「1日5.3 L(1カ月で150 L)濾過」が想定されている。筆者は独身で会社勤めだから家では1日あたり1.5 Lほどしか消費しないので100日ほどもつ想定である)。
以上枕部分が長くなってしまったが、上述の理由でBMUT製水質チェッカーを買ってみた、というのが本稿の本題である。これは誘電率・硬度・水温が数秒で測定できる優れものである。
水の硬度の測定・Britaカートリッジの検証
以下が「軟水」や「硬水」と呼ばれる分類のISO基準だが、日本の水道水は概ね100 ppmで中軟水となっており、欧州の水道水は英国・アイルランド以外は硬水が多い。筆者の住むスイスの水道水はさすがアルプスの御膝元だけあって超硬水である。
Warter Hardeness (mg/L or ppm) | |
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軟水 | 0 - 60以下 |
中硬水 / 中軟水 | 60 - 120以下 |
硬水 | 120 - 180以下 |
超硬水 | > 180 |
以下が水質チェッカーでのテスト結果である。もちろん、水道水は地域や季節・Britaはフィルターの状態などによって変化する可能性はあるのであくまで目安だが、水道水とフィルター後の水とでは大きな違い(超硬水→硬水)があることが判る。
Warter Hardeness (mg/L or ppm) | |
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水道水 | 188 |
Brita Maxtra+ | 133 |
Wessper Hard Water | 137 |
個人的に驚いたのは硬水用のWessper Hard WaterカートリッジよりもBrita Maxtra+純正カートリッジの方が硬度が下がったことだ。これもカートリッジの状態(使用開始直後・寿命直前など)によっても変化しそうだから目安でしかないが、ミネラルを追加したい(マグネシウム・アルカリ)というような場合はともかく、単に硬度を下げたいだけであれば専用のカートリッジは必要なくBrita純正カートリッジでいいことが確認できた。
余談であるが、水の硬度を下げると紅茶がおいしくなる他にも利点はある。それは、Amazonの商品紹介にも「household appliances」という記述があるのだが、コーヒーマシンや電気ケトルなどで水垢を抑えることができる点である。硬水をコーヒーマシンや電気ケトルで沸騰させるとミネラルが塩のように固着してしまうため、硬度を抑えることでミネラルの固着を多少は抑制できる(軟水の日本ではあまり関係ないかもしれないが)。
ずっと胃の調子が悪く、検査しても異常なし。もしかして、水かな?と思って、最近ずっと水を煮沸して、コーヒーフィルターを二重にして濾過したり、フランスへ行ってvolvicを買ってみたりしてましたが、夏になったらこんなことやってらんないなと思ってました。
数日前、ブリタの話を友人から聞き、買ってみようかなと思ってましたが、硬度がどのくらい下がるか気になってたんです。スイスの硬度も知らなかったし。でもご自分で調べられたんですね、すごいですよ!
スイスは超硬水なんですね。やっぱり。そんな気がした。ブリタのフィルターで硬水にまで下がるけど、やはり軟水までは行かないんですね。でも、それでも飲みやすいなら購入したい。煮沸しても、舌触りがまだ固さが残りますが、家族4人で一日5Lは飲むし、料理にも使うから、沸かしてらんないです~。Coop やMigrosどちらでも売ってますか?
すみません。コメント頂いていたことに気が付きませんでした(2ヶ月間…)…失礼致しました。
さて、御質問頂いていた件ですが、既に解決されましたでしょうか?
硬質の水で腹痛を起こす体質の人がおられることは把握しておりますが、私自身は超硬質(ミネラルウォーターでいうとContrex)でも問題ない体質のため、実体験で説明することはできません。御了承ください。
Britaのボトルやフィルターは大きめの店舗であればMigrosやCoopやCoop傘下のInterdiscountなどで購入可能です。店舗の種類の関係上Interdiscountの方がありそうな気がします。
もし御家族で常用されるということでしたら大き目のタンクが便利かもしれません。Britaには5.2Lタンクもあります(フィルターカートリッジは同じものです)。「BRITA Tischwasserfilter Flow XXL」で検索してみてください
実店舗ではなくネット販売でいいのであれば、ブログ本文のリンクを使ってドイツAmazonからの購入が手軽です(ドイツAmazonはスイスでも配達してくれます)。硬度メーターはドイツAmazonがオススメです(リンクはアフィリエイトではありません)。私の認識が正しければブログ本文で御紹介した硬度メーターのBMUTはドイツの会社・互換カートリッジメーカーのWessperはポーランドの会社で、スイスの店舗ではやや手に入り難いかもしれません。
以上、御役に立てれば幸いです。