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私的コラム&雑記(&メモ)

ゲーマーじゃないのにゲーミングPCが気になる理由

2018-04-29 | テクノロジー

 ITメディアで佐藤氏の記事は不定期ながらチェックしているのですが、その中で「ゲーマーじゃないのにゲーミングノートPCが気になる理由」なんて記事があって思い出したので書いてみる。

※私はラップトップPCのキーボードで困ったことは無い

 「〇〇さんの話で思い出しました」と言っても同じネタではありません。
 実は私はラップトップ2代目以降はLenovo ThinkPad、Dell Inspiron/Latitude/Vostroぐらいしか候補にありませんでした。これは米国製品好きというのではなくてDIYできないからです。そして、そもそもラップトップ機に拡張性能など求められませんから、メモリーの増設やHDDの換装に限った話でもありません。では何かというと――ThinkPad X220を2011年から7年間も使い続けて何も問題なかった秘訣は年1回の頻度でキーボードとパームレストを交換してきたからです。そのためにはメーカー側がメンテナンスのためにユーザーが分解することを黙認していて、しかもeBayや専門店でパーツ単位で入手できなければなりません。

 私の使用するThinkPad X220を例に取って見れば、「X220 マニュアル」と検索するだけでハードウェア保守マニュアルのPDFファイルがヒットします。中を見れば内部の構成図や部品の交換方法まで記載があります。実際、マニアでなくても可能なぐらいに内部へのアクセスは容易です。加えて「ThinkPad X220 Keyboard」とか「ThinkPad X220 Palmrest」で検索するだけでeBay上で出品されている保守部品がヒットします。キーボードやパームレスト以外でもバッテリーやWi-Fiカード等――極端に言えば部品だけ買ってPCを組みなおせるほど――の部品も入手できます。実は3年ほど前に衝撃でSATAのコネクター廻りが故障してしまいメイン基板を交換したほど。

それでもゲーミングPCが気になる理由

 本題に戻って、では何故ゲーミングPCが気になるのか。
 私が気になっているのはラップトップPCではなく小型デスクトップPC、Alienware Alphaです。先日も記事にしましたが、私は2機ほど小型デスクトップPCを使用していまして、その買い替え時にAlienwareにすることを検討しています。理由はGeForce GPU。AppleのMac ProワークステーションなどでもNVIDIA Quadro/GeForceやAMD Radeonが採用されていますが、Adobe Photoshopをはじめとするグラフィックスアプリケーションや動画編集アプリケーションにはGPUアクセラレーションが有効なものが少なくありません。OpenCLなどのGPGPUやGPUに内蔵の動画デコード/エンコード支援機能が使えます。

 そして、これはデスクトップ用途に限った話でもありません。例えば仮想マシンホストやVDIサーバーとしてリモートで使用する場合でもGPU Passthroughすれば1台だけならGPUアクセラレーションが利用可能ですし(複数台で使用したい場合はGPU仮想化に対応したNVIDIA Teslaを使用する必要あり)、動画ストリーミング配信サーバーとして使用する場合でも、オリジナルが高画質の動画をリアルタイムでダウンサンプリングして配信することが可能です(後述)。

 ちなみに、LenovoはThinkCentreのワークステーション版でThinkCentre P320 Tinyを出していますが、お値段$950。企業向けと個人向けで一概に比較できませんし、Alienwareで類似の構成を選ぶと$900してしまうので微妙ですが、Core i3版なら$599からありますし、相対的に入手性が良いのも魅力といえます。

 ところで話が脱線しますが、動画のエンコード/デコードというとIntel GPUにもQuickSync Video(QSV)なんてものが搭載されていますが、速度はともかく画質はイマイチという評判で使用したことがありませんでした。2年前までは。ところが自宅でPlex(宅内ビデオストリーミング配信)サーバーをたてたところ、QSVを使えばPlexで高画質・高ビットレート動画をゼロコピーで帯域に合ったビットレートにリアルタイムで変換して配信できると解り、非常に重宝しています。今は既に手元にあるQSVで運用していますがGeForce(というかGeForceに内蔵のNVENC/NVDEC)だと対応フォーマットの幅が広いので、より快適なはずです。

 個人的に気がかりなのはValveがSteam Machineを止めるのでは?というウワサ。もともとAlienware AlphaはSteam Machine用として開発され、ValveのSteam Machine発表が遅れたためWindows PCとして発売されたという経緯があります。そのValveが完全にSteam Machineを止めてしまうとなると…果たしてDell/Alienwareは次世代=R3を作ってくれるのでしょうか…?

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今週の興味深かった記事(2018年 第17週)

2018-04-29 | 興味深かった話題

 先週とは打って変わって、イマイチ面白い記事がなかった…ということで興味深かった記事二件

NTTドコモなど3社 漫画やアニメの海賊版サイト遮断へ

 NTTドコモなど3社 漫画やアニメの海賊版サイト遮断へ (Sankei Biz)
 漫画村問題、キーマン官僚が全疑問に答える「緊急対策からNTTサイトブロッキングまで」 (Business Insider Japan)


 インターネットが普及し始めてドットコムバブルなんてものがあってから20年近く経つわけですが、これまでNapsterやWinMXなど著作権にまつわる様々な問題が世界中で起こり、米国の場合は1998年にDigital Millennium著作権法(通称DMC)なんてものも成立しました。日本でもWinny騒動なんてものもありました。そんな20年を経て世界有数の先進国にして自称:技術立国たる日本が出した回答とは………

法的根拠も無しに通信を検閲して遮断することにした!

………もう苦笑するしかない。「問題が起こる→鎖国する」っていう発想はどうにかならないんですかね?

 いろいろとツッコミたいことはあるのだけど、それは脇に置いておいて、これだけ述べれば済むのでは
 欧米ではCrunchyrollやFunimationというNetflixのアニメ版のようなサービスが存在し、月額$5.00/€5.00前後(国による)で利用できる。最新のタイトルが数時間の時差だけでサイマルキャストされるほか、年あたり30本前後(クール毎に8本ぐらい?)がオンデマンドに追加され何時でも視聴できる。Crunchyrollに至ってはタイトルは限定的ながらもマンガも読み放題である。

 何が言いたいかというと、漫画村の問題は著作権違反というだけでなく、日本国内のコンテンツへのアクセスの悪さ(高価・フォーマットが限定的など)を示しているのに、なぜか著作権違反だけクローズアップされている。米国・欧州のアニメ・マンガファンの方がコンテンツに容易にアクセスできている(…と言えるかもしれない…)事実を無視している。アニメ(動画)に関してはNetflix・Hulu・Amazon Prime(いずれも外資)の参入で改善されつつあるとしても、マンガはそうではない。それほどまでに漫画村が問題というのであれば、漫画村にアクセスするユーザーを潜在的な顧客と捉えて代替のサービスを考えるってことができなかったのが不思議でなりません。

Jim Keller氏がIntelに移籍

 Jim Keller Joins Intel to Lead Silicon Engineering

 現在業績が好調なAMDを支えてるRyzenおよびEpycプロセッサーの開発を主導したJim Keller氏は2017年2月より自動運転のハードウェアエンジニアリングのトップとしてTesla Motorに在籍していましたが、このほどIntelに移籍することが発表されました。

 1年やそこいらで成果がでるはずもないので、Intelのオファーが魅力的だったのかTeslaが気に食わなかったのか、あるいはその両方か。

 自動運転にはDeep Learningが関係するため、マイクロプロセッサーベンダーにとっては新興の市場となります。現在はNVIDIA一強状態ですが、Snapdragonをもち自動車半導体に強いNXPを買収したQualcommのほか、Deep Learning用プロセッサーを手掛けるMovidiusを買収したIntelも虎視眈々と狙っています。Teslaが独自プロセッサーを設計するにあたりAMDのプロセッサー部門の元トップを招聘したということで、(PlayStation 4やXBOX Oneのように)AMD製のカスタムプロセッサーの採用も想定できたはずですが…専用マイクロプロセッサーに関する限りTeslaの先行きは怪しそうに見えます。

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Intel Clear Linux

2018-04-28 | テクノロジー

 Intel謹製のClear Linuxを試用中。

 Linuxユーザーは各々で好みのディストリビューションがあろうかと思いますが、私が使用するのは専らDebianとAlpineです。この二種類には完全な棲み分けがあって、旧来型の様々なサーバーを走らせる用途・より汎用的な用途にはDebian、自分で組込める前提でネットワークアプライアンス的に使いたいならAlpineといった具合。デフォルトで消費するメモリーの目安としては全社が128MB・後者が16MBぐらい。

 さて、Clear Linux。
 結論から述べると、仮想化環境などでFedora Atomic HostだとかAlpineだとかを使っているような人には興味深いディストリビューションだと思いますが、クセが強めなので初心者にはお勧めしません。サポートの状況が不明ですしローリングリリースモデルを採用しているので、企業での使用はともかく十分なスキルがある個人ユーザーには一見の価値ありと思います。

 CPU屋であるIntelの純正とあってハードウェアに対する要求がやや高めで、UEFI必須なほかSSE1~SSE4.2およびセキュリティー関連の命令セットとしてAESとCUMULが必須。これに該当するのはIntel Westmere以降とAMD Jaguar/Bulldozer以降といずれも2011年以降のCPUのみのサポートに限定されますが、これは他のディストリビューションが「i686/32-bitサポートやめます」とか言っているのとは実に対照的です。その一方でパフォーマンスはなかなかのもの(Intel Gen 8 CoreAMD Ryzen)。先述の通り比較的新しいCPUに最適化されているうえ、デフォルトのインストールだとパッケージは少なめでメモリー消費量は16MBぐらいだし、Linux Kernelは最新(4月28日現在で最新のStableが 4.16.5がデフォルト)だったりと、軽量でパフォーマンスに優れます。やや毛色は異なりますがGentooに近い印象(ただしセットアップが面倒くさいGentooとちがってお手軽)。

 とはいえ一般的なLinuxとは違い、デフォルトでは/bootや/etcがほぼ空だったり/optが無かったりとアーキテクチャーは特殊です。パッケージ管理にはデフォルトのbundleのほかRPMも使えますが、先述の通りディレクトリー構成が特殊だったりするのでCentOSでEPEL使う感覚でRPM使うと怪しい気がします。そもそもIntelが同じClearブランドでClear Containerを開発しているように、KVMやHyper-V等の仮想マシンかDockerやClear Container等のコンテナのホストかゲストとしてマイクロサービス的な使用が適しているように思われます。

 ドキュメントは興味深いですね。
 Red HatやSUSEのような企業で採用されることを想定したディストリビューションはマニアックな内容に乏しい一方でマニュアルとして網羅的に充実しています。一方でDebian・Arch Linux・Gentooといったコアなユーザーが多いコミュニティーベースのディストリビューションはドキュメントは充実していますが流行り廃りで内容に偏りがあります。
 Clear Linuxはというと、大企業がバックに付いているだけありそこそこに充実していますが、その一方で想定されている用途と同様にドキュメントにも偏りがあるように思われます。

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古いPC(部品)の活用方法

2018-04-22 | テクノロジー

 世の中には、PCを量販店で買ってきて・そのまま使って・寿命が来たら新しいモデルに買い替えて古いPCは廃棄するという人もいれば、自前で手を加えて使用するという人も多かろうと思います。かく言う私の場合は2011年末にThinkPad X220(12型モバイルラップトップ。以降X220)を入手して以来、メモリーの増設(4 GB→8 GB x2 = 16 GB)したり、HDDからSSDに換装したり、Wi-FiモジュールをRealtek製802.11b/g/n対応カードからIntel製802.11a/b/g/n/ac対応カードに換装したりと手を加えながら使用してきました。

 X220も7年目を迎え、そろそろ世代交代が近づいていると思う今日この頃ですが、買い替えた後で上述の部品をなんとか活かせないか?という企画。

受け皿の準備

 HP ProDesk 800 G1 Desktop Mini(2013年モデル。以降G1 DM)を中古で購入しました。£140。中古とはいえデスクトップ機は直接手を触れることが必須なラップトップ機とは違いそれなりにきれいなものが入手可能です。

 あえて5年前のG1 DMモデルを選択したのは手持ちの余剰PCパーツを流用するためです。PCを自作するような人は少なからず余剰部品を抱えているものですが、私の場合、現在は7年前のX220や、それ以前はThinkPad X201をメインPCとして使用してきたため関連する部品が多くあります。そして5年前のPCであるG1 DMはそれらの流用先として好都合です。

 HP製のG1 DMの他にもLenovoDellが同一カテゴリーの製品を出していますが、今回は偶然安価で入手できたHP製をチョイスしました。

 設置場所や運用方法が許すのであればデスクトップ機は部品の流用先として妥当です。たいていの場合でラップトップ機よりも入手コストが安価で・性能が高く・拡張性に余裕があるからです。時代遅れの製品に大金を投資したいと思う人は稀でしょうし、性能が高いので多少は古いモデルでも現代でも使用に耐えます。また、容量が大きいのでラップトップ等から幾つも部品を内蔵できる余裕があります(例えばHDDやSSDを複数搭載できたりとか)。

ProDesk G1 DM vs 後継モデル

 中古PCをリユースすると言っても非実用的であれば意味がありません。かつて「コンピューターの性能は18カ月ごとに倍になる(※かなり誤解を生む表現で広まった)」と言われましたが、もしその前提で5年(仮に60カ月=18カ月x3.33...)も前のモデルとなると現行モデルは10倍(2^3.33倍)の性能となっているはずです。

 ところが、実際には最近7年間ほどはマイクロプロセッサーの高速化が鈍化しており、加えてG1 DMは片手に載るほどのコンパクトさながらもデスクトップ用プロセッサーを採用していて当時は非常に高速なモデルでした。5年を経て当時からすれば見劣りしますがそれでも十分に高速なのです。例えば2016年~17年は後継モデルに第6世代Core i5-6500Tが搭載されていましたが、両者の差は僅か10%程度に留まるなど遜色ありません(※現行の第7世代以降はベンチマーク結果が見つからなかった)。

ProDesk G1 DM vs ThinkPad X220

 X220が2011年モデル・G1 DMが2013年モデルとあって両者の部品構成は実に似ています。仮に今日、私がラップトップ機を新調したとして、X220の部品をG1 DMに移し替えてWindowsをセットアップすれば現行の環境を僅か2~3時間で引き継ぐことが可能です。

 ThinkPad X220ProDesk G1 DMNote
CPU Gen2 Core
i5 2540M
Gen4 Core
i5 4590T
10-100% faster
RAM DDR3-1333
SODIMM x dual-ch
DDR3/DDR3L-1600
SODIMM x dual-ch
Backward compatible
HDD 2.5 inch SATA600 2.5 inch SATA600  
SSD mSATA M.2 Backward compatible with adapter

 本当は、X220のOSやインストール済ソフトウェアをP2V(物理マシンから仮想マシンへの移行)で移せれば楽なのですが、その辺はソフトウェアライセンスの問題が絡んでくるので微妙なところ…。

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人生で初めてフィギュアを買った話

2018-04-21 | サブカル

 先日、三十余年の人生で初めて「フィギュア」と呼ばれるものを買いました。

 大袈裟な書き出しをしたけれど、ロボットやら飛行機やらのプラモデルは過去に幾つも所有してきたし、フィギュアといっても等身大とかアブノーマルなものではなくて ねんどろいど だし、ついでに言えば、ルックスなどからオタクと見られがちなので、フィギュアを持っていたとしても知人たちは誰も驚かないだろう。実際にはオタクといってもアニメではなくコンピューターのオタクなのだけど…。

 購入したのは「冴えない彼女の育てかた」の霞ヶ丘詩羽と「物語シリーズ」の戦場ヶ原ひたぎで、いずれも私のお気に入りのキャラクターだが、それだけでなく個人的にこのフィギュアの造形が好きだ。霞ヶ丘詩羽のPCをタイプしているクリエイターの闇状態も戦場ヶ原ひたぎの文房具で威嚇?している場面も、思わず「製作者よくわかってるじゃないか」と、なぜだか上から目線で称賛したくなる。

# こうして考えてみると、私はメンヘラ女子好きなのか!?(ブラウン管の向こうだけで勘弁してください)

 フィギュア初心者(上級者とかあるのか!?自分で作っちゃう人とか??)の私が品評などしても仕方がないので控えるが、初めてフィギュアを購入してみて悩ましく思ったのは、なかなか好きなキャラクターと面白い造形が一致してくれないこと。例えば「キルラキル」の満艦飾マコ、「ToLoveる」の金色の闇(のこれ)、「狼と香辛料」のホロなんかはフィギュアの造形が面白可愛くて好きだけれども、私にとってはフィギュアを購入するほど好きなキャラクターではない。私が愛してやまない「キルラキル」の纏流子や「ゴールデンカムイ」のアシㇼパさんのフィギュアがいまいちパッとしないのは、どういうことなのか…。同じ「キルラキル」だと鬼龍院皐月ですらこんなにも輝いているというのに…。

 ところで、「Re:Creators」のメテオラさん買いますので、セレジア姐さんも可及的速やかに ねんどろいど 化して頂きたいところ…。

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今週の面白かった記事(2018年 第16週)

2018-04-21 | 興味深かった話題

 今週はインプレスPCWatchの記事が充実していました。

半導体業界のM&A事情

 まず4月17日「福田昭のセミコン業界最前線」連載の「半導体産業で信じられている言説の「虚実」を暴く」。これは著者の福田氏が主張しているのではなくMentor Graphicsの社長兼CEOのWalden C. Rhines氏のプレゼンテーションを紹介・解説したもので、要約すれば「半導体業界はM&Aによって統合化に向かっている、というのは誤りである」「一部の大企業が大型買収を繰り広げており、その成否が年間のM&A総額に影響を与えている。だから業界全体の動向を示しているとは言えない」というもの。

 この本稿を読んだだけで主張を全面的に受け容れること危険だとしても、考え方・数字の見方として興味深いものがあります。

 そもそも欧米の方が日本よりM&Aが活発ですが、新規分野(2018年現在でいうとAIとか自動運転とか仮想通貨)への参入にあたり、その分野に強い新興企業を買収したり、それに近い分野にコネのある企業を買収することで販売チャンネルを築いたり、あるいは古くなった事業を整理したりということが行われます。通信分野で強くとも自動車半導体で弱いQualcommが欧米で自動車半導体に強いNXP(NXP…欧州、NXP傘下の旧Freescale…米国)を買収したりするのはそのためです。なぜか日本企業はイチから自分で作ろうとする企業が多い気がしますが…。

 ちなみにプレゼンを行ったWalden氏のMentor自身、IP業界ではSynopsys・Cadensと並び三強(あるいはARMを入れて四強)に数えられますが、ドイツの複合企業体Siemensに買収されています。

中国というPC市場

 いつもマニアックな記事を書いている劉尭氏の「苦難を乗り越えつつも、3万円で10コアXeon環境をゲットする」は、そういうマーケットが存在することを知っている私にも興味深いものでした。

 近年では中国E-Commerceの巨人Alibaba(阿里巴巴集団)の運営するAliExpressを通じて買い物をしたことがある日本人も少なくないかと思いますが、先進国(日米欧)に住む我々にとって、あのマーケットは独特のものに映ります。メーカー名が無かったり不明だったりする、保証が定かでない、あるいは新品か中古かさえ怪しい…そんな製品がありえない低価格で入手できます。こういうマーケットは中国に限らず発展途上国では身近に存在するもので、5年以上も前ですがRobert Neuwirth氏の「Stealth of Nations」が一部で話題となりました(英語ですがTED Talkも面白い)。

 Stealth of Nationsの内容の要約を述べれば、なぜそういうマーケットを知っておくべきなのか理解できるはず。

  • 発展途上国の非正規/ステルスな経済は10兆ドル規模である。これは米国市場に次ぐ規模である
  • (先進国の)グレードA経済に従事している労働人口は1/3(9億人)に過ぎない

※この非正規な経済は「発展途上国では身近に存在する」のですが、製造元の80%程度は中国だったはず。

 Alibabaをはじめとする中国系オンラインマーケットはインターネットを通じて非正規な経済を垣間見ることができます。マーケットの巨大さや性格ゆえに、そこに進出した先進国企業の対応も我々の地元では見られないもので、例えばPCということでいうと、Intelが2~3年前に$200で販売していたCPUを搭載した新品のPCが$150で買えたりということがよくあります。

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