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私的コラム&雑記(&メモ)

モバイルワーク環境

2023-02-25 | ガジェット / PC DIY

 筆者は今年4月に日本の実家に一時帰国するため鋭意準備中である。その準備の内容を記録しておこうと思う。そういった性格のため、本稿は4月までの間随時更新されることになると思う。

 旅行用ガジェットについては4年ほど前に「海外旅行ノウハウ(2019年版)」として既に記事化してあり、今回も大きくは変わらない。4年間で技術革新した部分を中心にしたアップデート+仕事環境に配慮した内容の追加となる。

USB Type-C PD対応チャージャー
 2019年の記事を投稿した当時はGaNパワー半導体は製品が出回り始めたばかりの新らしい技術で、せいぜい30~65W程度のチャージャーしか存在しなかったが、最近では4~5ポート・100W超のチャージャーが登場し、2019年の記事中での構想「1つのチャージャーでラップトップPCとスマートフォンに一括して給電する」が現実的になった。

 とはいえ、マルチポートのチャージャーで「100W」などと謳われていても全ポートで自由に割り当てできるわけではないため注意が必要である。例えば筆者も検討していたBeseus製100Wチャージャーの場合、2ポートあるUSB Type-Cの両方に給電すると45W + 20Wで計65Wでしかない(Amazon.deの説明画像)。45W側でラップトップPCは給電できるが、20W側は給電先のデバイスを選ぶことになる。

 実は今回は後述の通り45~65W + 30~Wの供給能力を必要としていたためKovol製120Wチャージャーを選択した。これはUSB Type-C 2ポート使用時で60W + 60W、USB Type-C 2ポートとUSB Type-A 2ポートの全4ポート使用時でも45W + 45WでUSB Type-Cに給電できる優れものである。
 筆者の場合は独身なのでラップトップPC + 周辺機器(後述)で45W + 30Wあればいいが、家族がいてラップトップPC x 2台の場合でも60W + 60Wもあれば給電できる可能性が高い。

ポータブルモニター
 ポータブルモニター(モバイルディスプレイ、モバイルモニター)は4年前よりも価格がこなれて・選択肢が増え・スペックも魅力的になっている。個人的には「ポータブルモニター」といってもバッテリーは不要で代わりに性能が高いものが欲しかったのだが、4年ほど前に物色した際はバッテリー内蔵型の高価な機種ばかりで辟易した記憶がある。
 あくまでも筆者個人の意見だが、モニターには外部から電源供給すればいいためバッテリーは価格が押し上げ・モニターを重くする上に、モニターとバッテリーとでは製品寿命も異なるから無用の長物でしかない(個人の使い方=ユースケースによる)。

 最近は製品として成熟してきたせいだろう、高性能で手頃な価格の製品が、販売されている(製造元が中国の謎ブランドばかりなのが癪だが…対して日本のブランド製は価格の割に性能が低い…)。具体的には以下のような選択肢がある:
  • 液晶パネルタイプ:LCD / OLED
  • 液晶パネルサイズ:13インチクラス / 15-16インチクラス / 17インチクラス
  • 液晶パネル解像度:1920x1080クラス / 4K (3840×2160)クラス
  • 色域:Adobe RGB / sRGB / 8-bit Color / 10-bit Color
  • HDR:対応 / 非対応
  • リフレッシュレート:~60 Hz / 144 Hz
  • タッチパネル:搭載 / 非搭載
  • バッテリー:搭載 / 非搭載
 個人的に気になっているのはInnoView製「‎INVPM004」で、4K対応・HDR対応・色域Adobe RGB対応・タッチ操作対応と驚くほど充実しており、それでいて輝度も300cd/m2と実用的な水準を実現している(下手すると輝度以外はひと昔前のデスクトップ用モニターよりも性能が高い…)。タッチ操作は不要という意見もありそうだが、iOS/Android端末との接続も想定するならあって困らないと思う。USB Type-Cによりモニター接続=HDMI Alt Modeとタッチパネルをケーブル1本で接続可能なのも魅力的だ(昔はフルサイズのHDMI + USB MiniBというものが多かった)。価格が5万円超なのが玉に瑕だが。

 ここでUSB Type-Cチャージャーの話題に戻るのだが、これらのポータブルモニターの多くは2ポートあるUSB Type-Cのうち一方でホストPCとの接続・もう一方で給電するものが多いのだが、30W以上の給電能力を要求するものが多い。つまりPCと合せると45/65W + 30Wが必要なわけで、多くのUSB Type-Cチャージャーでは非対応なのだが、上述の通り一部の100W超の給電能力のあるチャージャーでは対応しており、PCとポータブルディスプレイと(スマートフォンとタブレットと…)で個別に充電器を持ち運ぶ必要がない。

 ところで、USBチャージャーにしろポータブルモニターにしろ、未知の中華ブランドが多過ぎ判断に困る場合がる。また、一部製品のAmazon.co.jp等でも触れられている通り、一部の製品はブランド名を付け替えただけで複数ブランドから発売されていたりする。
 筆者にはブランド志向や見せびらかすような趣味は無いが、万が一の不要なトラブル(初期不良・早期の故障)を考えるとある程度マシなブランドを選んでおきたいのは当然だろう。昨今「Made in China」だからといって必ずしも粗悪品とは限らない(例えばオーディオのFiiOやS.M.S.Lなどはビルドクォリティーも良く、良くやっていると思う)が、Amazon.co.jpのレビュー等を見ているとトラブルに遭遇するケースはあるようだ。
 これは筆者の判断基準だが、筆者は各ブランドの公式Webサイトを確認するようにしている。酷い場合は公式Webサイトが無かったり、公式Webサイトがあっても年単位で放置されていたりする場合があり、そういったブランドはの製品は買わない。また、公式・Amazon.co.jp等の販売店の表示も比較確認する。もし同じ商品のスペック表記のブレが激しいようなら避けた方が無難だろう。コピー&ペーストミスならいいが、販売者が自分が何を売っているのか理解できていない可能性がある。
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親用にiPadを買った話①

2023-02-11 | ガジェット / PC DIY

2022/02/16・02/19 いろいろと加筆訂正

 なぜ①かと言うと、筆者@欧州が両親@日本の実家用に発注したということで、筆者自身は見てすらいないからである。4月に一時帰国予定の際に②を書く予定である。

動機

 筆者は日本の実家に帰省する度に両親宅のIT・家電環境のアップグレードに取り組んでいるのだが、先日両親がPCを処分して完全にタブレットに乗り換えたと聞いたためiPadを提供することにした。ちなみに両親が使用していたタブレットは数年前の安物Androidタブレットと10年前のiPadである。

 実は筆者自身はApple製品をほぼ使用していない。これはアンチAppleだとかいうことではなく、筆者の運用思想・予算とApple製品の思想が合致しないためであるが、しかし、それは両親用となると話は別である。

 両親には短い間隔で機種変更する(≒新機種に慣れてもらう)モチベーションは無いので理想的には10年間ほど使えるのが望ましい。筆者個人のタブレットならば5年間も使わないから高価な製品は避けるのだが、もし両親が10年間も使用するなら価格が安くなくても十分に元が取れるだろうし、むしろ10年後も通用する高性能であるべきだ。
 Apple製品はJailbreakが困難だったりとセキュリティー面で強みがあるが、これは両親にセキュアな端末を提供するというモチベーションに繋がり易く、実際に筆者が両親用に選定・提供してきた端末はApple製品の割合が大きい。両親の最初のPCはiMacだったし、母はiPodユーザーだったし、以前はiPad Gen 4 (2012)を使ってもらっていた。

背景:昨今のAndroidタブレット

 筆者個人は最近のAndroidタブレットに不満で、両親用にiPadを選択したこともそれが理由のひとつだ。

 例えば、先日PC Watchに『Android搭載タブレットおすすめ10選【2023年上期】』なる記事が掲載されていたので、これを元に「他人に勧められるか」考えてみたい。

 まず、謎ブランドの中華系タブレットは極力避けるべきで、自分が自己責任で使うというならまだしも不特定多数の他人に勧められるようなシロモノではない。
 これはセキュリティーの観点から明らかである。あるメーカーが提供するOSを使用するということは、そのメーカーはOSのカーネルモジュールからアプリケーションまで技術的には端末上のありとあらゆる情報にアクセス可能ということを意味している。これはユーザーの個人情報を盗まれる可能性がある(秘密情報を格納する領域へのアクセスを許可している)ということで、信頼性の低いメーカー製OSは使用すべきではない。
 加えて、もしメーカーが端末自体に悪質な仕掛けを施す可能性を考慮しないとしても、サポート=セキュリティーアップデート提供を期待できるか?という疑問は考慮されるべきだ。記事中でいうとSamsungは4年間サポートとなっており、恐らくLenovo・Oppo・Xiaomiといった他の大手メーカーも3年以上のセキュリティーアップデートは提供されると思うが、実質ノーブランドの中華系メーカーにセキュリティーアップデートは期待できないだろう。
 余談だが、セキュリティーアップデートというとMicrosoftの毎月第二火曜日の「Patch Tuesday」が有名だが、GoogleもOpen Source版Android(AOSP = Android Open Source Project)にセキュリティーアップデートを毎月5日にリリースしている。このアップデートはソースコードなので、端末メーカーがアップデートを適用したAndroidをビルドして配信しなければ端末に適用されないわけだが、ここでの疑問は「その端末はメーカーが、どの程度の頻度でアップデートを配信するか?」という点で、セキュリティーアップデートというのはメーカー視点では手間ばかり多くてコストパフォーマンスが高くないため、中小企業メーカーであれば行われなくとも不思議はない。
 これらの条件を記事中の端末に当て嵌めると「FFF-TAB8」「T40 Pro」「NPad Plus」は論外で、大手メーカー=Oppo・Xioami/Redmi・Lenovoあたりはグレーといった感じだろう。

 ところで記事中にあるNEC/Lavieブランドの端末であるが、御存知の通りNEC PCはLenovoが買収済のため、NEC Lavieブランドを冠していてもLenovo製端末のリネームである。記事中の「LAVIE Tab T10 T1075/EAS」は外観が「Lenovo Tab M10 Plus (3rd Gen)」に酷似しているが、「Lenovo Xiaoxin Pad」のリネーム品だからである。
 前項のセキュリティーリスクとは別に、地政学的なリスクとして中国の大手メーカー(Oppp・Xiaomi/Redmi・Lenovo)については、Huaweiと同様に米国政府のエンティティーリストに載る可能性も考えられるわけだが、NEC=日本のメーカーだからと油断できないことになる。

 上述を踏まえると、潜在的なセキュリティー/地政学的リスク覚悟で中国系メジャーベンダー(Lenovo・Xiaomi・Oppo)か、あるいはSamsungぐらいしか選択肢がない(他の韓国勢・台湾勢はAndroidタブレットをラインナップしていない)が………そもそもAndroidに拘る意味があるかが疑わしい。

 一昔前(具体的にはGoogle Nexus 7が人気だった2013年頃)であれば、Apple製品は高価格・Android端末は安価で高性能といった風潮が強く、あえてAndroid端末を選ぶ理由もあったろうが、昨今の高性能Androidタブレットは価格も高く、もはやiPadに対する優位性を見出し難い。例えば記事中の「Galaxy Tab S8+」は高性能だが価格も119,220円とiPad Proに迫る価格帯である。
 逆に、Apple製品は高価格ながらも、Android端末の価格高騰で相対的に安価になっており、信頼性・性能・価格の観点からいえばiPadの中から性能や予算などに基づいて選択するのがベストと言っても過言ではない。

選定機種:iPad Air Gen 5 (2022)

 あくまでも筆者が自身の価値観に基づいて両親用に選定した(万人向けではない)結果であるが、筆者の選ぶ現行品で最高のタブレットはiPad Air Gen 5 (2022)である。

 実はiPad (2021)・iPad (2022)なども選択肢に上がっていたが、iPad (2021)は残りサポート期間・iPad (2022)はコストパフォーマンスの低さからiPad Air (2022)を選択した。

iPad Gen 9 (2021)
 非常にコストパフォーマンスが高い。2021年の端末ながら搭載しているSoCは2019年のApple A13・USB-C非対応・Apple Pencil 2非対応と、性能は十分ながら、レガシーを引き摺っている感がある。
 コストパフォーマンスが高くても、iPad (2021)を選択しなかった理由のひとつは2021年9月の登場でサポート期間を既に1年半近く消費しているからである。

iPad Gen 10 (2022) - Wired.jpレビュー記事
 先代iPad (2021)で優秀だったコストパフォーマンスが損なわれる一方で、見た目以外の進化が乏しい。2022の端末ながら搭載しているSoCは2020年のApple A14・Apple Pencil 2非対応で、最大の「進化」はUSB-C対応とイヤフォンジャック廃止、それでいて米国現地でさえ+$120ほどの値上げといった調子で、先代iPad (2021)が併売されるという現象が起こっている。

iPad Air Gen 5 (2022) - PC Watchレビュー記事
 絶対的な価格は御世辞にも優れているとは言えないが、性能が高く意外にコストパフォーマンスが高い。搭載SoCがApple M1・搭載メモリー容量もiPadの2倍=8GBと高性能なほか、USB-C/USB3.1対応・Apple Pencil 2対応と比較的新しい規格に対応している。
 Apple M1は2020年に登場したA14のPC/タブレット用派生プロセッサーで古いが、iPad Air Gen 4がA14搭載・iPad Air Gen 5がA15ではなくM1搭載というのが興味深い。iPad Pro Gen 4 (2021)がM1搭載なので、iPad Airの位置づけが「iPadのハイエンド」から「iPad Proのローエンド」になったのかもしれない。M1は新しいプロセッサーではないが、A14比でCPU Performance CoreやGPUのコア数が2倍となっており、A14・A15よりも性能は高い(消費電力も大きいが…)。
 率直に言うと、筆者の両親が使用する分には過剰な性能なのだが、上述の通り10年間の使用を考慮し性能的な余裕を確保するならば悪くない選択肢に思える。

サポート期間についてであるが、Appleはその機種の発表から5年間以上OSのアップグレード/セキュリティーアップデートを提供しており、Wikipediaの記事によると、実際はOSアップグレードは7年間超・セキュリティーアップデートは9年間超もの長期間に渡り提供されている。「動機」の項で両親用のタブレットとして「理想的には~10年間使えるのが望ましい」と述べたが、まさに理想に近いと言える。

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