轟クルマ文化研究所

日本のどこかの片田舎、今日も所長の声が響いています。
「馬鹿モン!あれほど雑誌を鵜呑みにするなと言うとるじゃろ!」

クライスラー 300C

2005-05-11 19:16:00 | CHRYSLER Group
助手 「クライスラーの300Cが出ましたが、所長アメ車ってどう思われますか。」

所長 「どうって、どういう意味でじゃ。」

助手 「所長ってあんまりアメ車の話ってされませんよね。」

所長 「そうじゃな。まあ、デカいクルマより小さいクルマの方が好みじゃからな。」

助手 「所長も食わず嫌いの類ですね。最近のアメ車って随分とよくなってるようですよ。それこそ欧州車と比べられるレベルになった、と雑誌なんかでもよく見ますしね。」

所長 「馬鹿モン!また雑誌やなんかの言うことを真に受けおってからに。お前はどうして、そんなに単純なんじゃ。」

助手 「えー、違うんですか。じゃあ今でもアメ車ってダメなんですか。所長こそ、最近のアメリカ車を知らないんじゃないですか。」

所長 「どこまでもわからん奴じゃな、全然違うんじゃ!まあ聞けぃ。つい最近、古本屋で買った雑誌に、アメ車の特集があったんで読んでたんじゃ。」

助手 「・・・で、何て書いてあったんですか。」

所長 「いつまでも昔のイメージのままではない。今のアメリカ車は、欧州車と比べても遜色がない。っていう風に書かれとった。馬鹿デカい車体やガソリンを撒き散らして走ってるっていうイメージは今のアメリカ車には当てはまらないし、直進だけじゃなくってカーブも曲がれるし、ブレーキもちゃんと効く、とも書いてあった。」

助手 「そうです、そうです。僕が見た記事もそんな風に書いてありましたよ。何が違うんですか。」

所長 「その雑誌はな、1985年の発行なんじゃ。つまり20年前の記事じゃ。」

助手 「えー、どういうことですか。」

所長 「じゃから20年前からずっとおんなじことを書いとるということじゃ。違う言い方をするとじゃな20年間言われ続けてもいまだにアメリカ車のイメージは変わっておらんということじゃ。」

助手 「そうなんですか。」

所長 「日本でのアメ車のイメージって50年代、60年代のイメージなんじゃ。その頃のアメリカ車って本当に大きくて豪華じゃったんじゃ。それが70年代や80年代のオイルショックで燃費の重要性が問われてダウンサイズを繰り返したり、日本車の台頭で小さなコンパクトクラスをつくったりして今の大きさになったんじゃ。もちろん走行性能もどんどん進化しておるんじゃ。じゃからアメリカ車が変わったのは今に始まったことじゃないんじゃ。すでに80年代の後半には新しいアメリカ車が出来上がっておったんじゃ。」

助手 「・・・そうなんですか。でもそれならもっとアメ車のイメージが上っててもいいと思うんですけど。」

所長 「それも違うんじゃ。アメリカ車が欧州車や日本車の真似をして小さくて合理的なクルマをつくったって日本では何の魅力もないんじゃ。それなら初めからヨーロッパや国産のクルマを買ったらいいじゃろ。」

助手 「それもそうですね。」

所長 「それにアメ車はアメリカで販売するためにつくられとるんじゃ。それほど北米市場は大きなモンなんじゃ。じゃから日本人が好むクルマにつくっとらんという訳じゃ。もっともアメ車のテイストが好きなら話は別なんじゃがな。」

助手 「そうなんですか。じゃあ日本でアメリカ車が売れる時代はいつまで経っても来ないということですね。」

所長 「まあ、そうとも言えんのじゃが。」

助手 「どういうことですか。」

所長 「最近のアメ車は強い時代のアメリカへ回帰しとるじゃろ。マスタングやサンダーバードが昔のイメージを再現してたり、クライスラーの300Cやクロスファイアのようなマッスル系のクルマも出てきたじゃろ。」

助手 「そうですね。そういう傾向のようですね。」

所長 「次のモデルチェンジどうするのか、気になるところじゃが。まあ、それは置いといて。あと最近、街で昔のフルサイズのアメ車に乗ってる若いニイちゃんをよく見掛けるようになったじゃろ。」

助手 「そう言えばよく見ますね。」

所長 「そういう市場もあるということじゃ。じゃが古いアメ車は敷居が高いのも事実じゃ。そこに現代のテクノロジーを駆使し、故障しない魅力的なアメ車があれば、どうじゃ。」

助手 「確かに魅力的ですね。」

所長 「今までのように欧州車や日本車よりになったクルマよりも、アメ車本来の魅力を持ったモンの方が買う意味合いが見出せるじゃろ。じゃから今の戦略の方がアメ車にとっていいとワシは思っとる。」

助手 「そうですね。」

所長 「かつてアメ車に憧れた世代じゃなく、アメ車の繁栄した時代を知らん若い世代に受け入れられれば、日本でのアメ車の販売も向上すると思うんじゃ。すでにその兆候も見てとれる。」

助手 「そうなんですか、これからアメ車は要チェックですね。あと300Cなんですけど、所長はどう思われますか。」

所長 「そうじゃな、大柄なボディに対してキャビンが小さいところなんか、かなり格好いいと思う。特に斜め後からの姿は絶品じゃ。多少スタイルのために室内空間がスポイルされとるかも知れんが、必要にして十分な広さはあるじゃろうし、無駄なデカさがアメ車の魅力なんじゃろう。こういうクルマは合理的な考えのヨーロッパからは生まれんのじゃろうな。」

助手 「えらい褒めようですね。意外な感じがしますが。個性的なフロントフェイスはどうですか。」

所長 「デザイン自体、格好いいとは思わんが、あのクルマには似合っとる。下手に洗練されたモンよりも少しぐらい野暮ったい方が、らしいというモンじゃ。迫力もあるしのぉ。」

助手 「そうですね。僕もクラウンやフーガなんかよりもずっとカッコいいと思います。」

所長 「お前じゃ、クルマに負けてしまうわ。」

助手 「とても買えませんよ。価格的にも見た目にも。」

所長 「じゃが、お前ぐらいの年のモンが憧れてくれれば、クライスラーとしては大成功じゃろ。」


参考資料
クライスラー300C(『webCG』日経デジタルコンテンツ)

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