無明抄

もの言わざるは腹ふくるるわざ・・。かなわぬまでも一市民の発言

3・11と安倍政権 安倍極右政権が生まれた背景についての私的推論

2016-03-12 | 蟷螂斧:私的時事論談

あまりの状況に、発言する気力もなく沈潜していたが・・

5年前の3・11、その後の信じられないような政治の動きを見て、自分なりに見えてきたと思うところをメモしてみた。
もとより、ただの一市井人が、乏しい知識と身近な情報源だけから組み立てた推論であり、的を得ているのかどうかは読者諸氏の判断にお任せするしかない。 

■311後の支配層の危機感が生んだ反革命としての極右政権

いったいいつの頃からだったか、政権交代可能な二大政党制待望論がもてはやされだしたのは。

その待望論を背景に、そのためには小選挙区制だという大合唱。
さらに、小選挙区制で勝つためにと、理念も政策も二の次の数合わせの政党再編劇が繰り広げられ、
左派リベラルから自民右派顔負けの連中まで寄せ集めて「民主党」が誕生。
現在の政治の目を覆うような劣化の元をたどればここに行きつく。

この頃、おそらく日本の支配層は、自民党一党支配の行き詰まりに業を煮やし、自分たちの支配構造、利権構造を崩さない範囲での穏健な二大政党制に誘導しようとしていた、あるいは少なくとも容認しようとしていたのではないか。
だから大手メディアも口をそろえて二大政党制だの政権交代待望論を謳いあげていたのだろう。

しかし、事態が進み、いよいよ政権交代が現実のものとなる気配が出てきたとき、彼らは大きな不安に駆られた。
最初の不安は、小沢一郎だ。小沢は、官僚から党へ政策決定の実権を取り上げようとしたり、農家への直接補助金など自民党の支配構造を突き崩そうとした。
官僚や既存利権につながる財界にとって、きれごとでない政治支配の裏まで知りつくし、強力な指導力を持っている小沢は超危険人物だ。
小沢を首相にするわけにはいかない!

政治資金規正法上の形式的な問題をもっての検察による強引な犯罪者扱い、立件できなかったにも関わらず、メディア総動員の「それでも汚い」イメージの徹底洗脳で、さすがの小沢も再起不能に近いほどたたきつぶされた。
国民の多くに刷り込まれた小沢への嫌悪感はいまだに強烈だ。

つづく鳩山も、持ち前の理想主義で「普天間の最低でも県外移設」なんて本気で言い出したので、メディア総がかりの人格攻撃、徹底的にバカ、無能扱いして排除された。
今では外務省官僚がありもしない「米軍内規」をでっち上げてまで妨害したことが明らかになっている。
(どこかの国なら「反逆罪」で処刑ものの所業が発覚してさえ、この官僚は何のお咎めも受ける気配がない!)
この鳩山叩きの効果も、いまだに大多数の国民、リベラル派にさえしっかり根付いている。

この流れを見ていた菅は、革命的変革はせず、原発輸出にまで協力するという恭順ぶりで政権を許されたが、311で目を覚まし、脱原発に本気で転換し、その上政治手法でも諮問機関の御用人事を中立化させたり、「国民的議論」を巻きおこし民意を背景に原子力ムラや官僚の包囲網をぶち破ろうとまでした。
これは支配層にとって許せない「革命」だ。
またしても、あらゆるメディアを動員して袋叩き。
経産官僚が安倍に「菅が海水注入を妨害した」とデマを耳打ち、国会で叫ばせメディアで書き立てた。
日本壊滅かと言う未曾有の非常事態に直面した必死の首相の言動を、やれ態度が横暴だの言葉がどうのと、またしても枝葉末節の人格攻撃。
全く情報を出さず右往左往するばかりの東電に乗り込んで指揮したことまで攻撃し、菅政権は叩きつぶされた。
それでも菅は、浜岡原発を「超法規的」措置で停止させたり、全原発のストレステストを指示して事実上運転を阻んだり、しぶとい頑張りを見せた。
しかし、この菅叩き洗脳もまた未だに大衆の脳髄に叩き込まれたままだ。

この政権交代前後の一連の教訓、とりわけ311以後の経験で、支配層は「政権交代」容認の危険性を痛感し、路線転換をした。
まさに「反革命」だ。

電力資本と並ぶ財界の中心部隊である原子力産業は同時に軍事産業である。脱原発政策を阻んでも、原子力産業の衰退、行き詰まりは避けがたい現実であり、あらたな活路は軍需に求めるしかない。
ゼネコン業界にとっても、「コンクリートから人へ」は容認できない。
グローバルな新自由主義競争に勝ち残りたい資本にとって、労働法制を突き崩すことも是が非でもやり遂げたい。
しかし、これら彼らにとって死活的に重要な政策は、いずれも国民の強い抵抗が予想される。
彼らには、もう穏健な政権交代、「国民的議論」や「諮問機関」の中立性の推進等の民主的手法など容認する余裕はない、強引にでも彼らの利に沿う政策を実行できる政権を作らねばならない。
その決意が、いかれた極右だが愚かでくみしやすい安倍の担ぎ出し、全面的バックアップとなったのだろう。

この国の政治的ヘゲモニーを牛耳っている勢力、その意思に支えられて、岸信介の怨霊にとりつかれたような愚かな時代錯誤の男が「最強の首相」として悦に入っている。

国民の多くは、政権担当の経験もなく、したがって官僚どもの手口もわからず、ほしいままに振り回された、よちよち歩きの民主党政権が、実は何をしようとし、なぜ挫折したのかを見ようともせず、ただただ、「だらしなかった民主党」「鳩山も菅もだめ政治家」と切り捨て、仕方がないから自民党と、暴走を繰り返すいかれた安倍に40%もの支持を与えている。

愚かでだらしなかったのは民主党ではなく、いや民主党も、かもしれないが それ以上に国民である・・と言えば暴言か?。

 


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