無明抄

もの言わざるは腹ふくるるわざ・・。かなわぬまでも一市民の発言

新潟県中越沖地震、原発は大丈夫か

2007-07-16 | 蟷螂斧:私的時事論談
新潟で大地震が発生した。
震度6強。

12年前の大震災を思い出す。
神戸の場合は大都会の直下型地震であったため未曾有の大災害となり、現代の都市空間のもろさを思い知らされた。

今回の地震の震源は、柏崎・刈羽原発からわずか15キロ程の位置である。
ここは、7基もの原発が集中する、確か世界でも一番の原発密集地であったはず。
地震発生時、3、4、7号機が稼働していたが、地震の発生により、緊急停止した。2号機は別の故障で停止していたが点検後再起動中であったのが緊急停止。
他の1、5、6号機は検査中で稼働していなかった。
しかし、地震直後、3号機の「制御系電力供給システム」で火災が発生し、数時間燃え続けている。

NHKのTVで見る限り火災発生から1時間以上過ぎているにも関わらず、消火活動をしている気配がない。未確認情報によると、その後地元の消防隊が駆けつけて消火したとのこと。
事実とすれば、原発の自衛消防隊が全く動かなかった、動けなかった?ということか?。
消火どころではない事態が起こっていた?

東京電力のホームページの公開されている放射能のモニタリングのリアルタイムデータも10時でストップしたままであった。こんなときにこそ必要な情報が消えている!

原発に関しては、とにかく情報が隠される。
事故があれば、なんの詳細説明もなく「放射能もれはない」と繰り返され、マスコミもそれを鵜呑みにして報じるが、後になって深刻な事実が暴かれるのが常である。

1991年2月の美浜2号機の蒸気発生器細管破断事故、95年12月の高速増殖炉もんじゅのナトリウム火災事故でも、当初の過小評価の発表とは似ても似つかぬ危機一髪の事態であったことが後に明らかとなっている。

原発は止まればそれで安心ではない。
止まってからも冷却し続けなければ「チャイナシンドローム」を引き起こす。
今回の火災が停止後の冷却系に影響するシステムでなければいいのだが。

原発は、歴史上その近辺で起こった最大地震や近くにある活断層の地震、そしてマグニチュード6.5の直下地震に耐えるように設計されている・・ということになっている。

しかし、原発に関心を持つ人の間ではもう周知の事実だが、信頼するには余りに心もとない。
歴史上の最大地震などは、文献記録になければ分からない。原発の立地点はどこも古来人が多く住んでいた地域から遥か遠いため、文献記録などないのが当たり前だ。
また地球の呼吸のリズムは人間のリズムとは桁が違う。たかだか数百年や千年の記録にないからといって、何万年サイクルの巨大地震がないと断じるのは愚かなことである。このことは阪神大震災で誰もが思い知ったはずだ。
近くに確認されている断層についても、ご都合主義で過小評価されていることはおくとしても、発見されている断層などごくわずかであることを思えば安心材料にはなりようがない。
さらに直下型のマグニチュード6.5の想定にいたっては、地震の専門家からは何の根拠もない想定として批判されていた。実際それを超える地震はいくらでもあるし、現に今回の地震も6.8である。
要するに、原発の耐震設計基準とは、経済的に建てることが可能な程度の地震を想定した基準に過ぎないのだ。

そうした問題点は、もう何十年も前から原発に疑問を持つ市民団体や良心的な学者たちによって指摘されていた。特に阪神大震災以後、それまで原発に触れることを敬遠してきた地震学者たちまで学会で「原発震災」の危険性を取り上げるまでになっている。

とりわけ危険極まりないのが静岡県の浜岡原発である。
いつ起こっても不思議がないとされる東海地震の震源域のど真ん中、それもきわめて地盤の軟弱なところに、東海地震説が発表される前の、古い基準で設計された原発が建っているのだ。

多くの日本人は、そうした深刻な、まさに足下にある危機に目を向けようともしない。「電気がないと困るもん、しかたないやん」程度の脳天気ぶりに復讐される日が来なければいいが。

■地震と原発についてはこちら

■原発の耐震安全性は根底から崩れた・・・原子力資料情報室

■ヨウ素検出の意味・・美浜の会

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