無明抄

もの言わざるは腹ふくるるわざ・・。かなわぬまでも一市民の発言

狂気の歯車に巻き込まれるな

2006-10-10 | 蟷螂斧:私的時事論談
北朝鮮が核実験を強行した。

愚劣な独裁者が、やくざ的な瀬戸際外交、挑発と脅迫をエスカレートさせる。
一方、自ら未臨界核実験を繰り返し、使える核兵器の開発を公言し、自国に都合のいい国の核兵器にはOKを与えてはばからないUSAが、恥ずかしげもなく北の「暴挙」を非難する。

北の愚挙は、右翼まがいの安部政権にとって、願ってもない追い風となるだろう。
隣のならず者」の脅威をあおり、断固、断固を叫べば喝采を浴びることができる。
外からの脅威によって熱狂し結束するのは民衆の常であり、ただでさえ「知の崩壊」とも言うべき有様に陥っているこの国の世論は、まるで明日にも核弾頭が飛んでくるかのような恐怖心をかき立てられて、いっそうナショナリズムにのめりこむことは容易に想像がつく。

「制裁」「制裁」といきまく者たちに聞いてみたい。
制裁で一番悲惨な目にあうのは誰なのかと。いったい誰に制裁を加えるのかと。
それは独裁政権の下で苦しむ民衆である。
政権中枢を狙い撃ちできるような器用な制裁手段があるなら、それは結構だ。
しかし、「北」という国家とその独裁の下で苦しむ民衆を同一視して懲罰を加えるような経済制裁はすべきではない。

イラクでも、USAの攻撃前に長く続いた経済制裁で、国民生活は危機に陥り、医薬品の輸入すら阻まれ、湾岸戦争でばら撒かれた劣化ウランによる白血病やがんの多発とあいまって数万の子供たちが命を失ったといわれている。
勿論、その間もフセインはたらふく食っていたし、政権は強固に維持されていた。

思えば、ソ連の崩壊以来、イデオロギー的にも軍事的にも、対抗者を失い独りよがりの超大国となったUSAの暴走を発端に、日に日に世界が「喧嘩モード」になだれ込んでいっているように思える。

この狂気の歯車を押しとどめる冷静さと英知を、我々は持っているだろうか?



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