無明抄

もの言わざるは腹ふくるるわざ・・。かなわぬまでも一市民の発言

官僚より政治家がまし? 本当か

2009-09-19 | 蟷螂斧:私的時事論談
ようやく自民党政治が覆り、「政権交代」が実現した。
それはそれなりに、よりましかとは思うが、
そのスローガンとなっている「官僚支配の打破」「政治主導」には手放しで応援する気にはなれない。
政治家たちもマスコミもこぞって「政治家のリーダーシップ」をうたいあげ、今や「官から政へ」が正義であり常識であるかのごとく語られる。
果たしてそうか?
官僚批判は批判として、政治家が、官僚よりも賢明で、政策立案能力があるなどと信じている国民がはたしてどれほどいるのだろう。

確かに戦後、いや明治以降の日本の政策の内実は官僚が主導してきたことは間違いあるまい。
しかし、現在の国民の不満、怒りの大元は、小泉改革による市場万能主義、新自由主義を振りかざした資本主義の暴走、古典的競争原理への先祖返りによる中流・安定の日本社会の崩壊であろう。
そこにリーマン以降の経済危機が追い打ちをかけ、自民党政権のていたらくがとどめを刺したのであろう。

官僚まかせ云々は、手法の問題であって政策そのものの問題ではなかろう。いや、むしろ、新自由主義かぶれ、アメリカ礼賛の小泉氏が自民党らしからぬ「政治主導」で政策を強行した結果が今日を招いたのではなかったか。

政治主導こそが最重要課題であるかのごとき風潮は、天下りやずさんな公金の浪費をやり玉にあげることで、論点がすり替えられているのではないか。

国民の目が官僚批判一辺倒に流されているが、政治家たちの汚職、金権、利益誘導といった、抜きがたい体質を忘れてもらっては困る。
政治家たちは、利権がらみで動いたとしても、資金ルートも複雑で、脱法、非合法を含めて様々な手法を駆使してこれを隠蔽することができる。
政権党の先生方は絶え間なく誘惑にさらされるであろうし、また、選挙に勝ってなんぼの世界、まして丁半博打のような小選挙区制であってみれば、きれい事より票が大事と利益誘導に走るのも避けがたい。

それにひきかえ、大部分の官僚は、収入ルートが単純で、金で動けば容易に発覚し、ごまかしがきかない。実際の汚職事例でも政治家がらみに比べればささやかな額であり、少なくともエリート官僚にとっては割に合わない。
中央官僚を動かしているのは、むしろ「俺たちがこの国を支えている」という自負、自尊心や出世競争を含めた野心であろう。そんな彼らの判断をゆがめるものがあるとすれば、その第一は先生方への「配慮」であろう。

官僚たちの「お役所体質」「自己保身」の害もさることながら、利権あさりや選挙目当ての利益誘導にゆがめられがちな先生方にお任せする方が、むしろ恐ろしいと思うのだが、どうだろう。

民主党の政治家は自民党とは違う?
まあ、今は政権交代で意気軒昂、気持ちも新鮮、また権力から遠かったためにしがらみや誘惑もさほどなかっただろうが、これからは「権力の味は密の味」。
同じ穴のむじなにならないでいられる先生方がどれほどいるか・・。

しっかりとした理念と正義感を持った政治家と、実務を熟知した骨のある官僚のよき二人三脚・・・そんな期待は夢物語なのだろうか。


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