宇宙(そら)に続く丘

プレリュード小学校1年C組のしりとりちーが案内する宇宙への道
みかんの丘は不思議へ通じるワームホール

新入り

2015年05月25日 01時47分35秒 | Weblog

仕事は山のように溜まっている。それでもこのまま休み無しで働いていたら気が変になる。そこで今日の日曜日、無理やり休んでみかんの丘に上がった。丘一面満開という風景は諦めていたが、それでも丘にはまだ甘い香りが漂っていた。確かに丘のところどころに白い花びらが見える。しかしほとんどの枝が緑色の小さな実をびっしりと付けていた。

もちろんこれがみんなみかんになる訳では無い。もう少しすると自然摘果が始まり、実の3分の2がバラバラと落ちてしまう。それでも当たり年には多すぎる実が残る。それをこれまでは少しずつ手で落として元の実の20分の1くらいにしていた。ただ、今年僕は本当に忙しい。おばさんの娘さん夫婦も新しく作ったブドウのハウスなどの農作業に追われていて、摘果は出来ないだろう。そうなるとまた、力の無い木が枯れてゆく。まあ、それも自然の摂理なのかも知れない。

実は、今日無理やり丘に上がったのにはもう一つ訳が有った。新しいカメラを試したかったのだ。小さいほうのカメラCANON EOSkissX4はまだドックに入っている。カメラ本体が悪いのではなく、いつも使っている標準ズームレンズのマイクロモーターに問題が有るらしい。だからと言う訳では無いのだが、二つのカメラとは別にコンパクトデジカメ、通称「コンデジ」を買うことにした。惑星の撮影にはコンデジのコリメート法が有利だと、教えてくれた人がいたからだ。
コンデジはものすごい数が市場に出ている。どれにしようかと物色していて、「星空モード」というマニアックな機構を搭載したカメラを見つけた。CANON PowerShot G7Xだ。この星空モードには不思議な機能が付いている。「星空インターバル動画」。カメラを空に向けてシャッターを切るだけで、自動的に日周運動で星が動いてゆく様をGIF動画で撮ってくれるというものだ。正直言うとこれに惹かれて手を出してしまった。このほか、星空バックの記念写真を撮る「星空ポートレート」や「星空夜景」「星空軌跡」など、開発スタッフに天文マニアがたくさん居るキャノンならではの発想だ。
と言う訳で丘に上がる前にカメラ店に寄って手に入れた。

今日は朝から青空が広がっていた。ひょっとしたら満天の星になるかも知れない。重いカメラバッグは家に置いて、新入りのG7Xだけを手に丘に向かったのだが、空はなかなか思うようにならない。夕方になって雲が広がってしまった。

竹取庵の機材の仲間入りをしたカメラの星空デビュー。力いっぱいの天体写真を撮らせてあげなければ。そう思って家に帰っては見たものの、何か撮りたい。そこで、星空に少し似ているホタルを撮ってみようと思いついた。自宅から2キロ足らずの場所にホタルの保護地域が有る。ちょうど今シーズンだ。
行ってみるとたくさんの人が来ていた。そこに交じってカメラを構える。そこで三脚を持って来ていないことに気付いた。それだけではない。取扱い説明書も持って来なかった。たくさんあるダイヤルを使い方も分からずに暗闇で回す。悪戦苦闘の末、なんとなく使い方が分かってきた。結局カメラ感度500、シャッタースピード8秒、絞り1.8と、すべてフルマニュアルで撮影。三脚無しにしてはどうにか撮れていると思う。左側が明るいのは車のヘッドライトだ。

家に帰ってここにアップするためにホタルの写真のサイズをいじっていてなんとなく悲しくなった。ああ、星が撮りたい。ホタルには悪いが、僕は君たちを撮るためにこのカメラを買ったんじゃない。それに、確かに丘を下りるとき空には雲が有ったが、時が経つにつれて晴れ間が広がり、ホタルを撮っている間、靄の中ながら月や金星、木星、土星が見えていた。ああ、丘に残っていれば良かった。

今日アップした写真は、G7Xそのものを撮ったもの以外すべてPowerShotG7Xで撮りました。下から二番目の写真。太陽を入れ込んでいるのに暗部がちゃんと写っている。しかもゴーストが最小限に抑えられていて空の色や雲の形もきちんと撮れている。この写真はリサイズとトリミング以外全く画像処理していません。コンパクトデジカメもずいぶん進化しています。

 

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揺らめく農耕神

2015年05月08日 00時26分19秒 | 

そう、分かっていた。今夜の星はやたら瞬いている。丘の周囲はほとんど風が無いが、上空の気流はずいぶん悪いのだろう。昇ったばかりの土星はその影響をもろに受けるはずだ。案の定、カメラのファインダーの中の土星は、形がよく判らないほど揺らめいていた。どうしよう、高度が上がるまで待とうか。しかしこのシーズンの惑星の軌道はそれほど高くならない。それに、昼間の大工仕事でかなり疲れていた。

そうだ、このゆらゆらを写してみよう。8センチ屈折に5ミリの接眼レンズを繋ぎ、カメラ感度3200、露出5分の1秒で立て続けに撮ってみた。それを繋いだのが上のGIF動画だ。普通は気流が収まるのを待って、何十枚も撮影した画像の中から綺麗なものを何枚も重ね合わせて1枚の画像を作る。今回はありのまま。しかも黄砂まみれの赤茶色だ。これもリアルで良いかな。

高度を増した月が、身にまとったベールとともに海を照らす。時刻は午後9時をかなり回っていた。もう帰ろう。こどもの日もあと少しで終わる。連休も明日を残すだけだ。

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立待月

2015年05月07日 00時01分23秒 | 

霞の多い空に左程期待はしていなかったが、それでもせっかくカメラを持って来ている。何か星を撮って帰らなければまた欲求不満が募る。そこで今夜は月を撮ることにした。

大工仕事をしながら夕暮れを待ち、辺りが暗くなってから竹取庵の屋根を開いた。黄昏の空に春の星座がまばらに見える。パソコンを開いて星空のシミュレーターを立ち上げると、今夜の月齢は十七だ。
前にも書いたが、昔の人の月の呼び名は素晴らしい。日暮れとともに東の空に現れる月は、新月から数えて十五夜。次の夜の月は1時間近く遅れて昇る十六夜。ためらいながら昇ってくるというので「いざよい」。その次の夜の月はさらに一時間遅れるが、これならまあ立って待てる時間という事で「立待月」。次の夜は立って待っていると疲れるから座って待とうという事で「居待ち月」という具合だ。


月齢17の立待月を三脚を構えて待っていると、東南東の山の端が次第に明るくなって、少し欠けた月がゆるりゆるりと昇って来た。今夜は大きいカメラしか持って来ていない。ワイドレンズで撮影した後、あわてて300ミリの望遠に付け替え、木々の間を昇る様を狙う。

黄砂のせいだろうか、空も月もみんな茶褐色だ。いつからこんな空になってしまったんだろう。子供のころ5月の空は澄み渡っていたと思うのだが。

そんなことを考えながらふとパソコンのモニターに目をやると、月のすぐ下に明るい星がくっついているのに気付いた。カーソルをあてると土星の名が浮かび上がる。そうか、今夜は月の女神が農耕神とランデブーする夜なのだ。月が昇るのをしばらく待って、黄砂のベールの向こうにようやく土星を見つけた。

この時点で月と土星の角度は約2.5度。これが5時間後には半分の1度ちょっとまで近づくというが、そこまでは待てないか。それでも久しぶりに土星を撮ってみよう。カメラからレンズを外して8センチの望遠鏡に取り付けてみた。

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一分咲き

2015年05月06日 00時53分08秒 | Weblog

天気予報はゴールデンウィークの大半が晴れだと予想していた。しかしそのど真ん中が満月で、星の写真を撮るのには適していない。だからカメラを持って丘に上がるのはあまり乗り気がしなかった。それに前半は家の用事に追われ、4日は仕事。残す休みは2日しかない。と言う訳で今日はカメラを持って丘に上がった。小さいほうのカメラはレンズを含めてメンテナンス中。そこで車に積んだのは持ち歩くにやや嵩張る大きいほうのカメラだ。

丘に上がってびっくりした。一週間ほど前にまだ小さかったみかんのつぼみがもう大きく膨らんで、桜で言うなら一分咲き。丘にはそろそろ甘い香りが漂い始めていた。開いた花に、さっそくお客さんが来ている。

アブならまだ良いが、ハナムグリやカメムシ、カミキリの類は勘弁して欲しい。今年もまた害虫駆除に追われるのだろうか。そう言えば竹取庵の手前でおばさんの娘さんに出会った。ブルーベリー号のお礼をしきりに言う。しかしお礼を言いたいのはこちらだ。
「動きますか。」と聞くと
「ちゃんと普通に動くよ。」との返事。
ふと見ると、繁みの奥に薬剤のタンクを積んだブルーベリー号が居た。もう働いている。彼もきっと喜んでいるだろう。

今日のみかんの丘は五月晴れ。ただ、なんとなくもやが濃い。聞けばPM2.5と黄砂がかなり飛んできているという。昔は初夏になると青空が広がっていたように思う。最近は空がはっきりしないまま梅雨に入る。

今夜はどうだろう。このまま晴れてくれるかな。と言ってもこの靄。それに月齢は17だ。ほとんど何も撮れないだろうけれど。

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