ガイド鏡に使っている8センチ屈折からウェブカメラを外す。その後にアイピースとアダプターを取り付けて、カメラを20センチから載せ替えた。ガイド星があれほど踊っていたのだから金星でも同じだ。それはまるで、せせらぎの奥の宝石を見ているようだった。カメラの感度を1600にして露出を60分の1に変更。出来るだけ早いシャッターで切らなければブレてしまう。
モニターの中の金星は美しく輝きながらダンスを踊っていた。ただ、じっと眺めていると、時折その動きが穏やかになる。それを狙ってシャッターを切っていった。金星は今太陽に対して40度余り東に有る。地球から見ると半月より少し欠けた形をしていた。40回くらいシャッターを切ったところでモニターから姿が消える。見ると金星は山の端に隠れてしまい、雲が空の半分以上を覆っていた。風も衰えない。今夜はやはり無理だ。あきらめて屋根を閉めた。家に帰って、写した画像からゆがみの少ないもの11枚を選び出して重ね合わせたのがこの画像だ。下が赤く、上が青いのは大気によるプリズム効果。低い位置だから仕方が無い。
宵の明星はこれからますます太陽に近づいて、今よりも大きく、そしてさらに欠けてゆく。その姿を追いかけてみようかと思った。
いつもの事だが8月は忙しい。仕事も家の用事も友達も、みんな一度にやってくる。だからなかなか竹取庵の屋根をひらけない。それに今年は異常な暑さのお陰で、何とかみかんの丘に上がれても、苗の水遣りと機材のメンテナンスで終わってしまう。
その中で迎えた今日。今月最後の週末だ。朝から透明度の高い青空が広がっていた。カメラのバッテリーを充電して丘に上がる。今日こそは写真を撮ろう。日が沈んでから月が昇るまでの2時間が勝負だ。そう思っていた。
ところが黄海を北上している台風崩れの低気圧のお陰で、夕方から雲が増え始めた。しかも風が強い。北にスライドする竹取庵の屋根では南風は防げないのだ。ガイド鏡の星像がぶるぶる揺れる。星雲の撮影はあきらめざるを得なかった。仕方が無いと思いながら西の空に目をやると雲間に金星が見える。宵の明星は今夜、おとめ座のα星スピカと並んでいた。
これでも撮ろうかな。ただ、かなり低い。しかもこの強風。大丈夫だろうか。
その中で迎えた今日。今月最後の週末だ。朝から透明度の高い青空が広がっていた。カメラのバッテリーを充電して丘に上がる。今日こそは写真を撮ろう。日が沈んでから月が昇るまでの2時間が勝負だ。そう思っていた。
ところが黄海を北上している台風崩れの低気圧のお陰で、夕方から雲が増え始めた。しかも風が強い。北にスライドする竹取庵の屋根では南風は防げないのだ。ガイド鏡の星像がぶるぶる揺れる。星雲の撮影はあきらめざるを得なかった。仕方が無いと思いながら西の空に目をやると雲間に金星が見える。宵の明星は今夜、おとめ座のα星スピカと並んでいた。
これでも撮ろうかな。ただ、かなり低い。しかもこの強風。大丈夫だろうか。
最初の約束は11日だった。ところが今年初めて日本に近づく台風がこの日最接近となる。そこで、台風一過の晴天を期待して二日後に日を移したが、有ろう事かこの台風が巻き込んだ南の湿気と北の寒気で、当日の13日もべた曇。せっかく竹取庵にお招きしたものの、空はおろか島影すら見えない。
それでも観測デッキでのパーティーは予定通り始まった。僕が住む家の隣の町内にある、ご近所自慢のミニ地ビール屋さんからサーバーを持ち込む。ここのビールはお世辞抜きでうまい。それをみんなで堪能した後始まったのが流しそうめん。同じところをくるくる回る流しそうめん機は、こんなもの流しそうめんと言えるのかと馬鹿にしていたが、なんと使ってみたら結構面白い。氷をたくさん入れた事もあってそうめんが何時までも冷たい。しかも楽しい。ぐるっとひと巡りするそうめんを眺めていると天の川を思い浮かべてしまう。
ただ、パーティーは楽しかったものの、やはり目的は星の撮影。みんなで未練がましく空を見上げてみても、本物の天の川はおろか星一つ見えない。やむなく夜半前に丘を下りた。次こそは満天の星の下でと誓いながら。
それでも観測デッキでのパーティーは予定通り始まった。僕が住む家の隣の町内にある、ご近所自慢のミニ地ビール屋さんからサーバーを持ち込む。ここのビールはお世辞抜きでうまい。それをみんなで堪能した後始まったのが流しそうめん。同じところをくるくる回る流しそうめん機は、こんなもの流しそうめんと言えるのかと馬鹿にしていたが、なんと使ってみたら結構面白い。氷をたくさん入れた事もあってそうめんが何時までも冷たい。しかも楽しい。ぐるっとひと巡りするそうめんを眺めていると天の川を思い浮かべてしまう。
ただ、パーティーは楽しかったものの、やはり目的は星の撮影。みんなで未練がましく空を見上げてみても、本物の天の川はおろか星一つ見えない。やむなく夜半前に丘を下りた。次こそは満天の星の下でと誓いながら。
次の週、仕事の合間を見てみかんの丘に上がった。竹取庵の掃除と望遠鏡の光軸合わせのためだ。1時間ほどでその調整は終わったが、軸が合えば星を撮りたくなる。今の時期、昼間雲が多くても夜になるとその雲が消えることが多い。上昇気流が無くなるためだ。案の定午後9時を回ると星が美しい。
何を撮ろうと考えたが、明日は仕事、長居は出来ない。狙うなら前回のリベンジ、はくちょう座の網状星雲、天女の羽衣だ。筒先を向けてピントを合わせ、露光に入る。カメラ感度は3200。露出は6分2回、4分1回、3分1回。なぜか赤道儀の調子が悪くてガイド星が踊る。長い露出は出来なかった。
しかしその結果はご覧の通り。小さいカメラに比べて確かにノイズが少なく切れが良い。値段の差かな。ちょっと嬉しくなる。もちろん小さいカメラも大切なパートナー。得意技はみんな同じではない。
時間が遅くなって、対となる片割れの羽衣が撮れないのが心残りとなった。
前に網状星雲をアップしてから2週間も経ってしまった。その間晴れ間が無かったわけではないが、この季節はなかなか忙しい。仕事は増えるし、夜もお誘いが掛かる。また、夏休みになった友人たちが遊びに来るのだ。
その中に、毎年竹取庵にお招きしている家族連れがある。その一家に今年はなんとか星の写真を撮ってもらおうと思った。架台の脆弱な45センチ「かぐや姫」はまだダメだが、20センチ反射ならなんとか撮れないだろうか。本当はこの望遠鏡は本格的な改造を考えている。ただそれには時間が掛かる。気合いも必要だ。とても間に合わない。そこでメンテナンスだけする事にした。
筒から鏡を外すと予想以上の埃。前に掃除したのは何時だったっけ。とりあえず水洗いをして元通りに組み込む。続いて斜鏡と補正レンズをクリーニング。その間に有るフィルターは水洗いをして組み直した。光軸の調整は後にして、ケーブル類のチェックとコンピュータの動作確認。後は掃除をして接客用の椅子とテーブルをセットする。これは次の休みにすることにした。
その中に、毎年竹取庵にお招きしている家族連れがある。その一家に今年はなんとか星の写真を撮ってもらおうと思った。架台の脆弱な45センチ「かぐや姫」はまだダメだが、20センチ反射ならなんとか撮れないだろうか。本当はこの望遠鏡は本格的な改造を考えている。ただそれには時間が掛かる。気合いも必要だ。とても間に合わない。そこでメンテナンスだけする事にした。
筒から鏡を外すと予想以上の埃。前に掃除したのは何時だったっけ。とりあえず水洗いをして元通りに組み込む。続いて斜鏡と補正レンズをクリーニング。その間に有るフィルターは水洗いをして組み直した。光軸の調整は後にして、ケーブル類のチェックとコンピュータの動作確認。後は掃除をして接客用の椅子とテーブルをセットする。これは次の休みにすることにした。