長い間日本列島を支配していた冬型の気圧配置が緩んで移動性の高気圧が西日本に差し掛かろうとしていた。月は無い。しかもたまたま今日は休みだ。今日撮らなければ撮る日が無い。カメラバッグを車に積んで夕方までに家の用事を済ませると、日が沈む前に車をみかんの丘に走らせた。連日の激しい労働。疲れているはずなのに体が軽い。そうだ。星を撮るために丘に向かうのは本当に久しぶりだった。
丘に着くと黄昏を終えた空が迎えてくれた。満天の星。急いで竹取庵に入って観測デッキの屋根を開ける。長い間この作業をしていないのに気が付いた。潮風でモーターの電源の一つが外れかかっている。屋根の鉄骨もあちこち錆ていた。いい加減に塗らなければと思いながら10年近い歳月が流れてしまった。
やっと開けた空では冬の星座たちがかまびすしい。待ってろ。今撮ってやる。赤道儀に火を入れ、パソコンを開いてオートガイダーのウインドウを開く。まずは小さいほうのカメラCANON EOSkissX4をピギーバックで取り付けた後、ガイド星を導入して動作確認。よし、作業手順は忘れていない。カメラ感度1600で露出は30秒とした。狙うのはここだ。
この星座の周辺では水素ガスが渦を巻いているという。その渦の一つ、「バーナードループ」を写し撮る。それが今夜の目的だった。ずいぶん前からの夢。そのために赤外線撮影用のカメラを買い、フィルターだっていくつも買ったのだから…
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