細胞の掟

設計屋から始まって、肉屋、洋菓子、和菓子、そして今度は鉄工所です。こう次々と偽装や改ざんが出てくると、感覚が麻痺してあまり驚かなくなります。後ろめたい企業は「今なら目立たない」と続々と名乗り出てきます。内部告発者も総会屋もうかうかしていると会社に先を越されてしまいます。マスコミも中途半端な偽装や改ざんでは相手にしてくれません。こうなるといよいよ究極の真打の登場が期待できます。地球人のフリをしてきた「宇宙人」です。缶コーヒーのＣＭに出てくるトミーおじさんではありません。あれは宇宙人のフリをした地球人です。あくまで地球外生命体でなければなりません。

但し大きな問題があります。「すいません！あたしはカニ座生まれのカニっ子でした」なんて魚屋のじいさんに突然言われても「証拠」を示してもらわないことには単なる痴呆としか思われません。例えば地球人とは全く組成の異なる細胞とかＤＮＡとか、のけぞるような証拠を見たいものです。こんな前フリをしたのは他でもない、人の皮膚細胞から何にでもなる「万能細胞」を作ることに成功したニュースです。多能性幹細胞「ｉＰＳ細胞」とか言うのだそうですが、もしかしたら太古の昔に隕石に紛れ込ませた「万能バクテリア」が地球に落下して、地球上の「何か」に取り付いて繁殖して、地球人になりすましている可能性もあります。

問題は最初に取り付いた「対象」によって「育ち」に差が出ることです。猿に取り付いて進化した「人」は懐かしい夜空の星を見上げて歌を詠むなんてハイカラな行動をとりますが、酔うとやたら木に取り付くヤツとか、みだりに女王様に擦り寄るヤツは蝉とか蜂に取り付いたバクテリアを「祖先」にもっている可能性もあります。「貴方のルーツを４０億年前まで調べます」なんて商売が登場する日も遠くないかも知れません。その時も「ゴキブリ」の祖先を「鶴」なんて偽装する輩がいるに違いありません。