こんなに映画のような展開を誰が予想・・・圧倒的な体格・体力差がありながら、これまで勝ったことがない強豪国を次々と破り、決勝では99%アメリカの勝ちだと思われた試合を耐えに耐えて最後にひっくり返してのW杯世界一・・・試合が始まった直後のアメリカの怒涛の攻撃をみて誰もがこれは負けるかもしれないと感じ、そして後半69分にゴリラのようなFWワンバック(実はいいおばさんだった)に先制点を許した段階で「まあ、準優勝でも出来すぎだな」なんて日本人特有の「心の準備」をした人も多かった筈です。ここから奇跡が始まるとは・・・それは単なる精神力とか運とか偶然ではなく、アメリカの選手が試合前に言っていてように「今の日本には何かが後押しをしている(GKソロ)」、「アメリカを除く全ての国が日本の味方になっている(FWワンバック)」・・・彼女達の予感どおりアメリカには「悪魔」がとり憑き、日本には「女神」が微笑んだ結果になりました。
日頃から「斜め」にしかものを見ない少年探偵団ですら「神様が結果を操作したのさ」と信じて疑いません。理由は簡単で毎試合直後に「To Our Fiends the World Thank You for Yuor Support」と書かれた横断幕をかざして場内を一周する「なでしこ」を神様が見れば、未曾有の災害と原発事故に襲われながら人々に勇気を与えようと頑張る「けなげな受難者」に映った筈で、ここで一肌脱がなければ「女神の信用」に傷が付きます。
実は勝利の女神には「実績」があります。古くは昭和38年11月9日、死者458人・中毒839人の戦後最大の炭坑災害となった三井鉱山三池鉱の炭塵爆発事故。その2年後の昭和40年、第47回全国高校野球大会でその三池工業高校が初優勝。最近では、2005年アメリカ史上最悪のハリケーン・カトリーナの傷から完全に癒えていない第44回スーパーボウルで地元のニューオリンズ「セインツ」が創設44年目にして初優勝しています。そんな「実績」が頭をよぎったのかどうかPK戦に望むアメリカ選手達の表情はガチガチ・・・何しろ勝って当たり前の日本にPK戦まで追い詰められたアメリカと、ここまで来たのが出来すぎの日本とではプレッシャーの度合いが全く違います。笑いが出ている日本選手達を見て「日本は勝つかも知れない」と予感・・・その通りになりました。何よりも嬉しいのは世界中のメディアが政治・経済記事を差し置いて「なでしこ日本」の優勝を取り上げたこと・・・相手のアメリカですら賛辞を惜しまなかったのは、受難国日本へのエールと言えます。後は「燃え尽き症候群」にならないこと、収入が増えても「ハングリー」を失わないこと、興奮醒めて「女子ソフトボール」にようにならないこと、あの野暮なユニフォームは何とかならんのか・・・と願う老少年探偵団でした。