人には、CD45というチロシンホスファターゼという抗体
が存在するようです.
CD45は、B細胞、T細胞の活性に必要であり、赤血球、
血小板およびそれらの前駆細胞を除いた全てのヒト造血
系由来の細胞に発現しています.
また、CD45は、未熟B細胞のアポトーシスと成熟B細胞の
活性化のための制御にも関係し、T細胞(リンパ球)の
アポトーシス(細胞死)誘導にも広くかかわる抗体です.
前出のナイーブT細胞Th0からのTh1への分化があるとき、
免疫適格なT細胞産生のために、アポトーシスが必要と
されます.
機能しうるT細胞レセプターをもたない場合のT細胞や、
自己免疫疾患を引き起こすT細胞は、アポトーシスに
より、除去されうる対象となりえます.
とくに、リンパ節や脾臓での末梢のリンパ器官では、
活性化T細胞が産生するサイトカインにより起こりうる
自己免疫疾患などを抑えるため、アポトーシスにより
有害となるT細胞を誘導死することが知られています.
自己免疫疾患とリンパの活動は、一見すると矛盾を
含んでいるようによく誤解されます.
つまり、本来は外敵を攻撃するはずのリンパ球が
勝手に間違いを犯して自分の正常細胞を敵と認識して
攻撃し、その結果炎症がおきるという過剰な免疫反応を
自己免疫疾患の原因ととらえると確かに矛盾しますね.
しかし、ウイルスなどに対応すべきリンパ球が自己を
敵として認識しまう、ということは、そうしたリンパ
球はもはや自己の防衛にはならないので、それを監視
して排除する機構があって当然であって、それを請け
負っているのがCD45だということなのです.
→http://www.immunology.cam.ac.uk/directory/profile.php?nh106
ところで、このCD45は、興味深い特徴があるようです.
宿主のタンパク質チロシンホスファターゼ(CD45)の
低下に、エボラウィルスの致死性を下げる効果がある
ことが、米国陸軍感染研究所(USAMRIID)のマウス実験
によって確認されました.
→http://www.eurekalert.org/pub_releases/2009-08/uamr-shg082009.php
CD45遺伝子の発現が低下しているマウスは、感染後も
遺伝子発現のコントロールを保ち、免疫細胞を増殖し、
アポトーシスを抑制して、ウイルスの排除を促進した
ようです.
確かに、ウイルス感染が進む上で、それに関連した免疫
細胞を除去するにしても精度とかが問われそうですね.
間違えって、正常機能な免疫細胞を除去すれば、ウイルス
排除もできなくなる可能性が高くなります.
さらに、エボラのみでなく、、
「Journal of Biological Chemistry」での研究結果は、
CD45遺伝子が炭疽菌予防にも関係する可能性を示唆して
います.USAMRIIDが行った実験によると、CD45遺伝子発現
が62%のマウスの70%が炭疽菌への暴露から生き残った
という、知見が以下から参照できます.
→http://www.cell.com/cell-host-microbe/abstract/S1931-3128%2809%2900248-0
ということで、カウンタレセプターであるCD45は、
T(リンパ球)細胞のコントロールに関連している、
ということ、および、前回のブログで述べた、T細胞
の時遅れ的なB細胞活性(Th1→Th2遷移)、という
ことを鑑みると、免疫系全体のホメオスタシスに
関与している、といえそうです.
アポトーシスとホメオスタシスの関係を、別の機会
でもぐもぐしてみたいです.
が存在するようです.
CD45は、B細胞、T細胞の活性に必要であり、赤血球、
血小板およびそれらの前駆細胞を除いた全てのヒト造血
系由来の細胞に発現しています.
また、CD45は、未熟B細胞のアポトーシスと成熟B細胞の
活性化のための制御にも関係し、T細胞(リンパ球)の
アポトーシス(細胞死)誘導にも広くかかわる抗体です.
前出のナイーブT細胞Th0からのTh1への分化があるとき、
免疫適格なT細胞産生のために、アポトーシスが必要と
されます.
機能しうるT細胞レセプターをもたない場合のT細胞や、
自己免疫疾患を引き起こすT細胞は、アポトーシスに
より、除去されうる対象となりえます.
とくに、リンパ節や脾臓での末梢のリンパ器官では、
活性化T細胞が産生するサイトカインにより起こりうる
自己免疫疾患などを抑えるため、アポトーシスにより
有害となるT細胞を誘導死することが知られています.
自己免疫疾患とリンパの活動は、一見すると矛盾を
含んでいるようによく誤解されます.
つまり、本来は外敵を攻撃するはずのリンパ球が
勝手に間違いを犯して自分の正常細胞を敵と認識して
攻撃し、その結果炎症がおきるという過剰な免疫反応を
自己免疫疾患の原因ととらえると確かに矛盾しますね.
しかし、ウイルスなどに対応すべきリンパ球が自己を
敵として認識しまう、ということは、そうしたリンパ
球はもはや自己の防衛にはならないので、それを監視
して排除する機構があって当然であって、それを請け
負っているのがCD45だということなのです.
→http://www.immunology.cam.ac.uk/directory/profile.php?nh106
ところで、このCD45は、興味深い特徴があるようです.
宿主のタンパク質チロシンホスファターゼ(CD45)の
低下に、エボラウィルスの致死性を下げる効果がある
ことが、米国陸軍感染研究所(USAMRIID)のマウス実験
によって確認されました.
→http://www.eurekalert.org/pub_releases/2009-08/uamr-shg082009.php
CD45遺伝子の発現が低下しているマウスは、感染後も
遺伝子発現のコントロールを保ち、免疫細胞を増殖し、
アポトーシスを抑制して、ウイルスの排除を促進した
ようです.
確かに、ウイルス感染が進む上で、それに関連した免疫
細胞を除去するにしても精度とかが問われそうですね.
間違えって、正常機能な免疫細胞を除去すれば、ウイルス
排除もできなくなる可能性が高くなります.
さらに、エボラのみでなく、、
「Journal of Biological Chemistry」での研究結果は、
CD45遺伝子が炭疽菌予防にも関係する可能性を示唆して
います.USAMRIIDが行った実験によると、CD45遺伝子発現
が62%のマウスの70%が炭疽菌への暴露から生き残った
という、知見が以下から参照できます.
→http://www.cell.com/cell-host-microbe/abstract/S1931-3128%2809%2900248-0
ということで、カウンタレセプターであるCD45は、
T(リンパ球)細胞のコントロールに関連している、
ということ、および、前回のブログで述べた、T細胞
の時遅れ的なB細胞活性(Th1→Th2遷移)、という
ことを鑑みると、免疫系全体のホメオスタシスに
関与している、といえそうです.
アポトーシスとホメオスタシスの関係を、別の機会
でもぐもぐしてみたいです.