今回は、まだ未知数の多い免疫系の救世主かもしれない
NKT細胞について書いてみようと思います.
免疫系は、病原体成分をパターン認識し即座に対応する
自然免疫系と、詳細に病原体を分析し時間をかけて個々
に対応する獲得免疫系の二つからなりたっていると考え
られています.
自然免疫系に代表されるのは、白血球、マクロファージ、
NK細胞で、一方、獲得免疫系に相当するのは、リンパ球
が主体で、リンパに発現している幾多にも及ぶ、抗原
受容体によって異物を識別し、抗原と特異的に結合でき
る抗原受容体をもつリンパ球の増殖で反応が始まります.
いったん、リンパ球が増殖すると、免疫記憶細胞は異物
を記憶し、次に、侵入した場合はその記憶を手がかりに
反応を試みます.
免疫系が知能的であることは、知能の定義である、流動
性知能(即決対応)と、記憶を基にした、結晶性知能
(データベース対応)にあてはまることからわかります.
流動性や結晶性知能は、以前にもブログで紹介しました.
脳も免疫も、こうした点から繋がっているようですね.
ところで、自然免疫系と獲得免疫系とを結合してそれら
の機能を増幅させる仕組みが徐々にわかりつつあります.
その一つとして注目されているのが'NKT細胞’です.
この細胞は、NK細胞とT細胞の両方のマーカー分子を
もつことから命名されたようです.
NKT細胞の特徴は、同一のアミノ酸から配列からなる
ただ一種類の抗原受容体(Vα14遺伝子)しか発現して
いない点のようです.
実際、NKT細胞を欠損するラットでは、ウイルス、細菌、
寄生虫、カビなどの病原体を排除できない上にガンに
対するCD8キラーT細胞、CD4ヘルパーT細胞の増殖が
できないので、ワクチン効果は期待できません.
NKT細胞はTh1、Th2両タイプのサイトカインであるIFNγ
およびIL-4を大量に産生するほか、パーフォリン/
グランザイムやFasリガンド、TNFによるアポトーシス
誘導リガンドといったさまざまな殺細胞誘導因子を
発現することで標的細胞に対して直接細胞傷害活性
によって抗腫瘍効果があります.
また、NK細胞やT細胞といった他のエフェクター細胞の
標的細胞傷害活性の増強を行う点で非常にユニークな
細胞でもあり、こういった細胞をマウスや人の体内で
持つに至った経緯を知りたいところであります.
Th1とTh2との融合や調和は、免疫系がもつ外敵に対し、
最もパワフルに振舞える最適な姿であり、それゆえ、
生態系がもつ最高の知能系とも思えると、やはり、
その系を生むための歴史(戦い)があるはずですね.
ところで、本来、Th1とTh2は、互いに拮抗し合う関係
のようですが、Th1は、Th2を刺激し、Th2はTh1を刺激
し合うのが望ましいと考えられているようです.
Th1は、IFNγによって優位となります.これはCD4+
ヘルパーT細胞を活性させることになり、これに基き
Th2優位に分化し、IL-4、IL-13がIgEクラススイッチ
を誘導し、IgE産生を促進します.
この流れがうまくいくと、結果的にTh1とTh2とのバラ
ンスが取れる、という考えです.
逆に、上記の流れ、Th1からTh2への分化がうまくいか
ないのが免疫系の破綻、といえるのでは、、
ところで、以前、紹介した人や牛の初乳に含まれる
免疫情報を伝達するトランスファーファクターは、
Th1とTh2のバランスをとる作用も示唆されており、
、またNK活性にも貢献することからNKT細胞そのもの
ではないか、とも思えますがどうなのでしょうか.
免疫系増進の救世主であるNKT細胞とトランスファー
ファクターの関係がとても興味深いです.
因みに、Th1優位(TH1-dominant)、Th2優位と
トランスファーファクターとの相関について述べられた
論文が以下により参照できます:
Transfer Factor and It's Clinical Applications
by Steven J. Bock, MD
TH1-dominant states are generally not helped by transfer factor,
and could be exacerbated. Many of them, such as rheumatoid arthritis,
multiple sclerosis, and Crohn’s disease, are thought to be possibly
caused by an infection or reaction to a pathogen.
If the TH1 response is an inadequate attempt of the immune system
to fight off a microbe, then transfer factor would augment that process
and be effective in certain cases.
Clinically, this is seen in certain cases, e.g., Crohn’s disease,
mutiple sclerosis, and chronic Lyme disease, where transfer factor
helps a TH1-dominant condition.
Transfer factor augments cell-mediated immunity or pushes a TH2 to a TH1 state.
This is useful in TH2-dominated conditions.
Normally, on exposure to gut-related microbes and childhood infections,
a child’s TH2-dominated immune system is subject to TH1 stimulation
and TH1/TH2 balance ensues. If TH2 dominance remains, this can lead
to atopic, or allergic states. We see this in the increased incidence
of allergic symptoms, postnasal drip, asthma, etc., in clinical practice.
要は、トランスファーファクターが有効なのは、Th1優位の
ときというよりも、Th2優位からTh1優位に移行(分化)
するときで、Th2優位が続くと、アトピーなどのアレルギー
が進むのですが、分化を促進し、Th1優位に戻すことで
アレルギーが軽減できるかも、という感じのようですね、、
このあたりもう少しもぐもぐしたいところです.
NKT細胞について書いてみようと思います.
免疫系は、病原体成分をパターン認識し即座に対応する
自然免疫系と、詳細に病原体を分析し時間をかけて個々
に対応する獲得免疫系の二つからなりたっていると考え
られています.
自然免疫系に代表されるのは、白血球、マクロファージ、
NK細胞で、一方、獲得免疫系に相当するのは、リンパ球
が主体で、リンパに発現している幾多にも及ぶ、抗原
受容体によって異物を識別し、抗原と特異的に結合でき
る抗原受容体をもつリンパ球の増殖で反応が始まります.
いったん、リンパ球が増殖すると、免疫記憶細胞は異物
を記憶し、次に、侵入した場合はその記憶を手がかりに
反応を試みます.
免疫系が知能的であることは、知能の定義である、流動
性知能(即決対応)と、記憶を基にした、結晶性知能
(データベース対応)にあてはまることからわかります.
流動性や結晶性知能は、以前にもブログで紹介しました.
脳も免疫も、こうした点から繋がっているようですね.
ところで、自然免疫系と獲得免疫系とを結合してそれら
の機能を増幅させる仕組みが徐々にわかりつつあります.
その一つとして注目されているのが'NKT細胞’です.
この細胞は、NK細胞とT細胞の両方のマーカー分子を
もつことから命名されたようです.
NKT細胞の特徴は、同一のアミノ酸から配列からなる
ただ一種類の抗原受容体(Vα14遺伝子)しか発現して
いない点のようです.
実際、NKT細胞を欠損するラットでは、ウイルス、細菌、
寄生虫、カビなどの病原体を排除できない上にガンに
対するCD8キラーT細胞、CD4ヘルパーT細胞の増殖が
できないので、ワクチン効果は期待できません.
NKT細胞はTh1、Th2両タイプのサイトカインであるIFNγ
およびIL-4を大量に産生するほか、パーフォリン/
グランザイムやFasリガンド、TNFによるアポトーシス
誘導リガンドといったさまざまな殺細胞誘導因子を
発現することで標的細胞に対して直接細胞傷害活性
によって抗腫瘍効果があります.
また、NK細胞やT細胞といった他のエフェクター細胞の
標的細胞傷害活性の増強を行う点で非常にユニークな
細胞でもあり、こういった細胞をマウスや人の体内で
持つに至った経緯を知りたいところであります.
Th1とTh2との融合や調和は、免疫系がもつ外敵に対し、
最もパワフルに振舞える最適な姿であり、それゆえ、
生態系がもつ最高の知能系とも思えると、やはり、
その系を生むための歴史(戦い)があるはずですね.
ところで、本来、Th1とTh2は、互いに拮抗し合う関係
のようですが、Th1は、Th2を刺激し、Th2はTh1を刺激
し合うのが望ましいと考えられているようです.
Th1は、IFNγによって優位となります.これはCD4+
ヘルパーT細胞を活性させることになり、これに基き
Th2優位に分化し、IL-4、IL-13がIgEクラススイッチ
を誘導し、IgE産生を促進します.
この流れがうまくいくと、結果的にTh1とTh2とのバラ
ンスが取れる、という考えです.
逆に、上記の流れ、Th1からTh2への分化がうまくいか
ないのが免疫系の破綻、といえるのでは、、
ところで、以前、紹介した人や牛の初乳に含まれる
免疫情報を伝達するトランスファーファクターは、
Th1とTh2のバランスをとる作用も示唆されており、
、またNK活性にも貢献することからNKT細胞そのもの
ではないか、とも思えますがどうなのでしょうか.
免疫系増進の救世主であるNKT細胞とトランスファー
ファクターの関係がとても興味深いです.
因みに、Th1優位(TH1-dominant)、Th2優位と
トランスファーファクターとの相関について述べられた
論文が以下により参照できます:
Transfer Factor and It's Clinical Applications
by Steven J. Bock, MD
TH1-dominant states are generally not helped by transfer factor,
and could be exacerbated. Many of them, such as rheumatoid arthritis,
multiple sclerosis, and Crohn’s disease, are thought to be possibly
caused by an infection or reaction to a pathogen.
If the TH1 response is an inadequate attempt of the immune system
to fight off a microbe, then transfer factor would augment that process
and be effective in certain cases.
Clinically, this is seen in certain cases, e.g., Crohn’s disease,
mutiple sclerosis, and chronic Lyme disease, where transfer factor
helps a TH1-dominant condition.
Transfer factor augments cell-mediated immunity or pushes a TH2 to a TH1 state.
This is useful in TH2-dominated conditions.
Normally, on exposure to gut-related microbes and childhood infections,
a child’s TH2-dominated immune system is subject to TH1 stimulation
and TH1/TH2 balance ensues. If TH2 dominance remains, this can lead
to atopic, or allergic states. We see this in the increased incidence
of allergic symptoms, postnasal drip, asthma, etc., in clinical practice.
要は、トランスファーファクターが有効なのは、Th1優位の
ときというよりも、Th2優位からTh1優位に移行(分化)
するときで、Th2優位が続くと、アトピーなどのアレルギー
が進むのですが、分化を促進し、Th1優位に戻すことで
アレルギーが軽減できるかも、という感じのようですね、、
このあたりもう少しもぐもぐしたいところです.