なんでもぐもぐもぐ= (なんでも-も)+(も+ぐ)+もぐもぐ

専門のマシン知能に限らず、身辺で感じたこと、なんでも、なぜ、という観点から
もぐもぐもぐ(深堀り)を試みるブログです.

免疫ホメオスタシスとアポトーシスの関係

2010-02-26 20:47:16 | 日記
人には、CD45というチロシンホスファターゼという抗体
が存在するようです.

CD45は、B細胞、T細胞の活性に必要であり、赤血球、
血小板およびそれらの前駆細胞を除いた全てのヒト造血
系由来の細胞に発現しています.

また、CD45は、未熟B細胞のアポトーシスと成熟B細胞の
活性化のための制御にも関係し、T細胞(リンパ球)の
アポトーシス(細胞死)誘導にも広くかかわる抗体です.

前出のナイーブT細胞Th0からのTh1への分化があるとき、
免疫適格なT細胞産生のために、アポトーシスが必要と
されます.

機能しうるT細胞レセプターをもたない場合のT細胞や、
自己免疫疾患を引き起こすT細胞は、アポトーシスに
より、除去されうる対象となりえます.

とくに、リンパ節や脾臓での末梢のリンパ器官では、
活性化T細胞が産生するサイトカインにより起こりうる
自己免疫疾患などを抑えるため、アポトーシスにより
有害となるT細胞を誘導死することが知られています.

自己免疫疾患とリンパの活動は、一見すると矛盾を
含んでいるようによく誤解されます.

つまり、本来は外敵を攻撃するはずのリンパ球が
勝手に間違いを犯して自分の正常細胞を敵と認識して
攻撃し、その結果炎症がおきるという過剰な免疫反応を
自己免疫疾患の原因ととらえると確かに矛盾しますね.

しかし、ウイルスなどに対応すべきリンパ球が自己を
敵として認識しまう、ということは、そうしたリンパ
球はもはや自己の防衛にはならないので、それを監視
して排除する機構があって当然であって、それを請け
負っているのがCD45だということなのです.
→http://www.immunology.cam.ac.uk/directory/profile.php?nh106

ところで、このCD45は、興味深い特徴があるようです.

宿主のタンパク質チロシンホスファターゼ(CD45)の
低下に、エボラウィルスの致死性を下げる効果がある
ことが、米国陸軍感染研究所(USAMRIID)のマウス実験
によって確認されました.
→http://www.eurekalert.org/pub_releases/2009-08/uamr-shg082009.php

CD45遺伝子の発現が低下しているマウスは、感染後も
遺伝子発現のコントロールを保ち、免疫細胞を増殖し、
アポトーシスを抑制して、ウイルスの排除を促進した
ようです.

確かに、ウイルス感染が進む上で、それに関連した免疫
細胞を除去するにしても精度とかが問われそうですね.

間違えって、正常機能な免疫細胞を除去すれば、ウイルス
排除もできなくなる可能性が高くなります.

さらに、エボラのみでなく、、
「Journal of Biological Chemistry」での研究結果は、
CD45遺伝子が炭疽菌予防にも関係する可能性を示唆して
います.USAMRIIDが行った実験によると、CD45遺伝子発現
が62%のマウスの70%が炭疽菌への暴露から生き残った
という、知見が以下から参照できます.
→http://www.cell.com/cell-host-microbe/abstract/S1931-3128%2809%2900248-0

ということで、カウンタレセプターであるCD45は、
T(リンパ球)細胞のコントロールに関連している、
ということ、および、前回のブログで述べた、T細胞
の時遅れ的なB細胞活性(Th1→Th2遷移)、という
ことを鑑みると、免疫系全体のホメオスタシスに
関与している、といえそうです.

アポトーシスとホメオスタシスの関係を、別の機会
でもぐもぐしてみたいです.
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二種類のアレルギー原因からの免疫系考察

2010-02-22 20:42:58 | 日記
前回のブログでは、免疫系には大別して二種あって、
CD4やCD8のリンパ球を主体とした細胞性免疫<Th1>と
液性免疫によるB細胞による抗体産生を主体とした<Th2>
が二つを結ぶナイーブT細胞である<Th0>と関係を持つのか、
について述べました.

インターロイキン12(IL12)によりTh0は、Th1へ分化し、
細胞傷害性T細胞CD8活性化のためのインターフェロン
INFγや腫瘍懐死因子TNFαなどのサイトカイン誘導、
および、同じく細胞傷害性をもつNK細胞の活性など
に関連することが知られています.

ケンブリッジ大学のNick Holmesは、ウイルス感染が
あった場合に、各細胞性傷害機能や抗体産生がどの
ような時間的過程において働くのかについてまとめました.

要は、ナイーブT細胞Th0がIL2からの作用により、

○INFγやTNFα(3日間)
同時くらいに、
○NK細胞(6日間)
その経過後、
○細胞性T細胞(6日間)
同時くらいに、
○抗体産生(1週間以上)

このことからわかることは、Th0→Th1→Th2への遷移には
ある程度時間が要する、ということですね.

つまり、アレルギーを引き起こすまでの”タイムラグ”が
生ずる、ということでもあります.

つまり、インフルエンザウイルス感染でも、抗体ができて
かえって悪化してしまうケースがあるのはこうした理由
も背景にあるようです.

Th2反応だと、ウイルスが体内に侵入してから、かなり
時間が経過しないとでてこないので、その間にウイルスが
多数入り込んでしまうことになります.

一方、このような症状事例に拮抗できるのが、NK細胞だと
考えられています.NK細胞である程度のウイルスを殺傷
できるとその分の負担が減らせるので、殺傷性T細胞や
B細胞による抗体産生に依存しなくともよいことになります.

Th0からTh1への状態遷移は、上述の通りなのですが、Th0
からTh2へはどうなのでしょうか.

免疫系のTh2依存性、停滞性が高くなるとアレルギーを発症
することがわかっています.

実は、アレルギーには二つの大きな特徴があります.

<即時型アレルギー>と<遅延性アレルギー>.

即時型アレルギーとは花粉などのアレルゲンを曝露されて
即座に発症する特徴があります.

一方、遅延型アレルギーとは、細胞性免疫Th1に起因して
起こるアレルギーを意味ます.
Th0からTh1に状態が遷移し、その時間経過でTh2に遷移する
ことで起こりえますね.

Th2においてサイトカインIL4によりB細胞から抗体である
IgEが産生され、肥満細胞に結合し、そこに抗原が結合する
とこれらの細胞が、ヒスタミンなどの生理活性物質を放出
することでアレルギーが発症します.

遅延型の場合も生理活性物質がアレルギーの原因となって
いることが基本なのですが、ウイルスなどの抗原がCD4など
のT細胞と特異的に反応し、マクロファージ活性を起こす
物質が原因となっている点が即時型の場合と違うようです.

恐らく重要なことは、アレルギーの原因が何か、を考える
ことは、自己の身体に起こっている免疫系の仕組みがどう
動いているかを知ることでもあるので、大変興味深いです.

即時型の場合は、アレルゲンが何か、ということが問題と
なりますが、遅延型の場合はTh0からの状態遷移において
引き起こるので、ウイルスなどの侵入性に対し、体内の
免疫がどう動くのか、とくにTh0→Th1、Th0→Th2への
状態遷移に関して垣間見ることが可能となるでしょう.

それを知ることによって、自分のアレルギーの発生原因を
把握する手がかりになればよいですね、、
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トランスファーファクターは免疫系の教育係(!?)

2010-02-09 22:14:09 | 日記
免疫グロブリンE(IgE)増加によりアトピーを
発症する事例が、様々な臨床の結果から示されて
います.アレルギーの原因となる、ヒスタミン
の量が増えることに起因しているようです.

これは、Th2優位型のリンパ系により起こること
もわかっています.

なので、アトピーを食い止めるためにはIgE産生
の量を減らす、もしくは、Th2優位型のリンパ系
をTh1に戻す、ということを行なえばよいのでは
ないか、と考えられます.

トランスファーファクターは、Th2優位の抑制を
強める、という知見もあることから、この物質
とTh1、Th2との相関を調べれば、関与する
サイトカインが絞り込めてきますね.

その一つとして考えられるのがIL4でこれを誘導
するのが、以前紹介したNKT細胞です.

ただし、NKT細胞は、IFNγも誘導する機能が
あるようなので、Th1やTh2の優位性を制御する
機能にNKT細胞がかかわっているのでははない
か、などと思えます.

このことは、IL4やIFN-γなどのサイトカインを
うまく誘導するメタ(より高い階層の)の免疫
システムが存在することを意味します.

生体系のメカニズムには、共通した点があって
Th1優位、もしくは、Th2優位を誘起する『抑制』
のメカニズムが存在すことです.

実は、’脳’においても似たような機能があって、
大脳構成するニューロンは、興奮系のものが多い
のですが、行動の安定性などを司る抑制系の
ニューロンと交叉することもあります.

こういったニューロンをインターニューロンと
呼んでいて、97%は、GABA性と呼ばれています.

GABAとは、天然アミノ酸の一つで、γ-アミノ酪酸
(Gamma Amino Butyric Acid)を略して、GABA
(ギャバ)と呼ぶわけです.

アミノ酸といえばたんぱく質を構成するものが
有名ですが、それらとは異なり、ギャバは主に脳
や脊髄で「抑制性の神経伝達物質」として働いて
います.

つまり、興奮を鎮めたりリラックスをもたらした
りする役割を果たしているのです.

こういった神経細胞ニューロンの興奮や抑制など
を定式化したHebbの法則などがあります.

この法則は、シナプス可塑性によって学習を基礎
づける仮説でしたが、最近、脳知見が深まるに
つれてかなり正しい、ということもわかってきて
います.

因みに、、

<Hebbの法則>
1.入力側と出力側のニューロンが同時に発火した場合にシナプスの連合強度(伝達関数)が増大する.
2.連合強度の変化は入力のあった特定のシナプスにのみ生じ,他のシナプスには影響を及ぼさない.
3.閾値に満たない弱い入力でも,他の入力の助けを借りて連合強度の変化を生じさせうる.
狭義には1.だけを指してヘッブの法則と定義されることもある.

ニューロンの生理的な挙動を定式化したものなの
でこれを使って人工ニューロンモデルなども組ま
み、人工知能でいうニューラルネットワークを
構成します.

免疫系に話しを戻すとトランスファクターは、
NK細胞の活性に関与することは、周知の事実ですね.

NKT細胞の機能は、NK細胞+T細胞ですから、T細胞
へのトランスファーファクターの関与を明確にすれば
NKTとトランスファーファクターとの関係を洞察する
ことは可能です.

2007年に発表されたBerron-Perez R等が発表した
論文(※)中におけるClinical case in Humanという
見出しの中で、トランスファーファクターがIFNγの
産生に関与していることを示すものがあります.
※http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/18297853

もともとトランスファーファクターは、結核菌に
関連した免疫反応のある患者を追跡していたときに、
発見された物質です.

結核自体は、Th1優位のときに産生されるINFγが
結核菌を貪食したマクロファージを活性化して結核菌
に対する殺菌能を亢進させ、結核菌の増殖を抑制
します.

この構造を追ってゆくと、Th1とTh2をつなぐTh0という
ナイーブT細胞にたどり着きます.

このナイーブT細胞Th0とトランスファーファクター
との関係を探ってゆくと、、

Transfer Factors act as chemical messengers to alert the body's naive T-cells to recognize
any foreign bodies that maybe in the body.

つまり、トランスファーファクターとは、ナイーブ
T細胞Th0の教育に関係し、Th1やTh2への分化が
適正となるようにする、というように想像できる
のですがそのあたり、もぐもぐしてみます.
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