なんでもぐもぐもぐ= (なんでも-も)+(も+ぐ)+もぐもぐ

専門のマシン知能に限らず、身辺で感じたこと、なんでも、なぜ、という観点から
もぐもぐもぐ(深堀り)を試みるブログです.

自律神経と感情のはざま

2009-05-31 20:27:36 | 日記
前回、ハザマ(境界)見出すことと知的の関係について書きました.

人の知能の成り立ちを調べると、確かにハザマとしての微妙な解釈
をどう捉えるのか、理解しうるかがで、発達したように思えます.

以前、ブログの中で、人の脳は爬虫類の上にのっかったもの、と
書きましたが、爬虫類にとってのハザマとは、敵かそうでないか、
ということでしょう.彼らは目のセンサーが弱いので、人間より
もはるかに”体感的”なもので区別していると考えられています.

どちらかというと気配や赤外線のようなものですね.蛇は、血液
の温度で見分けます.そして、これは自律神経を刺激します.
この理由は、素早く身構えるもの、これはお話ししたとおりです.

さて、人は、爬虫類脳をもっているので、このような素早い身構え
も行うのですが、一方で、もうひとつ別の機能をもっているのです.

それは感情です.感情とは、うれしい、泣く、怒るなどの心的表現
ですが、一方で、自律神経の活動でもあります.Peter Langという
学者は、自律神経を計測することで、うれしいや悲しいなどの特定
の感情に対応させるマップ(相関図)を作っています.

自律神経の計測は、比較的簡単です.指や足などに発生する汗など
からわかります.緊張すると手の平などに汗がでますね.

つまり、ある種の感情が出ると発汗するので、そこから感情を特定
化します.もちろん、それでも十分にはわからないので、心拍や
眼球の動きにも対応させて、何をみているのかも同時計測します.

実際、心拍はうれしいとドキドキして、アドレナリンが分泌される
ので、ある程度、感情を特定化できます.眼球は、視線検出が可能
となり、何を、どのくらいの頻度でみているのかで、みているもの
に対し、関心があるかどうか、などがわかります.

これをマシンにやらせると、上記のような「複合技」となります.

一方、顔の表情を識別させ感情を特定化するという研究もあります.

著名なのは、1989年のEkmanですね.怒りや笑い顔など数種類の顔
表情をテンプレートとしてもって、感情を識別しようとしました.

しかし、顔の表情というものは、以外にわからないものです.
ニコニコとしていても腹の内では、煮えくり返っているとか.

感情を認識するとか、理解するとかはとても難しいことなのです.

脳の中では、扁桃体という部分が感情機能にかかわるといわれて
います.好きこそ物の上手なかれ、といわれるように、何かを
熱情的にやるための動機を作ったり、学習効果を高めたり、
人間活動のいろいろなところで感情は機能しています.これは、
扁桃体の活動によるものです.一方で、過剰な活動は、脳全体
の活動のバランスを崩すことにもなります.これは、情動系脳
と呼ばれるドーパミンに支配されたところと関係しています.

また、感情は、ブログでもあげたセクハラの例もそうですね.
物事の判断にも重大な影響を与えます.

マシンでいう人工知能には、元来、感情という機能は考えられ
ませんでした.むしろ、人が知能を設計する上で、それを複雑
する厄介もの、として扱かわれていました.

しかし、マシンと人とのやり取りが密になるほど、マシンに人
の感情を理解させる必要があると、最近は考えられています.

そういえば、ターミネータ2の最後のシーンで、ターミネータ
がジョンコナーになぜ、泣くのかわかった、というのがあります.

マシンにとっては、’泣く’とは、云々の顔の表情という対応関係
のみ記憶されていたのに対し、’泣く’とは、云々のコンテクスト
(文脈)が背景にあって、その結果、顔表情がそれに対応するもの
だということをターミネーターは理解したのです.

つまり、コンテクストが隠れていて、それをターミネータは学習
したのであって、顔の表情をどうすればよいのか、を学習したわけ
ではない、ということなのですね.

結果として、感情理解や認識には、さらに人の意図理解や意味理解
などもあって、なかなか複雑なものだということになります.

このあたりもまた機会があればお話しします

今回はこれで.
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ハザマは知能化の始まり

2009-05-23 21:35:40 | 日記
こんにちは!


前々回と前回の記事で、’ハザマ’という言葉をタイトルに使いました.

実は、これには理由があって、ハザマは、マシンの知能化に深い意味を

もっています.


「パターン認識」という話しはご存知でしょうか?

たとえば、文字Aと文字Zの違いをそれぞれの形の違いから見分ける

ものです.


もう少しわかりやすい例だと、最近、指紋認証などもありますが、

これもパターン認識の類だと考えられます.

指紋の全体をいくつかの細部に分けます.そのあと、CさんとDさんの

指紋特徴を細部の形状の違いから識別して、データーベースを基に

比較したときに、云々の特徴は、CさんよりもDさんに近い、という

ことで認証しています.同じ指紋を持つ人というのはありませんから、

人物を見分けるには、とても有効となるのです.


私は以前、顔の識別もやったことがあります.これも基本的に指紋

認証と同じで、人の顔を細かく分解して、EさんとFさんのどちらに

その特徴が近いのか、という形で、見分けます.


このときにマシンの知能と関係するのは、マシンがそれぞれの人

の何がしかの特徴を識別や認証のための知識としてもつ、ということ

と、逆に識別や認証に必要となる特徴を求めるための計算処理が

実行可能である、という部分です.


要約すれば、

①識別や認証のための知識をもつ

②知識をもつための特徴を計算できる

ということがマシンの知能である、ということになります.

①は、データーベース処理に関連し、②は、マシン学習の世界

へと誘われていきます.


一方、人の知能とマシンの知能の違い、ということもよく研究

の対象となっています.

実は、人の知能をもったマシンというものと、マシンならでは

の知能、というのは、似ているようでこれも違うと私は考え

ていて、これについては何年も追及し本も書いています.


似ているようでこれも違う、というのはまさに冒頭にでてきた

ハザマ、なのですが、このハザマというものを作るうえで、

人による作り方と、マシンによる作り方は、似ているところも

あり、まったく違うところもある、というところがおもしろい

のです.


ちなみに、このハザマというは、マシンの知能で、’境界’を

作る、という表現に対応します. マシンの知能では、上記の

顔の細部の特徴はすべて、0や1で構成された定量的な空間

の中で記述されます. 映画「マトリックス」のような話しに

なりましたが、0と1の数字で構成された世界で特徴を区別

するためのもの(関数)が_境界_となる、というわけです.

ですから、上記②の特徴を計算するとは、境界を計算する

ということです.


今回は少し、抽象的なはなしになってしまいました、が、

実は、人の脳ミソ(ニューロン)においても、境界を計算して

いるのでは、という仮説もあります、が、まだわかりません.

また、専門マニアの世界では、どのような変数から、境界を

計算するべきのか、なども議論の対象となっています.


たとえば、静的な顔の特徴から、動的な顔の特徴へ、と

した場合に、単なる顔の個人識別ではなく、感情のような

パターン識別となる、ということもありえるのです.

(=動くものをどう捉えるのか)


次回では、この感情識別というものについて書いてみたい

と思います.


では.













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ブログを開設しました

2009-05-05 14:02:27 | 日記
はじめまして.


自己紹介でも書きましたが、日夜マシンの知能化研究をしています.

マシンの知能化を行っているとメカのことばかりではなく、

人が本来もつ身体構造や、感情、習慣、考え方、行動などさまざまなこと

にとても興味がわいてきます.



ブログでは、現在の状況だけでなく、現在に至った過去の研究関連や、

そのときに経験して、もぐもぐ(深堀り)して思ったこと、感じたこと

などについても紹介してゆこう、と考えています.



また、企業研究所では、学生さんの面倒もみたり、海外留学や海外出張など

の経験もあるので、そういう方々にも参考になればうれしいです.

ぜひ、希望をかなえてください!

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