なんでもぐもぐもぐ= (なんでも-も)+(も+ぐ)+もぐもぐ

専門のマシン知能に限らず、身辺で感じたこと、なんでも、なぜ、という観点から
もぐもぐもぐ(深堀り)を試みるブログです.

抗HIV薬(インテグレース阻害)-新しい段階へ

2010-07-26 22:06:46 | 日記
先週、医療関係のニュースで興味深いものがありました.


以下、7月22日付けBloomberg記事より.

7月22日(ブルームバーグ):中堅製薬メーカーの塩野義製薬株が一時、
前日比4.2%高の1796円と急上昇。
6月30日(10.9%高)以来の日中上昇率を記録した。
新規抗HIV薬「S/GSK1349572」(開発コード)の臨床試験が良好に推移、
有効性などを確かめる第3相臨床試験(最終段階)を行うと21日に発表した。
同新薬の収益貢献などを期待する買いが増えた。

S/GSK1349572は、塩野義薬が創製したHIVインテグレース阻害剤で、
英製薬最大手グラクソ・スミスクラインと共同で臨床試験を米国で行ってきた。
後期第2相臨床試験では、優れた抗ウイルス活性とウイルス耐性が示されたといい、
オーストリアのウィーンで23日まで開催される国際エイズ学会で、
同試験結果を公表する予定。

BNPパリバ証券のシニアアナリスト、フィリップ・ホール氏はS/GSK1349572について、
「米メルクの『アイセントレス』を上回る効果が期待できるため、
ピーク時年商は10億ドル(約870億円)を超える可能性もある」と分析、
大型製品化を期待している。

米メルクのアイセントレスは2008年の最高医薬品賞を受賞した抗HIV薬で、
S/GSK1349572とは同系統の薬。第1四半期(1-3月)売上高は2億3000万ドルで、
「年間10億ドル以上の売り上げが期待できる」とホール氏はみている。

---記事終わり


このブログでも、HIVと免疫に関することを以前かきました.

HIVインテグレース阻害剤は、HIVウイルスの増殖を抑え、
耐性をなくし、有意にウイルスの数を減少させる効果があったようです.

要は、効果があるとされる大半の抗エイズ薬は、タンパク質分解酵素の
働きを阻害するか、エイズウイルスの増殖を助ける逆転写酵素を阻害
する作用のあるものでした.

ただし、この方法だと酵素阻害のために複数の薬を服用するカクテル療法
なので、肝臓がやられてしまう、という副作用があります.

一方、第三のエイズウイルス酵素インテグレースを制御する種類は
存在しなかった、ということで以前から、米国の「レトロウイルスと
日和見感染症に関する会議」でメルク社とギリアド・サイエンシズ社が
小規模レベルのテスト結果ではありますが、既存のHIV治療薬が作用
しない唯一のウイルス酵素であるインテグレース阻害作用で、抗HIV
の臨床効果を確認していたようですね.

うれしいことに従来の酵素阻害剤のような副作用も少ないようです.


新たな段階に入ったということで大変期待できるものだと思います.


ただし、

特許の権利化がどこまで整理されているのかまではわかりませんが、、
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若くなくとも脳が発達する-新臨界期理論

2010-07-19 21:30:40 | 日記
どうも、本当に梅雨が明けたようですね、、
(東京はジメジメしてとても暑いです)

今回は、ひさびさに脳の話しをしたいと思います.

以前、このブログでも紹介したとおり、人間には
臨界期(クリティカルピリョード)と呼ばれる
脳の発達時期があります.

この臨界期は、感受性期ともいわれ、脳の中で
覚えたり感じたりする神経回路(ニューロン)が、
外からの刺激により集中的に作られたり、
回路の組み替えが盛んに行われる時期なのです.

また、学習を成立させる最も感性豊かな限られた
時期でもあります.「視覚の臨界期」「聴覚の臨界期」
など、それぞれの動物種のそれぞれの機能には、
一生に一度しかない絶対期間の「臨界期」が存在する
のです.

...というのが通説だったのですが、最近の研究
成果により、一生に一度では必ずしもない、という
知見が得られています.

以下、理化学研究所の研究に関する記事抜粋-------------------------------------------------------

感受性期の存在は、1930年代にKonrad Lorenzが発見した"刷り込み"などによって知られるようなった。
"刷り込み"は孵化後約8~24時間の鳥(アヒルやハイイロガンなど)が目の前で動くものを親鳥と思い込み、
追いかけるようになる現象だ。
1960年代には、Torsten WieselとDavid Hubelが仔ネコの片目を一時的に遮蔽すると、大脳皮質視覚野の
神経細胞(ニューロン)が遮蔽した目に反応しなくなり、その目は弱視になることを報告している。
このような感受性期の片目遮断による弱視はサルやヒトでも起こることが明らかになり、今では8歳くらい
まで、とくに3歳までの子どもに眼帯を長くかけさせないことが眼科での常識となっている。

最近、この視覚野の神経細胞の感受性期について、興味深い事実が報告された。マウスの大脳皮質の
神経細胞は、グルタミン酸作動性で興奮伝達に関与する神経細胞が約8割、ガンマアミノ酪酸(GABA)
作動性で抑制に働く神経細胞が約2割と大別される。このうち抑制性神経細胞は感受性期を過ぎても、
遮蔽された片目に対する反応が落ちる=可塑性が残っていることが明らかになったのだ。

http://www.natureasia.com/japan/jobs/tokushu/detail.php?id=202---------------------------------


要は、感受性期を決めるのは、固定された時間では
なく、ある種の物質が出ることが条件のようです.

その物質とは、神経細胞の形成や発達を促す
脳由来神経栄養因子(BDNF :Brain-derived
neurotrophic factor)で、これが軸索先端方向に
移動し電気活動に応じて軸索末端から放出される
ことがわかっています.

さらに興味深いのは、

2009年末には、富山大学大学院医学薬学研究部
ウイルス学教室の白木公康教授らとともに、
このBDNFが帯状疱疹の最中や後の痛みと関連して
いることを突き止め、「水痘帯状疱疹ウイルス
(VZV)による抗体がBDNFの働きを強め、
脊髄痛覚系を活性化し、痛みを強くするらしい」
(同教授談)

やはり、免疫のメカニズムと脳には、本質的な
類似性があるようですね.
(神経系がとっかかりかもしれません.)

BDNFをもぐもぐしてみる必要がありそうです、、
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油断できない胃酸とのかかわり

2010-07-08 21:03:41 | 日記
今回は、胃酸に関する’もぐもぐ’です.

アレルギーを引き起こす原因としてヒスタミンが
あります.

実は、このヒスタミンは、胃酸分泌と密接に絡み
つきがあります.胃酸とは、胃液に含まれる強い
酸性の消化液をいいます.

食事を摂ろうとすると脳からの刺激が副交感神経
に伝わりアセチルコリンという物質が分泌され
ます.この刺激により、ガストリンという物質が
分泌し、胃酸が分泌されます.

このガストリンは、ヒスタミンを放出するために
肥満細胞を刺激します.

そういえば、自覚症状として、アレルギーが悪化
するときは、胃腸の調子が悪い、という傾向が
ありましたが、胃酸分泌の乱れがあるのでは
ないか、と考えられます.

たとえば、お酒を大量に飲むと胃腸が荒れて胃酸
がたくさん分泌されますよね.

このとき、ヒスタミンが大量に放出されていて
それでアレルギーが悪化するのではないか、と
思います.

ところで、胃酸が出過ぎる現象(胃酸過多)で
逆流性食道炎を起こすことがわかっています.

逆流性食道炎とは、胃酸や十二指腸液が、食道
に逆流することで、食道の粘膜を刺激し粘膜に
びらん・炎症を引きおこす疾患をいいます.

過食をさけ、食後横になるなどの逆流を増強する
行為を避け、就寝時には頭を高くする、などの
工夫で、逆流性食道炎はなんとかなる、とよく
いわれますが、やはり、胃酸ブロッカーなどに
頼らない、と現実厳しいかもしれません.

逆流性食道炎がやっかいなのは、潰瘍ですね.

食道と胃のつなぎ目(食道胃接合部)に発生する
ことが多く、進行すると潰瘍を生じ、そこからの
出血や食物通過障害(狭窄)が起こります.

潰瘍とは炎症のことだから、通常の抗体反応が
起こって免疫グロブリンIgEが胃酸過多をつくる
ヒスタミンと結合してアレルギーが酷くなって
しまう、ということも考えられます.

また、逆流性食道炎は一見して、致死的ではない
ものの、ほっておくと、食道がんになる危険性
もある、ということのようなので注意が必要です.

最近では胃炎などの原因と言われるピロリ菌の
除去後に起こりやすい、という報告もあります.

さらに、炎症を起こした食道の粘膜が胃の粘膜
のような「バレット食道」と呼ばれる形状に変化し 、
正常な食道に比べてバレット食道は食道ガンの
発生率が40倍も高く、米国では食道がんの
50%以上はバレット食道から来ている、という
調査結果も無視できません.

いずれせよ、胃酸は侮れません!
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