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ケイマン(987前期) with サラリーマン

注)この記事を参考に作業を行った場合の責任は当方は一切負いません。あくまで自己責任でお願いします。

ケイマン(987) ドアの軽量化

2013年07月21日 | ポルシェ
昨日はアメリカからコメントいただきました‼意外とワールドワイド⁈なこのブログ^_^。

さて、引き続き軽量化です。
今日はドアいってみます。
(注:このブログを参考に作業をした場合には当方は責任を一切負いません!!自己責任でお願いします!!)


ドアはポルシェの空冷時代の軽量化モデルではかならず軽量化されているポイントなので期待大です。

まず、ドアの内張を外します。ドアの後ろ側のトリムとハンドル、後はドアミラーの基部のトリムを外すと、ネジが見えます。
で、ネジを片っ端からはずします。

はずしたら、ドアパネルと内張の間に使わないクレジットカードなどを二枚つっこみ、
その間にクリップ外しを突っ込むと内張が外れます。


するとドアは内側の板金と外側の板金の大きく2部品から出来ているので、
片っ端から外していきます。

そして外された状態がこちら


ほんとに空っぽ!!
この状態にすると、感動するぐらい軽いです!!
とても鉄で出来ているとは思えない!!
でも磁石をつけてみると、付きます・・・。
ちゃんと鉄です。

ここはターボ、GT3、ケイマンRなど、軽量化をしているモデルは
アルミになっています。

なんで、987/997のレギュラーモデルは鉄かというと、
値段の問題もありますが、側面衝突の対応が難しからです。
側面衝突で怖いのが、板金やトリムの裂けです。
裂けてしまうとぶつかってきた車が直接乗員に当たることになってしまいます。
これだけは避けたい。このため外板は側面衝突で外から突っ込んできたクルマを裂けずに受け止めなければいけません。
この時に金属としての特性として鉄の方が裂けにくいんですね。

ここのアルミ化は非常に難しく、
こんなところの板金において、金に糸目は付けていないフェラーリでも、
ボディのほかの部分はアルミにしても、ドアは随分と長い間鉄でした。

ポルシェも987/997世代でこの課題を克服し、
981/991ではレギュラーモデルを含めて全面採用しました。

だから軽量化の手法としてよく用いられる各部のFRPかですが、
場所をよく考えてからやらないともしもの時に命取りになります。
私はボンネットはFRP製に変える気はしません。
ぶつかった時にこっちに向かって突っ込んでこられるのはゴメンですから。
もし突っ込んできたら、30km/hでも致命傷を負います。
(・・・・仕事も話みたいになってきました。)


さてドアから外した部品を並べてみるとこんな感じです。

上の大きい部品が樹脂のドアトリム、
したの大きい部品が内側の板金。ここはアルミ製でした。直接車と当たらないですからね。
左の部品は上からドアスピーカー
ヘッドエアバッグ(真ん中の大きい方)とパワーウインドウのレギュレーターモータ
その下が内側のドアハンドルです。



ちなみに各部の重量は、

ドアトリムが4.6kg
内側の板金が1.4kg(さすがアルミ!!)
エアバッグ0.8kg
レギュレータモータ0.7kg
スピーカー0.8kg

このうちドアトリム、スピーカー、ヘッドエアバッグは外してしまうことにします。
本当はレギュレータも手動にしてモーターを廃止したいところですが、
付けられるハンドルのあてがないので、また今度ですね。

これで、ドア部分の軽量化は片側で6.2kg。
両側で12.4kgです。おー。でかい!!

これでここまでの合計は65kg。
これでやっと目標の1/3です・・・・。
先は長いなー。

フロントトランク、リアトランク、シート、ドア。
これで大物はほぼ終わりですね。
あとはまとまった重量が減らせるのはエアコンぐらい。
気温39度を超える群馬県在住の私としてはエアコン外しはありえません・・・・。
ドイツぐらい涼しければ考えるんですけどね~。
(最近はそうでもないらしいですが)

さて、今後は細かいところをコツコツと外し続けるしかないですね。

次は、協力者の予定が確保できたので、
リアゲートのガラス行ってみます。

ポルシェ カレラについて -言葉はややもすると陳腐化する-

2013年07月16日 | ポルシェ
今日はカレラについてです。


いや、911のNAグレードの話をするわけではありません。
”カレラ”という名前の意味についてです。


”カレラ”は昔からポルシェ車に付けられてきた名前ですが、
ほとんどの場合は車名ではありません。
グレード名のようなものです。

カレラって何のことか皆さんご存知ですか??
スペイン語で「競争」、つまりレースのことです。

ことの始まりは1950年から54年まで行われていた、
カレラ・パナメリカーナ・メヒコという、メキシコで行われていた公道レースです。

アメリカのマッスルカーとガチンコ勝負ができるレースイベントで、
当時アメリカでの拡販を狙っていた、フェラーリ、メルセデス、そしてポルシェなどが
ワークス体制で臨んでいたレースイベントです。
このレース向けに造られたポルシェ550の仕様が最初の”カレラ”です。

この550は1954年のこのレースで見事クラス優勝を飾り、
これを記念して、基本的にはこのレースカーと同じエンジンを積んだ
356を「ポルシェ 356 カレラ」として発売したのが”カレラ”の市販車の始まりです。

この後、356にDOHCヘッドをつけた高性能エンジンをつんだ仕様の事を「カレラ」と呼ぶことにし、
何度か市販されています。


そして、時代は移り、1964年からはポルシェの主力は356から911に移り変わりますが、
356時代には何度か登場していた「カレラ」は911ではしばらく市販モデルに登場しなくなります。

その沈黙を破ったのがいわずと知れた1973MYの911 カレラRS、通称「73カレラ」です。

このクルマで「カレラ」とは標準モデルより大幅に高性能なエンジンを積んでいることを表しており、
その後に続く「RS」はレース用のホモロゲーション取得を目的としていることをあらわしています。
このときの「カレラ」の意味は4カム(そう、水平対向だとDOHC化にはカムが4本いるんです)
でないこと以外は356時代とほぼおんなじです。


ちなみにカレラRSを日本語にすると競争・競争・運動。
カレラRSレーシング(本当のホモロゲ仕様)になると競争・競争・運動・競争。
どんだけ競争なんだか・・・・・・。


このあと74MY、75MYと「カレラRS」は同じホモロゲ取得を目的で設定され続けますが、
レース用ホモロゲモデルとしてはいったん途絶えます。
カレラRSに代わって911にターボがホモロゲモデルの役割を請け負うことになったからです。


そして次にポルシェに「カレラ」の名が復活するのは、1984年です。
それまで911のNAモデルのグレード名だったSCの代わりに、
排気量を3.2Lしたことで73カレラRSのエンジン出力を越えたことを記念してグレード名を「カレラ」にしました。

それまではカレラという名前には、
レース用のホモロゲーション取得がなんらか関連していたのですが、
このときに初めてレースと全く関係なしに「カレラ」の名前が使われ、
同時にNAの911はすべて「カレラ」と呼ばれるようになってしまいました。

その後「カレラ=911のNA」、
NAなら速くてもそうでなくてもカレラとなりそのまましばらく時間が流れます。


次の変化が起きたのは996のときです。
996は1997年に満を持してポルシェが投入した、エンジンを全水冷化した初めての911でした。
このときのNAのグレード名が「カレラ」。ここまでは普通です。

事件は1999年に起こります。
「911GT3」の登場です。

それまで普通のNAの911だけでなく「NAでもっとも高性能な911」にも必ずカレラの名がついていました。
964ではNA最強はカレラRS。993でもNA最強はカレラRS。これは356から不変です。
しかしこのとき「GT3」がカレラと全く異なる、20%も馬力が多い特別製NAエンジンを積みながら、
「カレラ」を名乗らなかった時点で、カレラはただの911のNAのことになりました。
(他と比べて特別な高性能NAエンジンを積む911という意味が完全に消滅した)

この後997にいたっては「カレラS」が登場し、
「カレラ」というだけの意味はますます下がってしまいました。


このように「カレラ」という名前は時代とともに陳腐化し、
その意味を弱めていってしまったのです。
特に以下の2つのことがターニングポイントと言えます。
 1)911NAモデルの中の高性能車から、911のNAモデル全体のことになった「930カレラ3.2」、
 2)911のNAの中で最高出力のグレードにカレラがつかなくなった「996GT3」の登場



「広告の表現は年々過激になっていく。同じ表現では、与える印象は徐々に弱まってしまう。」
これは広告関連の仕事をしている知人が言っていた言葉ですが、そのとおりだと思います。
言葉というのは気にせずに使っていると、慣れてしまい、陳腐化してしまうのです。
もしその言葉の意味を大切にしたいなら、その使用には細心の注意を払い、
大切な言葉はめったに使うものではないんです。


私が思うに「カレラ」という名前は本来的な意味では、
「レーシングエンジンを搭載した市販ポルシェ車」
につけられるべき名前だと思っています。

だから現在の911のNAラインアップは以下のように呼ばれるべきだと思っています。

911カレラ  → 911
911カレラS → 911 S
911カレラ4 → 911 4
911カレラ4S → 911 4S
911GT3 → 911 カレラ
911GT3RS → 911 カレラRS

しかもここでいうカレラについてはホモロゲ上いらない年は設定するべきでないと思います。
栄光に根ざした、思い入れ深いものこそ、めったに使ってはいけないのです。





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え?何でこんなこと調べたのかって??
それは、軽量化が完了した後の私のケイマンに
思い切って「カレラ」のサイドステッカーをはっちゃおうかと思ったからです。

結論から言えば、軽量化した987を「987カレラ」と呼ぶことは誤りだということがよくわかりました。
「987カレラ」を名乗るなら、911GT3RS4.0用のエンジンを積むぐらいの変更が必要でしょう。
(逆に「カレラ」だけなら軽量化は必ずしも必要ではない)

軽量化した私のクルマをポルシェの文法に則って呼ぶなら、
「987Club Sport」がもっともふさわしいですね。
(RSはホモロゲーションとのつながりがない場合に名乗るべきではない。997GT2RSは誤った用法。)


仮に軽量化が175kg満額達成できたら、
964カレラ4で300kgレベルの軽量化を達成した
「964カレラ4 ライトウエイト」に倣って、
「987 ライトウエイト」と名乗ってもいいかなと思っています。


あーでも俺のクルマも「カレラ」だったらよかったのになー。
 ↑これが”名前を陳腐化させる”考えそのもの!!(笑)

ケイマン(987) フロントトランクの軽量化

2013年07月12日 | ポルシェ
さて、軽量化の続きです。

本日はフロントトランクいってみます。
(注:このブログを参考に作業をした場合には当方は責任を一切負いません!!自己責任でお願いします!!)


フロントトランクは内張りが全周に施されており、
車載工具も搭載されていることから、まとまった量の軽量化効果が期待できます。

ケイマンのフロントトランクは
結構深さがあって便利そうですが、
勝手から3ヶ月、ここに荷物を入れたことは今のところ無し。


では内張りを外していきます。
ここは簡単、工具なしでどんどん取れます。
外した感じはこんな感じ。
さっぱりです。

この状態で硬いものをつむとボディにどんどん傷がつきます。
荷物につむときはやわらかい袋に入れてからつむようにしましょう。

ここで気になるのが、トランクの後面(写真の下側)にある銀色の四角い箱。
オーディオ関連の部品と聞いていたので、とりあえず外してみます。
外した後でエンジンON!!
エンジンはかかります。
やっぱりオーディオ関係だったのかと、続いてオーディオON!!
鳴ります!!!
(マジカルミステリーツアーのオープニングのファンファーレがたからかに!!)


どうやらとランク内の部品はブースターで、低音を強調するためにあるようで、
とりあえずオーディオは鳴るには鳴るんです。
音は変わってるんでしょうけど。



で、外した部品の重量ですが、
工具入れ 3.6kg
トランクカーペット 1.8kg
ブレーキブースターのカバー0.58kg
オーディオアンプ0.9kg
トランクゴムパッキン周りの樹脂0.45kg

以上合計7.33kg。
なかなかまとまった量が外せることがわかりました。

ここまでの合計52.5kgの軽量化です。
これでほぼケイマンRと同等の軽量化ができることになります。


ケイマンRと同等の重量にするためには、
①フロントトランクもリアトランクも荷物を積むときはやわらかい袋に入れてからつむ。
②エンジンの上には荷物は積まない
③エンジン音がうるさくても気にしない
④オーディオの低音が鳴ってなくても気にしない
⑤サイドエアバッグなし(シートをフルバケにしているため)
以上の性能をあきらめるとケイマンR並みの重量になります。

しかもエアコンつきで(ケイマンの55kg軽量化はエアコン、オーディオレス)!!


次の目標はボクスタースパイダーの80kg軽量化ですかね。
このぐらいの軽量化になってくると乗って違いがわかる人もいるレベルですね。
あと30kgか~。もうまとまったところって
そんなに無いのでここからはちまちまですね。

さてお次の軽量化は、
サイドドアいってみます。

ケイマン(987) ポルシェを中古車で買うということ

2013年07月09日 | ポルシェ
先日、このブログにコメントをいただきました。うれしいものですね。皆さをも気が向いたらコメントください。

さて、ケイマンが我が家に来てはや三ヶ月がたちました。ここいらでポルシェを中古で買った最初の印象をまとめてみましょう。

まず今回、ポルシェを中古で買いましたが、想定外の故障や思っていたものと違う点などはなく、順調にきています。
認定中古車を、下取りを入れなければ398万円もするクルマを買ったんですから当たり前と思うかも知れませんが、とは言っても5年落ちの中古車です。いろいろ心配はありました。
でも自分でいろいろバラして普通は見えないところまで見ても、特に気になるところも見つかっていません。とりあえずほっとしてます。

また、販売店も私のようなあまりお金を落としそうにない客でも、対応が丁寧です。たとえ中古でも正規販売店で買って良かったなと思うこと多数です。やはり自分でいじっててもいざとなれば正規販売店でお世話になれるという安心感は大切だとおもいます。
最悪、たよれますから。

気になるところはマイナーなところです。まず後付けで代えてもらったHIDヘッドランプは、やはり後付けは後付です。配線など気になるとこれがいくつか。ここはいづれ普通のヘッドランプに戻すつもりです。

あとこれは今更言っても始まらないので自分で代えますが、バッテリーを納車前に交換していますが、比較的小さいもの(60ah)なので、ここはいづれ寒くなったら交換かなと思ってます。


では実際に所有して見てわかった、ポルシェの嫌なところはというと、まずはペダルレイアウトです。ブレーキがアクセルより手前にあるのはやはり操作しづらく、結局15mmの底上げをしています。

また、プーリーのウィーン音はかっこ悪い音です。これはエンジン上のカバーを外せば解決することは確認済みですが、外す気がない人はよくよく確認した方がいいです。私も試乗では気がつきませんでした。

あとは、部品がいちいち高い上に、ケイマンは種類も少ない。ここはこれから課題になりそうです。

また、いろいろなところの色を変えていることでもわかるかとおもいますが、形はどうにも好きじゃない点が幾つかあります。まず顔。ながすぎです。あとリアゲートのへこみ。ポルシェっぽくないのですきじゃないです。この辺は今後改善して行く予定です。


今のところ、乗ってよし、いじって良しです。気に入らないところもこれから直すところと思うとワクワクします。


私が十数年前に964を買った時は、借金して買ってるからバラすどころじゃないし、あちこち調子悪いし、エアコンの修理に50万円とられるし、ろくなことなかったんですが、最近のポルシェはいい意味でもっと普通のクルマです。いままで国産しか乗って買った人がてを出しやすくなっていると思います。興味のある人はぜひ中古車情報をみてみましょう!

ただ新車ではないことは確かです。リスクを回避するなら新車がいちばん。398万円も出してリスクを負うことはないというのも一つの考えだしありだとおもいます。

さてさて次回は、軽量化のつづきです。前ブログに書いた時には40kg少々でしたが、いまでは82kgまで軽量化のめどが立ってます。ケイマンはいじりようによってはボクスタースパイダーを上回る軽量化が素人にも可能なんです‼しかもエアコン、ナビつけたままで‼

その内容まで紹介できるのはまだまだ先になりそうですが、軽量化のねたをぼちぼち紹介して行きます。

新型ケイマン 981/991世代の軽量化技術

2013年07月06日 | ポルシェ
2011年に2012MYとして導入された991型911に始まる現行世代のポルシェスポーツカーシリーズ。

最大のトピックスはその車体の軽量化だと思います。

991導入の時には大々的に宣伝されたこの新ボディでの軽量化ですが、
ボクスター、ケイマンと、出揃ったところでこの世代の軽量化についてまとめてみます。

まず、最初にそれぞれの車種の車両重量は、
カレラだと、MTは大きく構造が変わっているので、PDKで比較すると、
997型は2012MYで1470kg、991型は1430kgです。
このためカレラの軽量化は40kgです。

ボクスターはスタンダードのPDKで比較すると、
987型は2012MYで1410kg、981型は1380kgです。
ここでの軽量化は30kg。

ケイマンはスタンダードのPDKで
987型は2012MYで1410kg、981型は1380kgです。
ここでの軽量化はボクスターと同じ30kgです。



というわけで新しい世代で達成した軽量化の絶対量は30kg~40kgと言えます。
これは画期的なことなのは事実です。
今までのポルシェのモデルチェンジは、様々な軽量化技術を織り込みながらも、
モデルチェンジ前より必ず重くなっていたんです。
901→930→964→993→996→997。全て重くなってます。
(996は1320kgで993より軽いとなっている記事が多いですが、これは1380kgの誤記。車検証確認済み。)。
これが今回は本当に軽くなったんです。これは驚くべきことです。



ただしこの軽量化量、記事の中でも様々な値があって、よくわからないですよね。
「アルミを多用したボディにより、ボディだけで80kgの軽量化」「カレラS PDKでは98kgの軽量化が達成されている」
などのように991型導入時には40kgという実際のあたいよりも大きな値をよく見かけました。

これは、「991型に織り込んだ軽量化技術で997型と同じ性能の車をもう一度作ったとしたら」98kg軽くなったということです。
すざまじい軽量化への取り組みです!!しかし同時に2つの疑問がわきます。
・なぜ今回は軽くできたのか。
・なぜ30~40kgまで目減りしたのか?



まず、軽量化できた理由は、やらないとクルマを売り続けられない事情があるからです。それはCO2規制です。
997の後期型がデビューした2008年と991型がデビューした2011年では世の中が大きく変わったのが、CO2(二酸化炭素)排出量規制の大幅な強化です。

ここで二酸化炭素排出量というと、なんとなく排気系の触媒とかでキレイにするのかなーと思っている人もいるかもしれませんね。
これ、触媒とかでは絶対良くならないんです。
現行911、ケイマン、ボクスターのエネルギーは全てガソリンを燃やすことで得られています。ガソリンを燃やすということは必ず酸化炭素が出ます(不可避)。
つまりCO2排出量とはガソリンを使う量、つまり燃費のことなんです。
この基準が特に欧州を中心に大幅に強化され続けており、各自動車メーカーはこれへの対応を義務付けられています(ポルシェも例外ではない)。

つまり997と991では大幅に燃費が良くするために今までできなかった軽量化に本気で取り組んだということです。
これによって同じ車を再設計したら98kgという技術の市販化につながったのです。
そしてこの量が市販段階減った理由のひとつも燃費対応です。
アイドリングストップ、コースティング機能、MTの7段化などなど。
新しい燃費改善用の機構を織り込んだのでその分の重量が増えてます。



そして重量増加のもうひとつの答えが、走行性能の向上です。
今回の991では997と比べて、ホイールベースが100mm、トレッドがフロントで約50mm拡大しています。これが原因です。
みなさんテコの原理はご存知だと思います。
どこかを支点に重いものを持ち上げるとき、テコの長さの比が大きければ力は小さくて済む(その分距離が伸びる)と物理法則です。
シーソーで軽い人と重い人を釣り合わせるには、
真ん中の可動部に対して、重い人を軽い人よりより近くすると釣り合うのも同じ理屈です。

車体が長くなるということはテコの原理で言うところの支点までの距離が伸びることと同じです。
同じ入力(路面からの入力)が入っても、ボディに働く力は大きくなってしまいます。
このため、同じねじり剛性を達成するためにもよりボディを強くする必要があります。
991ではホイールベースもトレッドも大きくしながらボディの剛性値も向上しています。
これは997をそのまま作れば必要なかった補強をボディにしているということです。

なぜ寸法を拡大したのかというと、同じ剛性を達成した上でホイールベース、トレッドが広がると、
安定性が増すと同時に機動性も増すことができるからです。
重心に対するタイヤの位置が遠くなるので、
同じタイヤのグリップ力でもより大きな車両の回転力を発生させることができるのです。
この効果は凄まじく、911シリーズ、ケイマン、ボクスター、全ての車の操縦安定性能を向上させ、
指標の一つであるニュルブルクリンクのラップタイムは2,30秒程度向上しています。



この環境対応分と、寸法拡大による走行性能向上で58kg(ポルシの公表値)使ったのです。
この結果、軽量化量は40kgとなったのです。


また911とボクスター/ケイマンは切っても切れない関係にあります。
フロントセクションは共通化してますし、フロアの前半部分も共通です。
基本的には前面衝突、側面衝突の性能を共有している(開発を一緒にやっている)のでしょう。
これは乗用車でセダンとワゴンの衝突性能が共通なのと同じです。
これは開発費を大幅に圧縮できるので、ポルシェのような小さなメーカーには不可欠です。
(ほかのモデルでは、カイエンはVW、AUDIと共用化しコスト減、パナメーラはカイエンと共用している)

このためケイマンで言えばホイールベースの延長量が991以下であるにもかかわらず、
同じ構造を取り入れる必要があったので軽量化量が991以上に目減りしていますが、
ボディ剛性値の向上は991以上になっています。


ではこの98kg分の軽量化はどのように達成しているのか。
車体で80kg、エンジンで10kg、その他足回りなどで8kgとなっています。
一番大きく貢献しているのはアルミの使用率を大幅に増やしたボディの軽量化です。

Aピラー、Cピラー、サイドシル、トンネルなど車両の主要な柱の部分にはスチールを、
フロアやルーフなどの板状の部分、ドア、フロントフードなどの
開閉部分にはアルミを使っているのが今回のボディの特徴です。

(ここでもう一度ボディの図を掲載。青いところがアルミですが、柱部分に使ってないのがわかると思います)
アルミを使うことで軽量化できましたが、ではなぜオールアルミにしなかったのでしょう。
製造方法が全く異なるアルコア製フレーム(360以降のフェラーリやアウディR8、ガヤルドなど)のような方法はできなくても、
ホンダが20年前に、ジャガーも10年前にすでにフルアルミボディの量産をしています。
「リアフェンダーの膨らみがアルミだと整形できなかったから」などと的はずれな説明がされていますが、
こんな理由で採用を諦めることは100%ありえません。
では何故??明確な答えは雑誌の情報などからは得られませんが、
一つは今までの知見を生かしたかったから(ポルシェは鋼で60年スポーツカーを作ってきた)ではないでしょうか。

ポルシェは車体構造については保守的な会社です。
世の中がアルミモノコックになっていてもパイプフレームにこだわったり(917)、
もうカーボンモノコックがあるのにアルミモノコックにしたり(956,962)。
いままでずっと市販車の構造材として鋼を使ってきたの知見を生かし、軽量化ができる方法として、今回の車体構造を採用したのではないでしょうか。
「市販車のフィーリングとして、やはりハガネが最上。」そんな知見がポルシェにあるのではないでしょうか。



現在987型ケイマンの軽量化に勤しむ本ブログですが、
98kgの軽量化、たいへん羨ましいです。

ぜひほかの要件は全て987のままでいいから、
すべての装備が付いて98kg軽いケイマンを出して欲しかった。。。。。
そしたらそこから装備を外して1185kgにするのは987型を軽量化するよりよほど容易だったでしょう。
しかしそんなクルマを手に入れられる可能性は完全にゼロなので、
全身ハガネの987を軽量化していくことにします。