少し前、リクルートが運営する就活サイト・リクナビが利用者の同意を得ないまま、利用者の就活サイト利用履歴から個別企業の内定辞退予想率をデータ化し、それを有料で企業に販売していたことが大きなニュースになった。
この数年、非常に多くの就活生が、他サイトと併用してリクナビを利用していたので、リクナビはすべてと言わないまでもかなりの就活生のデータを作成できたのではないかと思われる。
このニュースをみて思ったのは、日本における消費者保護強化の必要性である。
たとえばアメリカに目を向けると、グーグル、アップル、フェイスブックなどIT企業の本社が集まるカリフォルニア州は昨年2018年6月、企業に対し個人情報を第三者に販売、シェアすることを禁止する権利をカリフォルニア州の消費者にみとめる法律を制定した。
それ以降、ニュージャージー州、マサチューセッツ州、ハワイ州などでも同様の法律が制定されている。
アメリカは企業活動を妨げる規制が少ないと思われているが、このように消費者保護の規制はむしろ日本より強い。
別の例をあげれば、アメリカでは個人に、企業に対し電話勧誘を禁止する権利が認められており、これに違反すると1通話ごとに最高4万ドル(420万円:1ドル=105円)の罰金が課せられる。
固定電話全盛のころ日本にもこうした法律があれば、高齢者などが悪質な電話勧誘の被害にあうのを減らすことができたのではないかと残念に思う。
リクナビの件はたまたま表にでたが、就活のように人生を左右する重要な問題について個人情報が本人のしらないところで集められ、本人の不利益になるように使われる可能性はネット利用が増えるにつれこれからますます大きくなっていくと思われる。
現状ではネットを使わないことでしか個人情報を守ることができない。
ネットが発展するためには、みなが安心して利用できる環境が不可欠である。日本でも個人情報保護の強化が望まれる。