大野威研究室ブログ

おもにアメリカの自動車産業、雇用問題、労働問題、労使関係、経済状況について、最近気になったことを不定期で書いています。

海外から中国への直接投資、増加続く: 輸出拠点から消費地への変化

2019年08月29日 | 経済

 アメリカをふくむ海外から中国への直接投資が増加を続けている。

 フィナンシャルタイムズ(2019/8/27)によれば、2019年1-7月の海外から中国への直接投資額は756億ドル(80兆円)。前年同時期より7.3%の増加となった。

 米中貿易摩擦が続いているが、FT紙はアメリカからの投資も増加しているとしている。

 中国政府の統計によれば2019年上半期のアメリカから中国への投資は15%減少したことになっている。

 しかしFT紙は、多くのプロジェクトが中国政府の統計からは抜けており不正確だとしたうえで、米研究機関Rhodium Groupによるデータを紹介している。

 それによれば、2019年上半期のアメリカから中国への投資額は68億ドル(7.1兆円:1ドル=105円)。過去2年の同期平均より1.5%の増加となっている。

 この数字についてFT紙は、テスラの上海工場など中国国内をターゲットにした企業の進出が増えているとしている。

 すなわち、中国をアメリカへの輸出拠点といちづける企業のなかには、賃金上昇や貿易摩擦の影響を避けるため中国から工場移転を進めるところがでてきている。

 一方、いまや世界一となった中国国内の消費市場をターゲットとした企業進出はますます増加しているというわけである。

 FT紙は、中国の今年に入ってからの経済成長の75%は国内消費によるものだとしている。