先日、フィナンシャル・タイムズ(FT)に3Dマップ(立体地図)についての記事がでた。
現在、人がまったく操作する必要がない完全自動運転の実現にむけた競争がはげしくなっている。
その実現に不可欠とされているのが歩道や標識、建物などを3次元であらわした3Dマップ(立体地図)である。
自動運転車は周囲の状況を把握するレーダーをたくさん積んでいるが、データ量が多すぎるため、運転のたびにゼロから3次元地図を作成するのは難しい。
そこで、あらかじめ3Dマップ(立体地図)を作っておいて、走行時にはレーダーでそれからの逸脱(違っているところ)を把握するということが現在考えられているようである。
FTは、グーグル、アップル、テスラなどから技術者を集めたDeepMap、Civil Maps 、Lvl5といったスタート・アップ企業が、4千万ドル(44億円:1ドル=110円)の資金を調達して3Dマップの開発をおこなっていると伝えている。
それにしてもスペースXもそうだが、前例のない技術開発にも、必要な技術者がすぐに集まり、すぐにその成果を出しはじめるというのはアメリカのすごいところだと思う-収益性の高い事業、技術開発の可能性の見極めがうまい-。
また資金については、その調達のしやすさもそうだが、その効率的な使い方(たったの44億円)にも驚かされる-経営能力が高い-。
私はこの一因が、アメリカでは技術者の文系能力が高いことにあるのではと思っている(日米の学生で、数学力や理系力に大きな違いがあるとは考えにくい)。
アメリカの理系学生は、高校・大学で歴史や社会についても深く学んでおり、学んだ技術、理論を社会にどのように役立てていくか考えるうえで有利な立場にある。
日本では専門性をより高めるという方向に議論が行きがちで、文系不要論もあるが、すこし違うような気がする。
なにはともあれ、今後の展開に注目したい。