"ちょっと外から見た日本"

今、スペインに住んでいます。
大好きな日本のこと、
外からの視点で触れて見たいと思います。

“人生の意思決定をする瞬間について”

2011-11-24 04:29:30 | 日記

致知出版社の「人間力メルマガ」よりです。

(転載開始)
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     致知出版社の「人間力メルマガ」

                【2011/11/23】 致知出版社編集部 発行
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本日は『致知』の人気連載コーナー「致知随想」の中から、
特に反響の多かった記事をセレクトしてご紹介します。

今回は現在発行中『致知』12月号より
SPIあ・える倶楽部社長・篠塚千弘(ちひろ)さんの随想です。


※明日24日(木)放映の人気テレビ番組
『カンブリア宮殿』に、ご主人の篠塚恭一氏が
 登場されるそうです。ぜひご覧ください。
 
http://www.tv-tokyo.co.jp/cambria/yokoku.html

 篠塚ご夫妻は『致知』の熱心な愛読者でもあります。


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■「致知随想」ベストセレクション 
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       「介護旅行で深まる絆」
       
                   
                          篠塚千弘(SPI あ・える倶楽部社長)

        
               『致知』2011年12月号
                    「致知随想」より

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 寝たきり、持病、車いす……。
 体に様々な不安を抱える方々の夢を
 我われトラベルヘルパーが叶えます――。
 
 皆様はあまり馴染みがないかもしれませんが、
 トラベルヘルパーとは高齢者や障がいを持つ方の旅行などに、
 専門の介護技術を持つ者が同行し、
 お客様のサポートをさせていただく、外出支援専門員のことです。


 例えばこんな事例があります。
 
 お嫁さんが重い介護状態のお母様の世話をしておられ、
 たまには旅行に連れ出してあげたいけれど、
 自分一人では介助が大変だと困っていました。
 
 そこで女性二人のトラベルヘルパーが同行し、
 お母様は綺麗な景色を温泉に浸かりながら見ることができ、
 すごく嬉しかったと言ってくださいました。

 また、お嫁さん自身もお母様の表情を見て、
 「また介護を一所懸命しようという気になりました」
 と言ってくださり、いまでは
 年に二回の温泉旅行をとても楽しみにしておられます。

 このように、ご本人はもちろんのこと、
 介護をしておられるご家族の方々のよい気分転換にも繋がり、
 それがお互いの絆を深める機会にもなるのでしょう。

 私たちがお手伝いをするのは旅行だけではありません。

 共に障がいを持ち、別施設で暮らす母と子が
 数時間だけ一緒の外出を楽しんだり、
 お孫さんの七五三祝いに行かれる方などご要望も様々で、
 咋年はおかげさまで一昨年度の二倍近い
 五百名のお客様にご利用いただきました。


 社内にはスタッフ約十名が常駐し、
 お客様からご相談があると綿密に打ち合わせを重ね、
 全国各地にいる六百五十名の
 登録トラベルヘルパーの方へ業務を依頼します。

 弊社は、私の夫である篠塚恭一が
 一九九一年に創業しました。
 その頃私は三人の子供を育てながら、
 経理や会計の手伝いなどをしていました。

 夫はその前に先輩に誘われて別の会社を立ち上げたのですが、
 バブルの煽りを受けて経営が立ちゆかなくなり、
 残った六十数名の派遣契約のスタッフを
 食べさせていくのに四苦八苦していました。

 私には会社の状況は詳しく分からなかったのですが、
 お金がない、ということは分かります。
 私も親元から借金をしたり、
 保険会社から貸し付けをしてもらうなど、
 自分にできるあらゆることをやりました。

 ただ、私はこのような状況にあっても、
 なぜか不安や危機感はなく、
 むしろその状況を「楽しい」とさえ感じていました。

 当時弊社はツアーコンダクター(団体旅行の添乗員)の
 派遣事業をメインにしていましたが、
 夫は介護つきの旅行がシニア層向けの
 新しい仕事になるのではないかと、
 時折私にも話してくれていました。

 いつものように車で夫を駅へと送る途中、
 
 「これからはどういう時代になるのかな。
  何がうちにとって一番いいことなのかな?」
  
 と質問をされました。
 
 その時、私はとっさに
 
 
 「これからはトラベルヘルパーの時代だと思う」
 
 
 と言ったことをはっきり覚えています。
 新たな事業に対するこの確信ともいえる
 思いがあったからこそ、
 どんなに大変なことがあってもそれを支えに、
 乗り越えてこられたのではないかと思うのです。

 これは介護旅行を利用されるお客様の場合でも同様で、
 この先に何か楽しいことがあると思えると、
 どんな辛さや苦労ですら
 楽しめるようになるのではないかと感じています。

 弊社のお客様の中に、自分ではもう歩くこともできず、
 毎日一人で施設の天井を見ているだけという
 寝たきりの方がおられます。
 
 この方が年に二回五日間だけ、
 弊社のサービスを利用し旅行や外出を楽しまれるのです。

 ご自身で「ウィッシュリスト」というものを作っておられ、
 「○○を買いたい」「○○を食べたい」など、
 次の旅行へ行った際に自分がしたいことを
 一つひとつ書いているのです。

 そのお客様は
 
 
 「一年のうち三百六十日間、旅先の五日間に
  何をするか楽しみに考え毎日を暮らしています。
  その五日間があるから毎日元気に過ごせるの」
  
 
 と話しておられました。

 私には思いもよらない言葉でしたが、
 そのように毎日希望を持って生活していただける方を
 一人でも二人でも多く増やしていくことが
 私たちの仕事ではないかと感じています。

 また、そういうお客様の喜ぶ姿に感動し、
 「サービスの質をもっと上げるにはどうしたらいいか」
 と皆で活発に意見を出し合いながら、
 主体的に取り組んでくれるスタッフが
 増えてきたことも嬉しいことです。

 私は二年前、NPO法人日本トラベルヘルパー協会理事長に
 なった夫に代わって、弊社の社長を継ぎました。
 現在ではトラベルヘルパーの存在も
 徐々に知られつつありますが、
 会社を始めた頃は、偽善だのお金儲け主義だのと
 夫は様々な誹謗中傷にも遭ってきたそうです。
 
 それまで行ってきた一般の観光事業を
 介護旅行にシフトしていくと伝えた途端、
 社員数十人がごっそり辞めてしまい、
 売り上げが七割減に陥ったこともありました。

 私はそんな夫の事業を手伝いながら、
 幼い頃、祖母がいつも言って聞かせてくれていた言葉を
 常に反芻していました。


「いいことをしても、悪いことをしても、
 地球を三回廻ると、自分の元に返ってくる――」
 
 
 情けは人のためならずといいますが、
 誰かのために一所懸命ことに当たっていれば、
 それは巡り巡って自分自身に返ってくる。
 
 おかげさまで、弊社は現在創業二十年を迎え、
 売り上げも一億七千万円にまで発展させていただきました。
 弊社の事業を通じて、祖母が聞かせてくれた言葉の重みを
 日ごとに実感しています。




■編集部ブログで、介護旅行の写真をご覧いただけます。
⇒ 
http://ameblo.jp/otegami-fan/day-20111109.html

(転載以上)
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トラベルヘルパー、恥ずかしながら今までそのお仕事について知りませんでした。

素晴らしい役目を担っていらっしゃるのですね。


もともとは、ツアーコンダクター(団体旅行の添乗員)の派遣事業がメインだった、

そこからの方向転換。


介護つき旅行の成長性については、ご主人からたびたび聞かれていたようですが、

やはりそれを決める決定的な瞬間があったのですね。


“いつものように車で夫を駅へと送る途中、
 
 「これからはどういう時代になるのかな。
  何がうちにとって一番いいことなのかな?」
  
 と質問をされました。
 
 その時、私はとっさに
 
 「これからはトラベルヘルパーの時代だと思う」
 
 と言ったことをはっきり覚えています。”


“偽善だのお金儲け主義だのと様々な誹謗中傷にも遭ってこと”
 
“社員数十人がごっそり辞めてしまい、売り上げが七割減に陥ってしまったこと”


そうした苦境を乗り越えることが出来たのは、“新たな事業に対するこの確信ともいえる思いがあったからこそ”、だったのですね。
 

「いいことをしても、悪いことをしても、
 地球を三回廻ると、自分の元に返ってくる――」


ご主人の事業を手伝いながら、常に反芻していたおばあさまの言葉・・・。

この言葉を反芻しながらご主人について行かれたちひろさん、夫婦の深い絆があってこそのことだったのだと思います。