"ちょっと外から見た日本"

今、スペインに住んでいます。
大好きな日本のこと、
外からの視点で触れて見たいと思います。

“人生の転換点とは”

2011-11-20 04:33:33 | 日記

致知出版社の「人間力メルマガ」よりです。

(転載開始)

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     致知出版社の「人間力メルマガ」

                【2011/11/19】 致知出版社編集部 発行
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   このメールマガジンでは、
   月刊誌『致知(ちち)』より
   皆さまの人間力を高めるエピソードを
   厳選してご紹介しています。

       * *
   
   一度は離れた音楽の道――。
   会社勤めを経て、思い新たに挑戦した
   東京芸術大学受験は失敗の連続。

   心が萎え、どん底まで陥った村上彩子さんが向かったのは、
   長野県にある戦没画学生の画が飾られる無言館でした。

   戦没者の声なき声が村上さんに届いた時、
   彼女の心に大きな変化が訪れます。

   本日は、7度目にして試験に合格した
   村上さんの軌跡をご紹介します。
   
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        「歌に命を込めて 私は歌い続ける」
       
       
            村上彩子(ソプラノ歌手) 
        
            『致知』2011年12月号
             連載「第一線で活躍する女性」より
       
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諦め切れずに受けた5回目の試験がダメだと分かった時には、
大泣きしながらとぼとぼ家に帰りました。
絶望し、もうこのまま死んでしまおうって。

何も口にしない日が何日か続いたある日のこと。
ふと以前テレビで観た戦没画学生の絵画などが飾られている
無言館のことが頭に浮かんできました。

その瞬間、何かに突き動かされるように、
私は取るものも取りあえず
一路無言館のある長野へと向かったのです。


館内に飾られた画を一枚一枚眺めているうちに、
こんなにも才能ある学生たちが戦争で散っていったのかと、
大きなショックを受けました。

そのうちに、今度はどこからともなく
悲痛な叫びが聞こえてきたんです。

「本当は生きたかった」と。

そして「おまえは生きていくことができるんだぞ」って。


私、頭をガツンと殴られた感じがして、その場に泣き崩れました。

こんなにも才能溢れる方々が無念のうちに亡くなられた。
それに引き換え自分はたった五回の受験に
失敗したくらいで死のうとしたことが、
とてもおこがましくて恥ずかしく思いました。



翌年一次試験を突破し、七回目にして晴れて合格しました。
実はこの間、心のうちに大きな変化がありました。
無言館から帰ってからバイト先を一新し、
明るい自分を演じ始めました。

大学に入ったらオペラを勉強したかったので、
なんの希望がなくても演じてみようと心に決めたのです。
そうしたら自然と仕事が楽しくなって
一所懸命頑張るようになりました。

すると今度は周りの人に感謝されるようになって、
応援してくださる方まで出てきたんです。


私はそれまでずっと親を憎むことを
生きる唯一のエネルギーにしていました。
それがこの時、心の中に初めて
人に感謝するという心が芽生えて、
それが私に力を与えてくれました。

親を恨んだり、周りの裕福な受験生を憎む心が
知らず知らずに私が奏でる音楽に乗り移っていたのだと思います。
このことを私に気づかせるために、
こんなにも長い期間が必要だったのかと
納得がいったら元気が漲ってきましてね。
最後の一年は何の迷いもなく勉強に打ち込むことができました。

(転載以上)


1回の受験の失敗でもなかなかつらいものがあるのに、5回受験して失敗。

村上さんの気持ちがひしひしと伝わって来ます。

でもその時の思いが、後で振り返ると人生の転換点になるのですね。

“ふと以前テレビで観た戦没画学生の絵画などが飾られている
無言館のことが頭に浮かんできました。

その瞬間、何かに突き動かされるように、
私は取るものも取りあえず
一路無言館のある長野へと向かったのです”

 

そして、その絵から若しくて亡くなった方々の声が聞こえて来ます。

“おまえは生きていくことができるんだぞ」って。

私、頭をガツンと殴られた感じがして、その場に泣き崩れました。”

そして、バイト先を一新し、明るい自分を演じ始めると、仕事が楽しくなって、

今度は周りの人に感謝されるようになって、応援してくださる方まで出てくる。

まさに好循環、開運のスパイラルに入っていかれたのですね。

 

“私はそれまでずっと親を憎むことを
生きる唯一のエネルギーにしていました。
それがこの時、心の中に初めて
人に感謝するという心が芽生えて、
それが私に力を与えてくれました。

親を恨んだり、周りの裕福な受験生を憎む心が
知らず知らずに私が奏でる音楽に乗り移っていたのだと思います。
このことを私に気づかせるために、
こんなにも長い期間が必要だったのかと
納得がいったら元気が漲ってきましてね。
最後の一年は何の迷いもなく勉強に打ち込むことができました。”

とても示唆に富む言葉だと思いました。