◆◆【我「老子」の私見を綴る】◆◆ 猒恥第十三

猒恥第十三

寵辱若驚。貴大患若身。何謂寵辱若驚。寵爲上、辱爲下。得之若驚、失之若驚。是謂寵辱若驚。何謂貴大患若身。吾所以有大患者、爲吾有身。及吾無身、吾有何患。故貴以身爲天下、若可寄天下。愛以身爲天下、若可託天下。

寵辱驚が如し。大患貴ぶは身の如し。何を謂わんとして寵辱驚が如し。寵は上を為し、辱は下を為す。之得て驚くが如く、之失して驚が如し。是寵辱驚が如し、と謂う。何謂わんとして大患貴ぶ身の如し。吾大患ある者の所以は、吾身有る為なり。吾身無きに及べば、吾何患有らんか。故に天下を為すより身を以て貴きは、天下を寄せるべきことである。故に天下を為すより身を以て愛するは、天下を托せるべきことである。

愛でられるか恥辱を受けるかに戦々恐々とするものだ。大きな患いに頓着するのは自身のことだからである。一体如何して寵辱に戦々恐々とせざるを得ないか。愛でられているなら上手く行くが、恥辱を受けているなら上手くことは運ばない。之等の得失に戦々恐々となるのはこの為である。だから寵辱に戦々恐々とせざるを得ないのだ。

大きな患いに頓着するのは自身のことだからであるとは如何いうことか。そもそも大きな患いに悩まされるのは、自身に身体があるからの故である。我が身に身体無かりしば、そもそも何の患いもないものなのだ。従って天下を為すことよりも御身を大事に思うことこそが、天下を任せるべきこととなる。故に天下を為すことよりも御身を愛する者こそが、天下を任すに相応しいのだ。