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天道の真髄は如何に?

【銀行業務及び中央銀行の金融政策⑤】

2018-01-31 14:10:49 | マクロ経済の基礎の基礎

【銀行業務及び中央銀行の金融政策④】からの続き


 教科書には、「連邦準備局は、総需要が過大に成るのを防ぐに足る力を存してるが、需要不足を防ぐ為の力は不十分」と書かれて居る。☜ 「連邦準備局が信用のコスト及び利用可能性を統御する為に有してる諸手段、即ち、公定歩合操作、支払準備率操作、割引率操作を再考察すれば明らかである」とも、書かれれて居るが此のことについて再考してみる。

[政府証券の買操作] : 此の操作の役割や効果については前回以前で詳しく述べて来たが、
 証券利回りが凄く低く成った結果 ⇨総ての人が収益資産保有か貨幣保有かの選択に無関心に成る場合 ⇨連銀の大量政府証券購入は、利子率に十分な効果を与え無い。
 以上の様な状況下では、「公開市場操作に依って商業銀行に超過準備が生じた」としても、商業銀行は証券購入や貸出しを増加する様には成らず、彼等は此れ等の準備を保有して置くだけに成る。
「支払準備率及び割引率の引き下げ」⇨「商業銀行に超過準備発生」⇨「銀行が超過準備を取得する為のコストを安価にする」
 然し、もし既発行証券の利回りが非常に低い場合 ⇨銀行が其れ等を購入したり、新しい貸し出しをする意欲を持た無い ⇨「支払準備率の引下げ」や「割引率の引き下げ」⇦ 「信用のコスト」を減少させることも無く、「其の利用可能性」を増加させることも無い。

✱ 「支払準備」や「超過準備」については、

【銀行業務及び中央銀行の金融政策④】

で説明に触れて居る。

 利子率は極めて低い時期であった1930年代、銀行は多量の超過準備を保有して居た。
 暫くの間、「財務証券(政府短期証券)の保有者」は、事実上全く利子を得ることが出来無かった。1935年に「連邦準備制度に加盟している商業銀行」は約60憶$以上の「支払準備」を保有して居たが、全準備の半分は「超過準備」であった。

(今回の論稿の結論)
 連邦準備当局は確かに平時(極端な経済低迷時期で無い)の場合には、「信用のコスト」及び「其の利用可能性」、従って「総需要」を統御する力は持って居る。
 「深刻な不況期」☜「利子率」が非常に低く成って終う ⇨連準の諸力は消失 ⇨「総需要を十分に高い水準に維持する」為に他の別な手段が必要と成る ⇨政府需要や租税の変更が必要☜ 此のことは次回以降に論じることにする。


(要約)
① 連邦準備当局は確かに平時(極端な経済低迷時期で無い)の場合には、「信用のコスト」及び「其の利用可能性」、従って「総需要」を統御する力は持って居る。

 連邦準備当局の上に挙げた統御力を評価するには、「商業銀行制度の性質」を必要に応じて理解すべきである。
 商業銀行が超過準備(ER)を保有し無いと仮定すると、其の収益資産は、
 収益資産LS={(1-支払準備率r)/支払準備率r}×支払準備R+商業銀行の債務IF
の関係公式で表わされる。
② 連邦準備当局は「信用のコスト」及び「其の利用可能性」を統御する為の3つの主要な手段を持つ。
(1) 公開市場操作
(2) 支払準備率操作
(3) 割引率操作
③ 「公開市場操作」: 連銀に依る「政府証券の売買」に基づくものである。
 連銀が政府証券を購入 ⇨証券価格上昇 ⇨証券が齎す利回り低下 ⇨総ての証券の利回りは相互に関連 ⇨連準の活動に依って其れ等の何れか一つが低下 ⇨総ての利子率が低下する傾向がある  公開市場買操作 ⇨「信用のコスト」をを低下 ⇨其の利用可能性を増加させる。
 公開市場操作 ⇨商業銀行に対して作用 ☜公開市場操作の主要な効果は、公開市場の買操作が生み出す処の超過準備に対する商業銀行の反応から生じさせるものである。
 連銀の政府証券の購入 ⇨商業銀行の支払準備は其の購入量だけ増加する ⇨連銀への商業銀行債務は何らの影響も受け無いから、商業銀行の証券購入及び貸出能力は購入の乗数倍だけ増大する ⇨其の乗数は(1-支払準備率)/支払準備率である ☜支払準備率<1の分数である ⇨商業銀行の収益資産公開市場購入量以上に増加する☜ 「公開市場操作の主要な効果」は、商業銀行の活動の結果生じるのである。
④ 「支払準備率の変更」は、連邦準備当局が「信用のコスト」及び「其の利用可能性」を変更させるもう一つの手段である。
 「支払準備率」が引き下げられる ⇨其れ迄の支払準備は過剰と成る ⇨銀行は貸し出しを増加 ⇨証券購入を増加させ得る ⇨信用の取得が安価で且つ容易に成る。
 総需要の低下が望ましい時には、支払準備利差を引き上げれば良い。
⑤ 連邦準備当局は割引率も変更することが出来る。
✱ 「割引率」: 商業銀行が連銀から借入れるときに課せられる利率である。
 何れの銀行が連銀から借入れても、商業銀行全体として其の借入額について支払準備率の逆数分だけ貸し出しや証券保有を拡大しる。
 支払準備率=分数 ⇨商業銀行の収益資産は全体として連銀からの借入れの乗数倍だけ増加する☜ 割引率の上昇は其の様な借入れを抑制し、其の低下は借入れを促進する。
⑥ 「超過需要」を防ぐ為の連準の力は十分に強力なものであるけれども、十分な需要を維持する為の力は極めて制約されて居る。
 連邦準備当局は、「信用のコスト」と其の利利用可能性を統御することによって支出を統御する⇦ 当局は信用のコスト」を増加させたり、其の利用可能性低下させることは出来るであろうが、其の逆の作用は必ずしも可能とは言え無い。
 利子率には、其れ以下には成り得無い様な最低水準が存在する ⇨利子率が既に最低限或いは其れに近い水準であれば、「信用のコスト」を殆ど下げ得無い。
 更に、連邦準備当局が運用する諸手段の中の何れかによって商業銀行に超過準備が生じた場合 ⇨彼等の証券購入の増加或いは貸し出し増加を引き出すとは限ら無い☜ 商業銀行は超過準備を維持することが出来るのであり、もし利子率が非常に低ければそうするであろう。
⑦ 総需要様が貨幣当局に依って必ずしも統御され無いとすれば。他の何等かの処分が必要と成る。
 政府需要の変更や租税の変更は、其の様な統御手段である。


つ づ く

※ 本投稿文中の綴りや語句の使い方や理論分析の誤りは、適当に解釈して貰うか、コメント欄で指摘して頂きたい。


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