私は、日本海側の田舎で生まれた。
自然がいっぱいのところで、夏になると虫取りに走り回った。夏休みの課題は、昆虫採集が当たり前だった。確か、1年生から4年正まで毎年採集標本を出していた気がする。
1年生のときは、ともかくは採ったものを並べた。
採って並べるというプロセス自体が、楽しかったのだ・・・・ 友達同士でワイワイやりながら、田んぼの中、山の中、野原を走りまわった。
セミ、トンボ、チョウ カナブン ありふれたたくさんの虫たち・・・・
2年生、休み中の登校日で均衡が崩れた。
誰かが、カブトムシのメスを持ってきたのだ。その時まで、本では見たことがあったけれども実物は見たことがなかった。
とても大きかった。
彼の机の周りに集まり、「触らせて。」 「どこで採ったの。」。 誇らしげな彼がいた。 それから競争が始まった。
みんなで虫取りに行ったときは、大きさを比べたり・・・ 抜けがけで珍しい虫がいるという所に、少数でいったり・・・・
結局 夏の終わりまで、2匹目のカブトムシは誰も捕らえることができなかった。
父はその地域には珍しいサラリーマンで、ほとんど家にいず、子供に干渉することはその頃まではなかったし、あまり話したこともなかった。
しかし、夕食のとき、いわば虫狂いになっているという話を聞きつけた。
「山の中に、カブトムシがいる木があるんだよ。だけど小さい子供じゃいけないな。」
「うわぁー、だけど採りに行きたい。」
「だめだめ、 じゃあ 採ってきてあげよう。」
命令形ではない話し方は、多分この時が初めてだったかも・・・・
次の日起きると、枕元に虫籠が置かれ、カブトムシのメスがごそごそと音をたてていた。
魔法みたいだった。
標本のど真ん中にそれを飾り、夏休み明けに持っていった。
やはりみんなが集まってきて、「いいなぁ。」 「どこでとったの。」。 とっても誇らしかったのだけど説明できないし、ずるしたんじゃないかなと自分が恥ずかしかった。
3年。2年のこともあり、餓鬼どもは虫とりに力が入った。
この年は、大きなオニヤンマを採ることが出来た。
標本にしたときシッポが折れないように、本を調べて松葉の芯を入れた。またピンセットで、ムシの足をきれいに整えるといったこだわりも覚えた。
この年の最大の目玉も、結局父が採ってきた。
タマムシである。
この虹色に輝く虫には、びっくりした。昆虫図鑑の写真よりもはるかに美しい。
見る角度や距離で、色や輝きが変わってくる。なぜこのように見えるのか、一生懸命眺めまわし、図鑑もいろいろ調べたけれども載ってなかった。
<この原理を知ったのは、就職してかなり立ってから。長年の課題がわかってとても嬉しかった。>
母も、見るのは初めてだった。同様に美しさにびっくりしていた。
同じものを一緒に、きれいだねって言い合うことがうれしかった。標本が返却された後は、母にそれをプレゼントした。
母は、歴史の図鑑に載っていた玉虫の厨子を指し示し、「昔の人もこの美しさにあこがれていたんだよ。」と、とっても喜んだ。
そして、それを小さなガラスの小瓶に入れ、かなり長いこと小ダンスの上に置いていた。
4年生では、大きなアゲハが目玉。これは自分で採ることが出来た。
多分この頃からみんな虫狂いから卒業したのだろう。
きっと父はあの時カブトムシのオスだって採れたに違いない。だけどメスでいいと判断したのだ・・・そんな気がする。
なにはともあれ、あの時、そして次の年、父は本当に魔法使いだった。私は自分の子供に対しては、残念ながら魔法使いには、なれなかった。
そして美しいものは美しいと言い、それにこだわるのは当然と教えてくれた母・・・
あの頃は野山に、虫も子供の喚声もあふれていました。
法事等で田舎に帰ってもほとんど子供の姿を見ないのが、悲しい。
怪しげな昆虫採集セットなんてのがあって、赤、青、黄色の液体と注射器がついていた、、、、あの色はどんな意味があったのかよく分からない。(ひょっとして、交通信号の勉強もかねていたのか、、、)
今は、デジカメがあるのだから、採ってきて殺さなくても図鑑くらいは出来ますね。子供もそういうことを楽しめば良いのに、、、、、
60過ぎの爺さんが楽しんでます。
昔の昆虫採集セットは、ググってみたら今でも打っているようですね。学習雑誌に昆虫採集や植物採集の仕方の特集が出ていて、一生懸命それを読んで勉強したものです。
カブトムシの分布図で見ると、うちの田舎はあまり
いない場所になっているので、あれはきちょうだったのだと、今では思います。小さなクワガタはかなり採れたのですが。
今は写真がありますよね。ゲームの中でいろんなモンスターをスマホの中から採取するよりも、本当の昆虫が動いているのを見てほしいものです。
てんちゃん、こんばんは。
夏休みの思い出、、昆虫採集、そうでしたね。
カブトムシ なんかは憧れでした。
身近でありふれた昆虫を数匹 標本にして出した覚えがあります。
今も 昆虫採集セット を売ってますか?。変わりませんね。
昆虫採集セットは、今も売っているようです。
興味を持って採集してくれるのもいいけれど、やはり写真のほうがいいですよね。
それより、虫を受け付けない母親が増えているのではないでしょうか。