展示会名:漫画家生活60周年記念 青池保子展
場所 :小磯記念美術館
期間 :2023年7月15日(土曜)~9月24日(日曜)
訪問日 :9月14日
展示構成
第1章 初期作品 女子高生漫画家デビュー
第2章 脱・少女漫画-「イブの息子たち」の衝撃
第3章 帆船、海をゆく男たち
第4章 光と影の歴史を描く、虚と実
第5章 スペインの残酷王伝「アルカサルー王城ー」
第6章 中世の人々「修道士ファルコ」「ケルン市警オド」
第7章 「エロイカより愛をこめて」の世界
第8章 「エロイカより愛をこめて」冷戦後の世界
なお下記で使った図は、展覧会HPからの引用
https://www.city.kobe.lg.jp/a45010/kisyasiryo/497215894354.html
私が配偶者と住みだした時、少女漫画として萩尾望都と大島弓子をを持ってきた。そして
私はチラチラと見て、特に萩尾望都のSFや怪奇談のスケールの大きさにびっくりし、かなり夢中になって読んだ。
その様子を見て安心したのか、半年後にごっそりといろんな少女漫画を実家から持ち込んだ。その第2陣はかなりバラエティのとんでいたが、その中に青池保子の本があった。
その時読んだのが確か「イブの息子たち」で、ユニセックスの3人がパラレルワールド(地獄や天国、世界史の各時代)を往来し、いろんな有名人と対応して行くという話で、女性漫画のボーイズラブという世界から抜け出し、また歴史上の人物をよく勉強しそれをひねって描くという意味で、男では発想出来ない才能のある人とおもった。その次の「エロイカより愛をこめて」という漫画は、スパイと美術品の怪盗を組合わせた話で、ゴルゴ13なみに国際状況を勉強しつつ、世界の美術も勉強し蘊蓄だけでなくパロデイ画まで描いてゆくということに凄みを感じた。
彼女は中学3年の頃からプロの漫画家になって今年は60周年、それを記念する展覧会が開催されるが、名古屋から最も近いのが神戸の小磯美術館、配偶者が行きたそうにしていたので、久しぶりの神戸の状況把握、また膝の調子の状況確認を兼ねて見に行くこととした。
美術館に入ってみると、ほとんどが女性で10~高齢者までと幅広い。そして男性も所々に女性におつきの人のようについていて、安心した。1人だが男子高校生が一生懸命見ていて、その経緯に興味を持った。
第1/2章
デビューしたての中学生プロの漫画から「イブの息子たち」まで
デビュー作品は、昔妹が描いていたものそっくりの眼がぱっちりのいわゆる少女漫画。それが「イブの息子たち」で個性がはっきりして手慣れた作品に変身。東京へ一人で出て物凄い刺激を受けたのだろう。
左はデビュー作品、右は「イブの息子たち」
第3~6章
7/8章で扱う「エロイカ・・・」と並列に作品化しているもの。
作品は、ヨーロッパのイコンや中世ヨーロッパの肖像画からの影響が大きいと思う。多分漫画を描くにあたって、その服装を調べるためにいろいろ調べた結果でもあると思うが・・・
まず、海での戦いを描いた漫画からの2点
中世スペインの漫画で、残酷王と修道士
第7/8章
第7章と8章は冷戦終了以前と以後で別れている。スパイものを描く場合は、そういったことに敏感にならざるを得ない。
この人は、3~6章の作品と7/8章の作品の主要人物達がかなり似ているが、眼の雰囲気を少し変えたり、顎の角度や幅を少し変えることで、うまく書き分けている。また手をバランスよりも大きく描いて、それに重要な表情を持たせている。
まずは2大スターそろい踏み
盗賊さん、そしてスパイさん
以前、キングダムの漫画展を見に行ったが、今回の彼女のほうが絵という点では洗練されている。ただし両方とも非常によく勉強し、表現に頑張っていて美術として扱われるようになっていると思う。
漫画のジャンルは、文学にそして美術へと世界を広げている。
以前 ボブ・ディランがノーベル文学賞をとったが、その時手塚治虫が長生きしていたらいつか文学賞の候補になったのではないかとおもった。
最近は海外に日本の漫画が広がってその文学的、美術的レベルの高さが認知されてきた。出来れば日本の現在の漫画作家で、ノーベル賞とか何等かの国際的美術賞をとることが出来ればいいなと思っている。例えば萩尾望都さんのノーベル文学賞なんか会ってもいいのではないかと思う。
なお、小磯さんのアトリエにもお邪魔しようと思いましたが、覗くと女性モデルのスケッチをされているようでしたので、遠慮しました。
<この帽子は誰が?>
小磯さーん
この帽子なら
如何かな
とっても素敵だ
一枚描こう
小磯さーん
この帽子なら
如何かな
とっても素敵だ
一枚描こう