展覧会名:近代日本画のトップランナー 竹内栖鳳
会場:愛知県美術館
会期:2025年7月4日(金)〜8月17日(日)
惹句:絵画おおいに開放すべし
訪問日:2025年8月11日
<構成>
序章 栖鳳の源流
第一章 鵺の棲鳳 四条派を超えて
特集 髙島屋と栖鳳
第二章 西洋の衝撃 栖鳳へ
特集 名古屋と栖鳳
第三章 伝統と革新のはざまで
特集 人物画への挑戦
第四章 華麗にして枯淡 栖鳳の真骨頂
特集 越前和紙と栖鳳
写生帖
竹内栖鳳・越前和紙関係書簡
会場:愛知県美術館
会期:2025年7月4日(金)〜8月17日(日)
惹句:絵画おおいに開放すべし
訪問日:2025年8月11日
<構成>
序章 栖鳳の源流
第一章 鵺の棲鳳 四条派を超えて
特集 髙島屋と栖鳳
第二章 西洋の衝撃 栖鳳へ
特集 名古屋と栖鳳
第三章 伝統と革新のはざまで
特集 人物画への挑戦
第四章 華麗にして枯淡 栖鳳の真骨頂
特集 越前和紙と栖鳳
写生帖
竹内栖鳳・越前和紙関係書簡

1.はじめに
横山大観と並び称される竹内栖鳳だが、これまでは単発的にみる程度だったので、県美術館が企画展を開催したので、これ幸いと訪問した。
2.各章について
(1)序章と第一章
棲鳳(栖鳳の前の名前 西洋の影響を受ける前の名前)が、元は京都にある日本画の4流派のうち四条派であったものが、流派の垣根を越えて4流派すべてのテクニックを取得した状況を示している。ここには過去の絵の模写などが展示されていた。
流派に制約されない絵を描いたので鵺(ぬえ)と呼ばれたとのこと。
この段階で技術の高さと栖鳳の積極性で、高島屋の着物/帯などの画工として確実な収入と異なる視点を考える状況を得た。
(2)第二章 西洋の衝撃 栖鳳へ
第二章では洋画の技術が国内でも一般化しつつある中での対応で、東の横山大観等は日本画として新技術を編み出し純化しようとした。それに対し栖鳳は洋画のテクニックや表現法などをむしろ取り込もうとした。特にパリ万博での銀牌を機にヨーロッパに7ヶ月滞在できる機会を得て、ターナーやコローの影響を受けるとともに西洋の写実の技法を基礎から学んだ。そして画材として欧州の風景や動物園内の動物などを描いた。
ローマの風景。ぼんやりと描いたのはターナーの影響か? 樹々はコローの影響かも。

ライオンは彼にとって初見であり、絵を描きたくてたまらなかったそうで、何度も動物園に行き写生をし、たくさんの絵を描いている。私の配偶者はモフモフが可愛くて触りたくなるといった。

<虎・獅子図>
それぞれの顔の拡大。写実がすごい。トラの顔が従来の日本画の描き方と異なる。


(3)第三章 伝統と革新のはざまで
日本画の技術、洋画の技術の双方を把握して、新しい日本画へ取り組んだ。特にこの時期の短期間人物像を描いたのが評判と議論の対象となった。
舞妓の踊りの一瞬を描いた、緊張感のある、そして色彩豊かな絵。洋画の人々から人の構造的に成り立っていないとの批判を浴びたそうだが、重い帯を付け無理な姿勢で踊り始めようとする緊張感が表れている。

<アレ夕立に>
上の絵と違って非常に地味な人の絵。こちらは栖鳳自身があまりに写実くさくて失敗作だが公開と言っていたが、ちゃんと高島屋で下絵を商売している。ちゃんと写生せよと言いながらも、絵画にするときには意志で変えてもいいと言っているようなものだ。

<日稼>
(4)第四章 華麗にして枯淡 栖鳳の真骨頂
その後、非常に広範囲の絵を自在に描いた。その中で紙の台紙に描くことにこだわり、墨等の画材の滲みがイメージ通りになるよう越前紙漉きの人と詳細な交渉を行ったりしている。風景も描いているが動物の絵の評判が高い。
なお戦争の期間、国威発揚に協力した絵を描いているが、視野を自分から制限するためか魅力に乏しい。大観もそうだった。
猫、兎の絵。そして鹿の絵。かつおにカエル。
栖鳳の猫はとても人気がある。そして兎やカエルもたくさん書いていたようだ。とても洒脱。




屏風に描かれたものは、屏風として建てて鑑賞したい。折られる場所に対しての作者の意図、そして立体感を味わうことができる。

<夏鹿>
こだわった越前和紙に描いた作品。確かに滲みが面白い。

<柳郷清暑>
3.おわりに
私の配偶者が、「先日の院展の会員ランクになった人は、栖鳳と比べて全然スケールが小さい。」といった。確かに栖鳳は流派を飛び出し、世界の絵画と日本画を交流させよう、そして自分自身の絵を変えていこうとし、それをちゃんと実践した。教育者でもあり、多くの弟子を作った。
高島屋のバックアップがあったとしても、絵をどんどん変化させることに躊躇がない、チャレンジ精神あふれる偉大な人であるとおもった。