てんちゃんのビックリ箱

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蝶ネクタイの日 -名古屋 『市民の「第九」コンサート2018』

2018-11-27 01:34:47 | 音楽会

  2016.11.27 角田 鋼亮
  2017.11.26 大井 剛史
  2018.11.25 川瀬賢太郎

 上記の日程と人名は何だと思いますか?

 これは、私が参加した名古屋市で実施される <市民の「第九」コンサート>の日程と指揮者の名前です。
 1991年から名古屋市等の後援のもとに継続的に開催されて、今年で16回目。合唱団員は市民の応募者からくじ引きで400名が選ばれます。女声は激戦とのことですが男声はそれほどでなく、私は今回が今回3回目です。
 このきっかけは配偶者が4年前に参加して、良かったからと誘ったのです。それは一緒に行くつもりだったのですが、配偶者のほうは落選してしまったので結局私だけが参加を続けています。

 これまでを簡単に紹介した後、今回について書いていきます。




1回目(2016年)
 私は、合唱は大学の1年の時サークルに入っていた程度で、その他の音楽経験はありませんでした。一応大学の時のパートのテナーで参加したのですが、とんでもなく高い音が並んでいることにびっくりしました。
 6月から週に1回練習をするのですが、テナーパートのメロディも難しいし、ドイツ語も難しい。パート練習用のCDが販売されているので、IPodに入れて聞いていましたが、とても歌いきれませんでした。数回既参加の人が1年目はわからないうちに終わってもしょうがないといったので、それで行こうと思いました。

 上記のような状況だったのと、指揮者参加の練習の2回のうち、1回都合で休んだので練習における角田さんの印象は残っていません。

 そして、本番もあたふたしているうちに終わってしまいました。この時は集客を兼ねて、この第九にずっと参加されているテナーの錦織健さんのソロを演目に別途加えており、それをリハーサル時に後ろ側から聞いていました。本当にプロのソリストは、背中から声が出ているなって思いました。
 配偶者の聴いた感想は、演奏の最後に無茶苦茶に走ったねと言うことでした。





2回目(2017年)
 今回は、バスかテナーか応募に迷いました。ともかくテナーでは音が高すぎて声がでない部分が多いので・・・・  でもヘ音記号の楽譜はやはりピンとこないので、テナーにしました。11月~6月の間何もしていなかったので、思い出すことからでした。
 ともかくは、声の出るところだけは何とかかっこつけようとしました。2回目になると他のパートの音も少しは聴けるようになりました。

 この回の指揮者の大井さんは、3回合唱団を指導しました。非常にまじめな人でちゃんと歌えるようにしようと、丁寧に説明されました。テーマはベートーヴェンの原典に忠実にということだったようです。苦しい二重フーガをゆったりと歌わされました。指導は大づかみで指揮は端正でした。オケの名古屋フィルハーモニーへも話していることは大づかみのようでした。彼は名フィルに対しては客演だから、両者がお手並み拝見という感じだったかもしれません。

 この時の当日は大騒ぎでした。前日のリハーサルで歌っていた錦織さんが、当日になって声が出ないとして出演できなくなったのです。そのため当日のゲネプロは代理でしのぎ、代演の人を東京から呼びました。演奏開始直前に到着して、ちょっとした打ち合わせでちゃんとオケや指揮者に適合して歌うのだから、プロとは大したものです。
 




3回目(2018年)
 今回もやはり迷ったが、これまでの実績からテナーに応募し、また参加できました。3回目になっても、ベテランの範囲にはまだまだ入りません。でも新規の人がかなり入ってきました。その人達を意識してちゃんと歌わなければと思ったら、今回新規者で私の周りに来た人は、どこかでの経験者ばかりで、私よりもうまい人ばかりでした。
 今年はもうちょっと歌える範囲を広げようと思いましたが、ややマンネリっぽさも出てきました。
 
 しかし川瀬さんが参加して指導する最終盤の3回の練習になって、気持ちはガラッと変わりました。とても川瀬さんが積極的に、自分のやりたいことを明示してきたからです。その中でドイツ語の言葉の発音方法から、重要部の各パート個別の歌い方まで細かく指示しました。その要求はあたかも我々がプロであるかのよう・・・。指示する言葉は我々みたいなアマチュアでも直観的に理解できる内容であり、指示結果が出来るまで、実際に繰り返しやらせました。

 そしてそれが具体的にできるように、非常にダイナミックで変幻自在な指揮で指導しました。ボリューム調整に関しては、それこそ飛んだり跳ねたり。
 非常に面白かった。

 そして練習の最後に、「自分はプロとして演奏前には最もいいものを出すべく気持ちを盛り上げていく、合唱団員もお金を払ってもらって聞いてもらうのだから、自分と同様に気持ちを盛り上げてほしい。なお実際の演奏会では、私は第一楽章から指揮をしているので、第4楽章では疲れて今のように動けないし、オケへの指揮もある。だからこれまでやってきた練習を理解して、指揮が不十分になるかもしれないが、ちゃんと反応してほしい。」 
 こんな感じの内容だったかな・・・・ でも女声陣は俄然頑張るぞって言う気になったようです。
 
 なお指導の中で、一般の日本人の指揮と西洋人の指揮は異なる傾向にある、日本人は農耕民族で、苗を植えるように指揮棒を振り下ろしそこで拍子を叩く傾向にあるが、西洋人は狩猟民族で、動物の子供を持ち上げるように振り上げる動作を大事にする、それで音をこいこいとやっているいう話が、非常に印象に残りました。


 当日のまずゲネプロ。私たちは第3楽章から、オケの後ろに並び演奏を聴く。川瀬さんは我々の時にやったように、オケにも彼の意志を伝えて、直していく。彼は名フィルの指揮者だから、さすが遠慮はない。そして練習の前とか後には、オケのメンバーが弾き方などについて彼のところに話に行き、彼は丁寧に答えていて、コミュニケーションの良さを感じさせました。
 それよりも、オケに対しても我々へと同様な指示の出し方をしていたので、合唱団側でもオケとの仲間意識が出来たかもしれません。

 なお第3楽章、こんなに緊張して聴いたことはありませんでした。これまでは、合唱がある派手な第4楽章の前の静かなつなぎと思っていましたが、川瀬さんは、交響曲自体第3楽章でお終い。第4楽章はおまけと、最初言いいました。その言葉に合うかのように、宗教音楽ぽく荘重に繊細に曲は流れました。すぐに第4楽章が始まらなければ、ここで終わりと思ってもおかしくはない。

 そして第4楽章。オケがいい感じで入り、バリトンが流石というソロを歌った後、合唱が始まる。これまでと同様に、ひな壇なので周辺のテノールの近くの声が練習の時より散って聞こえなくなる。その代わりにソプラノやアルトの声が上に反射して降ってくる。えっと驚いたのが女声の声、特にソプラノの声が凄く伸びてきれいなこと。後で錦織さんも20歳くらい若返った声と評しました。
 
 川瀬さんの指揮は、飛び跳ねはしなかったがほとんど練習の時の勢いで、ダイナミックに振ってくる。強弱のメリハリ、速度のメリハリを指揮で要求してくるが非常にわかりやすい。顔の表情を見ているだけでも歌えてしまいます。特にボリュームを要求するので、調子にのって声を出していると、早い段階で声が切れる。
 川瀬さんは、これで本番も続ける体力が持つのかとおもいました。




 約1時間後本番。我々は2楽章の最初に舞台裏に入って、そこで聴く。
 とてもメリハリの利いた演奏。川瀬さんが指揮台で躍動しているのを感じる。それが終り、400人の合唱団と4人のソリストがぞろぞろと舞台へ入場。その時客席を見ると事務局の言っていたようにほぼ満席。錦織/川瀬効果でしょうね。
 
 第3楽章、荘重さについてはやや聴きなれたが、オケが川瀬さんの注意事項を取り入れて繊細さを増していました。なるほど、こういう感じでプロは曲を作り上げるのですね。
 オケの音が前からうわっと盛り上がって聞こえてくる。そして指揮者の動き一つ一つに反応して音が踊る。これをじかに感じることが、同じ舞台にいることの特典。じっと立って待つことはやや辛いが、とっても幸せな感じになる。

 そして第4楽章。ここはゲネプロの時に第3楽章との対比を強めるように川瀬さんが指示していたが、ゲネプロより格段にいい。そしてソロもゲネプロより一層魅力的に歌っている。川瀬さんは第3楽章はがっちり振っていたが、第4楽章はいつものように派手に振ってきます。

 そして合唱。最初のフロイデ、いいじゃん。 その後の全体の合唱、 すごくみんなの声が出ている。特にソプラノ。完全に川瀬さんのアクセントのある指揮に載せられた。私もなんだか知らないけれども、一部出ないはずの音がでたりしました。
 
 川瀬さんはボリュームが必要な時、西洋人流のコイコイって感じで指揮を振る。そうするといくらでもボリュームが出るぞって感じになるし、スピードを調整するとうまくそれに乗るし、あたかも魔法にかけられたようでした。
 最後の私にとってはとんでもなく高い音も、なんだか音が出ている気分になって「ゲッテフンケン」と叫んで終了。やったぞって感じでしたね。

 演奏終了後出ていく時、オケのメンバーが握手しあっていましたが、合唱団のほうも周辺と握手しあいました。私も周辺から握手を求められて嬉しかった。

 演奏を聴いていた配偶者に感想を聞きました。彼女は川瀬さんをすごいと思ってずっとその指揮ばっかりみていたとのこと。
 そして、「名フィルも若い元気な指揮者だと、とても元気な演奏をするんだね。」ということで、合唱のほうは「良かったんじゃない。」で終わってしまいました。

 下は中日新聞に掲載の新聞の写真で合唱団の中央部分。この中に私も写っています。




コメント (6)
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