空野雑報

ソマリア中心のアフリカニュース翻訳・紹介がメイン(だった)。南アジア関係ニュースも時折。なお青字は引用。

Bolsonaro:ドゥテルテと同じ轍を踏みそうでもある

2018-10-14 12:08:05 | Newsメモ
BBC Brazil elections: Hate crimes reported include a murder and a swastika attack 12 October 2018

Tension ahead of the Brazilian elections has been linked to a string of violent attacks, including one case being treated as political murder, according to local media.

 ポリティカル・コレクトネス概念がゆるく、しかし広範にひろまって、ある政治党派を支持する・そこに投票することが政治的・経済的分配をめぐる合理的闘争の次元ではなく、時代を超越した正義に適うかどうかと言う倫理的・宗教的闘争と理解されるようになり、当然の帰結として神の真理に反する異教徒・異端を処分することは十字軍的に正しいという理解に至り、political murderも多数出るだろうねというお話と理解する。

A woman also had a swastika carved into her flesh by supporters of far-right presidential candidate, Jair Bolsonaro.

 とまであると、なんというか今が21世紀だということを忘れそうになる。

An impending run-off vote between him and leftist Fernando Haddad is polarising the nation.

 これこそ私が懸念する問題であり、今の日本でも極端主義者がこの危険を確かに暖めつつある―もちろん、彼ら自身は妥当な行動をしていると確信していると思うが。

Mr Bolsonaro has dismissed the violent attacks as isolated.

 しかし彼の意向を忖度して行われていることに責任があるだろう―というのが批判者側の理屈だったりする。

Mr Bolsonaro is running on a tough-on-crime platform, but his critics say his language - and reputation - incite violence.

AFP news agency has reported several cases of election-related violence, saying supporters of Mr Haddad were particularly targeted.

 だが

He has denied this. "I ask people to stop. But I don't control them," he said. "If a guy wearing one of my T-shirts goes too far, what can I do?"

 ひとは自由であり、その自由を権力者(候補生)である自分が直接規制するというのも、どうか? だいたい自分は”暴力はダメだ”と宣言し、主張しているのだ、それ以上のことは―? という―

 ―肌感覚に近い自由主義的なことをいうわけだ。
 これに対して左派としては、示唆するような言葉をいうことからしてけしからん、まかりならん、規制しろ、と言い立てることになるだろう。

 あとまあ、『オレ、ついこのあいだ、殺されかけたんですけど』という権利は、うんその…彼にはある。

 ではここで問題が発生する。
 Bolsonaro氏を刺した下手人は精神的に怪しいのでチェックをうけるが、
 反Bolsonaroのひとを刺した下手人はBolsonaro支持者なのでBolsonaroは当然その責を問われるべきだ、
 というのは、政治的党派・思想信条・人種・男女・民族に関わらず認められる当然の構図であろうか?

 この問題を解かねばならぬ、と思う向きもあろう、おそらくは中間派の一部に。

The attacker, Paulo Sérgio Ferreira de Santana, told police his motivations were political. He was angry when Da Costa said he was supporting Mr Bolsonaro's rival, and reportedly went home to pick up a knife, and then returned to the bar to stab the victim 12 times.

 典型的右派なら「無関係のひとを12回もぶっ刺すのはキ●ガイだ、精神病院に叩き込め」と主張し得る―のが、既に彼らの強みではある―。政治的な主張をしたとしても、「キ●ガイの発言だ」ということでまるっと無視してしまえばいい。それはライシャワー大使刺傷事件で行われたことだといえる。この際、当人の発言を聞くべきだというのがリベラル的立場であったはずで、だから今回についても、下手人の見解に一応耳を傾けるのは一貫した態度といえる。しかしそこからさらにBolsonaroまで責任範囲をもっていくのは―論理の構築に相当の困難があるだろう。

 まあその、私としては、人格者を自任するひとからキ●ガイ扱いされた経験もあり、こういうキ●ガイをいちいち摘発して殺して回るような人たちを支持しないのですが(我が身の安全のためにも)。

 そういうリンチ大好き連中がのさばるのは治安の問題でもあり:「Violence has been rising in the country for some time and it has been a main focus of the election campaign」、こうまで悪化した状況をフィリピンのドゥテルテ兄貴ばりにばっさばっさ叩き切ることができれば、Bolsonaroもそれなりに成功した政治家扱いされるのではないか、とか書いておこう:

Analysts say this is why voters have turned to Mr Bolsonaro

Gay rights organisation Grupo Gay da Bahia said 2017 was the deadliest year for the country's LGBT community, with 387 killings.
It fears that number could increase further this year as more than 300 people been killed in anti-LGBT hate crimes so far, it says.


 これに対して、「ゲイを殺すのは殺人だ」「ひとを殺すことを殺人という」と、極めて単純な理屈を押し通すだけでよいわけで、さほどハードルは高くない。だが

He has said police should have been allowed to kill criminals more freely, with questions asked later. Those who kill "10, 15 or 20" should get a medal, he said in August.

 この点でハードルをあさってのほうに引き下げかねないあたり、ドゥテルテ兄貴と同じ轍を踏みそうでもある。

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