借地を無償で返還した場合 所得税・法人税

2019-09-10 16:04:17 | 税務・会計 所得税

 借地を無償で返還した場合

 照会要旨

 A社はBの所有する土地を20年前から賃借し、その土地に木造の営業所を建設し業務を継続してきました。当初契約における借地期間は10年間ですが、更新されています(権利金及び更新料の授受はありません。)。
 本年6月、A社は、建物の老朽化等によりその建物で営業することができなくなったため、新たに営業所を賃借することとして当該契約を解除しました。契約の解除に当たって、A社がBに土地を無償で返還した場合、Bの課税関係はどのようになりますか。

 (注)
 1 土地賃貸借契約を基とする土地賃貸借料改定契約において、契約の解除に当たっては、「賃借人において、他の場所に新営業所の建設を完了した場合、賃借人は業務開始前6か月の予告をもって本契約を解約することを得る」とされています。

 2 現在Bの所有する土地のある地域においても土地の賃借に当たっては、権利金を授受する取引上の慣行があります。

 回答要旨

 立退料等の金銭の授受がない場合であっても、契約の解除条項に従って解除するものであることから、賃借人及び賃貸人のいずれも、課税関係は生じません。

 (注) 建物の老朽化により借地権が消滅する場合、法人税の取扱いにおいては無償返還が認められています(法人税基本通達13-1-14(3))。

(借地権の無償譲渡等)

 13-1-14 法人が借地の上に存する自己の建物等を借地権の価額の全部又は一部に相当する金額を含めない価額で譲渡した場合又は借地の返還に当たり、通常当該借地権の価額に相当する立退料その他これに類する一時金(以下13-1-16までにおいて「立退料等」という。)を授受する取引上の慣行があるにもかかわらず、その額の全部又は一部に相当する金額を収受しなかった場合には、原則として通常収受すべき借地権の対価の額又は立退料等の額と実際に収受した借地権の対価の額又は立退料等の額との差額に相当する金額を相手方に贈与したものとして取り扱うのであるが、その譲渡又は借地の返還に当たり通常収受すべき借地権の対価の額又は立退料等の額に相当する金額を収受していないときであっても、その収受をしないことが次に掲げるような理由によるものであるときは、これを認める。(昭55年直法2-15「三十一」により改正)
 (1) 借地権の設定等に係る契約書において将来借地を無償で返還することが定められていること又はその土地の使用が使用貸借契約によるものであること(いずれも13-1-7に定めるところによりその旨が所轄税務署長に届け出られている場合に限る。)。
 (2) 土地の使用の目的が、単に物品置場、駐車場等として土地を更地のまま使用し、又は仮営業所、仮店舗等の簡易な建物の敷地として使用するものであること。
 (3) 借地上の建物が著しく老朽化したことその他これに類する事由により、借地権が消滅し、又はこれを存続させることが困難であると認められる事情が生じたこと。

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