公証人と公証役場

2019-06-08 14:30:23 | 法律

 公証人と公証役場

 公証制度とは,国民の私的な法律紛争を未然に防ぎ,私的法律関係の明確化,安定化を図ることを目的として,証書の作成等の方法により一定の事項を公証人に証明させる制度です。公証人は,国家公務員法上の公務員ではありませんが,公証人法の規定により,判事,検事,法務事務官などを長く務めた法律実務の経験豊かな者の中から法務大臣が任免し,国の公務をつかさどるものであり,実質的意義における公務員に当たる(刑法の文書偽造罪等や国家賠償法の規定にいう「公務員」に当たる)と解されています。

 公証人は,取り扱った事件について守秘義務を負っているほか,法務大臣の監督を受けることとされ,職務上の義務に違反した場合には懲戒処分を受けることがあります。公証人は,法務省の地方支分部局である法務局又は地方法務局に所属し,法務大臣が指定する所属法務局の管轄区域内に公証役場を設置して事務を行います。公証役場とは,公証人が執務する事務所のことです。公証人は,全国に約500名おり,公証役場は約300箇所あります。

 公証人は,職務の執行につき,嘱託人又は請求をする者より,手数料,送達に要する料金,登記手数料,日当及び旅費を受けることとされており,その額は,公証人手数料令の定めるところによっています。公証人は,これ以外の報酬は,名目の如何を問わず,受け取ってはならないとされています。このように,公証人は国から給与や補助金など一切の金銭的給付を受けず,国が定めた手数料収入によって事務を運営しており,弁護士,司法書士,税理士などと同様に独立の事業者であることから,手数料制の公務員とも言われています。

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