いきけんこう!

生き健康、意気兼行、粋健康、意気軒昂
などを当て字にしたいボケ封じ観音様と
元気印シニアとの対話。

 千葉市動物公園 番外編 その9:一張羅の衣更を終えたトメキチ

2009-05-13 16:37:46 | 散策
多くの哺乳類は、全身の毛衣(けころも)を冬毛から夏毛に更新する換毛(かんもう)を、毎年一定期間に行っています。
千葉市動物公園のレッサーパンダーはその真っ最中です。ムフロンやアメリカバイソンの毛並みも、換毛の時期かと思うばかりにマダラ模様になっています。

桜の季節に換毛を行っていたトメキチ(写真)は、五月晴れの日差しを受けて颯爽としています。朝湯を浴びた若大将ですよ。
3月中旬に訪れた時、地面に体を擦り付けて衣更(ころもがえ)をしていたトメキチとクリスでしたが、綺麗に変身していました。

さて、トメキチとクリスの一張羅(いっちょうら)は、自前の毛衣です。
ところが、平安時代の貴族には、季節毎に衣更をする習慣があり、年7回も衣服を着替えています。
貴族達は、春は薄衣、夏になると単襲(ひとえがさね)で夕涼み、秋には生織(きおり)の綿入れを、冬になると練絹(ねりぎぬ)の綿入れに衣更していたのですから、トメキチ達には羨望の的でしょう。

江戸時代の庶民は、春と秋に衣を替えていますが、貴重品扱いの着物は摺り切れるまで活用しています。着物地は何度となく洗い張り・仕立て直して布地が擦り切れるまで使っています。
同じ1枚の着物を、夏は単(ひとえ)に、冬は裏をつけて袷(あわせ)にして着たり、大人の着古しを子供用に仕立て直して着るのが当たり前の庶民生活は、裁縫上手の女房が支えています。
成人するまでには一通りの縫物が出来ない娘は婚期が遅れるとされていたので、針の持てない娘が適齢期に嫁げるようにと、母親は厳しく針仕事を教えます。裁縫は女のたしなみだったのです(大江戸ものしり図鑑他)。
夏は麻の単、春秋は一重(ひとえ)に裏地つきの袷、冬は裏地との間に綿を入れた綿入れに衣更をする江戸庶民の楽しみは、針仕事の上手い女房の汗の賜物でした。裏方がしっかりと家庭を守っていたのです。

千葉市動物公園のクリスは、針仕事をする機会に恵まれないでしょう。
トメキチに、夏は単、冬になると袷に作り変えて衣更を促すこともなく、クリスが我が身の換毛に専念しても、トメキチは一言も文句を言いませんよ。トメキチは、クリスの衣更が、滞りなく終わることを待っているだけです。
お互いに衣更を終え、冬から春へ、春から夏へと移り変わる時の流れに身を任せて、自然体のままに生きるのが、蒙古野馬の生き方なんだから・・・。



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