今年は氏神様(白山社)の係をやっています。そこで、年末年始の行事を氏子の皆様にお知らせする回覧板の作成を頼まれました。しかし、いざ書きにかかると分からないことばかりです。最初は、大晦日の深夜に焚く火のことを何と言うのか、「○○をして皆様をお待ちしています」と書きたいのにその名前が分かりません。次に写真の一番前の建物(掲示物が貼ってある衝立のような建物)の名前、「○○の屋根を修理する必要に迫られています」と書きたいのに、これも名前が分かりません。
ちょうどそんな時友人に誘われて伊勢神宮参拝に出かけました。そこで内宮の案内所でこの二つを訊きました。しかし、ここでも分からないというのです。対応していただいた女の人が電話をかけ、お爺さんのような人が出てこられましたが、首をひねるばかり。「ちょっと待って下さいよ。ここでも大晦日に火をたいていますが、その作業をする人たちへ出す文書を見てみましょう」という話になり、「あ、ありました。『篝火(かがりび)奉仕団殿』となっとるが、日付で大晦日の火とわかる訳で、あの火は篝火だが、後は分かりませんなあ」とのことでした。二番目の質問については、最初から「分かりません」の連発。「ここにはそのような建物はありません。第一ここには、狛犬さんもありませんからねえ」。
これには驚きましたが、確かに日本語には「概念規定」というセンスが乏しく、うすぼんやりと以心伝心で「よし」とする傾向があります。そういえば、全国にある3000社に及ぶ白山社の名前がすべて「白山社」で、所在地を冠に付けると正式名称でなくなるという話も聞きました。
困って前年度の回覧板を見ると「例年通りの準備をしてお待ちしています」と書いてある。それは嫌で、結局「年越しの篝火を奉納して、皆様をお待ちいたしております。」と書きました。
建物の方は頓挫。やむなく石川県白山市にある総本山へ電話をしました。こちらの対応は少し親切で「ふむう、ここにはそのような建物はありませんが、見たことはありますねえ。愛知県の神社庁に聞いてください」といって神社庁の電話番号を教えて下さいました。神社庁では「ああ、それはこの地方独特の建物で、藩塀(ばんぺい)と言います。神様をまともに見ないという意味ですよ」とのことでした。これでやっと文章が書けました。
12月23日、係のひと20人総出で「門松」を作って来ました。今年はメンバーに庭師さんがおられて、上出来。右に雄松、左に雌松が配されています。理由は、右の狛犬が雄で左の狛犬が雌だからだそうです。