先週の2/19から昨日の2/26に渡って、国際司法裁判所(ICJ)では、イスラエルによるパレスティナの不法占領を訴えた裁判についてのヒアリングが行われ、各国の代表が意見陳述を行いました。初日の2/19は、パレスティナ代表が陳述を行い、二日目からは、前回のICJでイスラエルのジェノサイドに対して最初に声を上げた南アフリカから始まり、日本、アメリカを含む52か国が週末の二日を除く5日間にわたって意見を述べました。
イスラエルよりの国々のうち、カナダは陳述をドタキャン、イスラエルの無理な擁護をするぐらいなら黙っている方がマシだと判断したのでしょう。最初の10か国はほぼ一致して、イスラエルがパレスティナを不法に占拠していると陳述。一方、イスラエルを支援続けるアメリカやイギリスは、イスラエルには自衛の権利があり、直ちにガザとウエストバンクから撤退せよとICJが命令すべきではない、と擁護。この意見はもちろん少数派ですから、アメリカとイスラエルは少数の国を除く全世界を敵に回して、孤立しつつあるといってよいでしょう。また、実際にはアメリカ人の大多数はこのアメリカ政府のイスラエル支援に反対しており、イスラエルのユダヤ人でもかなりの人間はシオニスト政権を支持していないと思いますから、数で追い詰められているのはこれらの国で権力を握っているシオニスト ユダヤの方と言ってもよいでしょう。彼らには、虐殺を推し進めたおとに対して、いずれ神の鉄槌が下されるでしょうけれども、今現在、彼らによって大勢の罪のない子供たちが毎日殺されて行っているという現実を何とかしないといけません。
さて、このICJヒアリングの4日めには、外務省のTomohiro Mikanagi氏が日本を代表して、意見を述べました。最初に日本の立ち位置として、非暴力による解決を探るべきであると述べた上で、解決法はTwo-state solutionしかなく、パレスティナ国家とイスラエルが平和共存すべきだ、と述べました。この日本国としての見解は誰がどういうプロセスをもって承認したものかわかりませんが、私は非暴力による解決を望むという点では合意しますが、前回述べたように、Two-state solutionには同意できません。これは現実的に実現困難であって、有効な解決法とはなりえないと私は思っています。
しかしながら、Two-state solutionを支持するパキスタンは、陳述の中で、フランスはかつての植民地であるアルジェリアから、ウエストバンクのイスラエル入植者をこえる数のフランス人入植者を引き上げたことを指摘し、Two-state solutionの実施は可能であると議論しています。しかし、問題はウエストバンクやガザだけではなく、Two-state solutionが成り立つには、パレスティナ人が自立するだけの土地をイスラエルが彼らに返すことが必要でありかなりの困難が予想されますし、また、そもそも歴史的にTwo-state solutionは、イスラエルが拒否を続けて現在に至っており、現在のシオニスト政権が権力を握っている限りはあり得ないと思います。そして、シオニスト政権が終了すれば、そもそもTwo statesにして棲み分ける必要がないと私は思います。ですので、どう考えても解決法は一つしかなく、それはシオニスト政権を終わらせ、現在のイスラエルという国家を解体するではないかと感じます。
現代のイスラエルが支配するようになったパレスティナの地は、アメリカ合衆国の成り立ちを思い出させます。数百年前、アメリカに移民し、原住民を迫害して土地を奪っていったヨーロッパ人同じことをしているのが、パレスティナに無理やり入って行ってパレスティナ人を迫害して土地を奪ってきたイスラエルと言ってよいでしょう。始めたのが、清教徒であるかシオニスト ユダヤであるか、そして、迫害されているのがアメリカ原住民であるかパレスティナ人であるかという違いはあるにせよ、きわめて似通った構図です。アメリカが強くイスラエルを非難できない一つの理由はその国の成り立ちにもあるのかもしれません。そして、アメリカの開拓期と同じく、シオニスト政権のプロパガンダは一般のユダヤ人入植者にも広がっていったのでしょう。イスラム教徒はテロリストでユダヤ人を襲撃してくるから自衛のために彼らを殲滅しないといけない、ユダヤ人の発言を聞いていると、本気でそう考えているかのようです。ちょうど昔のアメリカ映画で、土地を奪いに侵入してくるヨーロッパ移民から土地と家族を守ろうと抵抗するアメリカ インディアンを、西部開拓に向かうヨーロッパ移民を襲撃する悪者として描いたのと同じように。移民側からみれば、開拓者かも知れませんけど、原住民からみれば侵略者に過ぎません。そんなことを、中学生の時に社会科の教師が話してくれたことを思い出しました。
世界的にイスラエル製品のボイコットが広がり、イスラエル経済は20%落ち込みました。国際的な催しへのイスラエルの参加拒否も検討され、ブラジルなどイスラエルと国交を断絶する国も出てきており、イスラエルは孤立しつつあります。「人質を奪還する」と言うネタニヤフは人質はそっちのけで、人質もろともガザを破壊することに血眼となっており、レバノン、シリアにまで攻撃範囲を広げて破壊行動をエスカレートさせています。このネタニヤフの行動にイスラエルの被害者も不満を募らせてきています。こうしてイスラエル国内の不満の蓄積が、諸悪の根源であるシオニスト政権を権力から引き摺り下ろすことにつながっていって欲しいと望んでいます。
また、バイデンもこのままイスラエルに加担しつづけて紛争が長引けば、再選は危ういと思っているでしょうから、なんとか収めようとするのではないかと思います。アメリカがイスラエル支持に消極的になり、イスラエル国内からネタニヤフ政権への反対運動が強くなって、ネタニヤフを失脚させることが停戦と将来の平和の実現への現実的な道筋であるのは間違いありません。それが実現するかどうかは、イスラエル国内の反シオニズム勢力に依存すると思います。
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