送電鉄塔の見える場所

稜線の向こうに消えてゆく鉄塔の列はどこへ続いているんだろう

苓北火力線 220-217号

2010-03-28 13:16:31 | 苓北火力線
   

苓北火力線の最終鉄塔、220号。ようやく画像を載せることができました~。
先は長いのに最初の1本にこんなに時間かかってて大丈夫なんだろうかw
とはいえ走り回っている間に巡視路の見つけ方がちょっとは分かってきたので、まあいいかな。

   

脚はそれぞれ専用のひな壇に乗っている。町中なら家1軒建てられるくらいの敷地が4つ。さすが500kVです。
ヘリ巡視用番号札は肉眼なら数字も色もはっきり判るんだけどケータイ写真だと苦しいなぁ。
これは若番側から見たもので緑の地に白い文字。老番側は赤地に白文字だ。
この緑赤の組み合わせは知る限りではこの鉄塔だけ。他では両側とも黄色の地に黒い文字のが付いている。
最終鉄塔だからだと思うがヘリ番ありの最終鉄塔はまだこれしか知らないので断言はできない。

      

脚に付いている番号札がキレイなのが嬉しい。
以前紹介した191号は(写真が悪くて見づらいけど)「1995.2」だった。何号からが後から建てられたものなのか早く確かめなくちゃ。


  

219号は山のてっぺんにあるので前後の鉄塔、特に220号とは標高差がある。だから碍子連が懸垂型だ。
ジャンパ線がないのですっきりしている。「鉄塔 武蔵野線」の著者、銀林みのる氏説では懸垂型は男性、耐張型が女性だけど
このクラスの鉄塔だとむしろ耐張型の方が腕がごつくていかついような気がするw
画像では鉄塔が青く見えるが実際は塗り立てのコンクリートのような灰色。塗装されていないので鉄の色が見えている。

                   

主柱のボルトより下はライトグレーに塗られているけれど他の部分はツヤ消し処理だけだ。今回の4本は全部そうなっていた。



218号はかなりの急斜面に建っていて、しかも敷地の外はすぐ薮だ。全体の写真を撮ろうとすると真下からか遠くからか
どちらにしてもケータイではつらい。早くビンボー脱出してデジカメ買いたいな~。

鉄塔巡りを始めた頃は熊本辺りではそれほど路線が混み合っているわけでも鉄塔用地に苦慮するほどでもなかろうから
同じような鉄塔ばかりだろうと予想していた。でも1本1本見て行くと送電線の走り方や足場の地形に合わせてみな違っている。
どれも世界に1本だけの特注品だ。すごいなぁ・・・。興味ない人の目にはやっぱり同じように見えるかもしれないけどw



217号はとんでもない所に建っていた。もう崖でしょw 218号もこれに近いんだけど、基礎はどう打ってあるのか知りたくなる。
これの右奥が斜面の崩れ落ちていた場所の真上だ。もちろん地質調査や地盤補強に抜かりはないだろうが。
作業員さん大変だったろうなとか、もうちょっといい場所はなかったんかいとか、素人が要らんことを言いたくなる光景だ。

ここから送電線が少し向きを変えるので左と右の腕金の長さが違う。
結界から見ると非対称の腕金の作る形が素敵だ。潅木が一緒に写り込んでるのはご愛嬌w
しかし・・・イイ年してこんな崖登ってんじゃないよ、自分・・・
 


中九州変電所

2010-03-22 04:30:39 | 変電所
 

しばらく前から気になっていたことがあった。
以前の記事で苓北火力線は500kV設計だけど220kVで運用されていると書いた。(2009-12-21 「苓北火力線 191号」)
それは違うんじゃないか。実はもう昇圧されてるんじゃないのか?
あれこれ検索してみてもはっきりした答えが見つけられないでいた。
でも!やっと判りました。苓北火力線はすでに500kVになってます!

            
         手前が苓北火力線の引留鉄構、後ろは中九州幹線と南九州幹線の引留・引出口。
         右に伸びている線はいくつかの機器を経由して220kV側へ繋がっている。

この路線が電気を運び始めたのは1995年12月、苓北火力発電所1号機が運転開始した時からだ。
その時点では中九州変電所はまだ建設工事すら始まっていなかった。
7kmほど北西寄りにある既設の220kV級南熊本変電所に引き込まれていたので暫定的に220kV運用となったのだろう。
その後、2003年6月の苓北火力2号機の稼動に先立って2002年12月に中九州変電所が新規建設され、
引込先がこちらに替わるとともに500kVに昇圧されている。

同時にそれまで熊本変電所から南九州変電所まで直通だった南九州幹線がここに入るようになった。
中九州幹線(熊本-中九州)と南九州幹線(中九州-南九州)と苓北火力線、3つの500kV幹線が接続する
今の形が出来上がったわけだ。
その時もうひとつ、南熊本変電所と大平揚水発電所を結ぶ220kV南熊本大平線もここに立ち寄るように変更されて、
中九州大平線と中九州南熊本線とに分けられている。
2010年3月現在、中九州変電所に繋がっているのはこの5路線だ。

  
     中九州幹線側の機器群。GISと呼ばれる、装置類を絶縁性の高いガスの入った容器に収める方式、だと思います・・・

細かいことを言うと、南九州幹線の引込変更だけが2002年11月となっているのがよく解らない。
通電中の送電線が運用開始前の変電所に入ってるってどういう状態?入も出も同じ電圧なら変電所関係なしってこと?

    
                中九州南熊本線と中九州大平線の引留・引出鉄構と1号鉄塔。

初めて変電所の中を見られた日からあと、もう何度かここへ来た。
2度目は苓北火力線219号脇の道へ出ようとしていて道を間違え、ここに着いてしまったのだったw
なんだ、車でも来れるんだ。しかもフェンス際まで。というわけで正門を見ることができたし、こんなモノも見つけてしまった。

    

向こう側のは以前に下の道路から見た小さな鉄塔だな。でも一体なに?コレ。架線の端は地面に固定してあった。
画像では判りにくいけれど水平材の上にLP碍子っぽい物が3本立ててあったり根元だけの電柱があったり、謎のエリアだ。

あまりうろうろしてるとみらいくんに叱られるなw 入ったりはしませんてばw  
ようやくこの変電所をざっと紹介することができたので、次回こそは鉄塔です。

中九州変電所と苓北火力線最終鉄塔へ至る道

2010-03-07 20:06:42 | 苓北火力線
苓北火力線の最終鉄塔にはどう行けばいいだろう。ここ1ヶ月ほどあれこれ試行錯誤していた。
最初は中九州変電所へ行く途中で見つけた標識を頼りにいきなり林道に突入し、
未舗装の路面のあまりの状態に不安が募って数百mで逃げ帰ってきたw

里山といえどもナメてはダメだ、しっかり下調べせねばと、鉄塔の位置を航空写真から拾って1/25000地形図に落としてみた。
鉄塔の並んでいる尾根へ入るルートが地図上にいくつかある。ほとんど徒歩道(幅1.5m未満)。1本だけ軽車道(幅1.5m~3m)。
しかし地図は鉄塔が今の位置に建てられる前に測量されたものだから変わっている可能性も高い。
結局は行ってみなければ判らないということだ。

2度目のチャレンジは快晴の午後、一番距離の短い徒歩道。前回の林道の、荒れ始める手前に車を置いて歩く。
山道の入口に標識がないなぁ。これは違うのかも・・・まあ行ってみよう。
谷筋の小道は最初はいい感じだったが次第に雲行きが怪しくなってきた。
2/3ほど登ったあたりから背丈より高い枯草が道を塞ぎ始める。少なくとも昨夏から人が入ってないようだ。
そこを強引に突破し、やっと尾根に出たら斜面が崩れ落ちている・・・かろうじて道は残っているけど、どうにも気味が悪い。
植生の様子からすると3年前の豪雨で崩れたらしい。
前方に見える鉄塔の下は崖がコンクリート補強されている。ということはあっちには車が通れる道があるんだ。
もう1度薮を突破して谷を引き返す。そうだよね、いくらなんでも正規の巡視路がこんなに荒れてるわけないよねw

     

車に戻り、えぐれた路面をおそるおそる越えて前回引き返したその先へ進む。
別の道と合流する三叉路に出た。おお、こっちの道は舗装されている。標識もある。

                       
最終鉄塔に行くんだから左折だ。舗装道路だ~と喜んだのも束の間、カーブひとつ曲がったらまたボコボコの路面になった。
そろそろ尾根というあたりから路面が本格的にやばくなってきた。完全に溝ができている。
とうとうタイヤを落としてしまう。前に進めない。後ろへは・・・なんとか戻れた。よかった~。
車を降りて徒歩で行く。おいおい、今度は道が埋まってるよ。
土砂の上に踏み越えた跡ができているから向こう側へ抜けられるんだろうけど、この先もこんなのが続くんだろうか。
そのまま進んでも時間ばかりかかりそうで干してきた布団が気になったので、この日はここまでにした。

   

4日後、埋まっていた地点から3度目のスタート。暑いくらいの好天に士気が上がる。
倒木をくぐり岩をよけ、路肩のなくなった「元道路」を進むと、ようやくまともな道路に抜けられた。
道幅が広くなっている所が苓北火力線217号への入口だった。尾根に沿って送電線が延びている。さあ、どんどん行くぞ~!

尾根筋の218号、219号へは簡単にたどり着けた。2本の間には山の反対側から登ってきた車道まで通っていた。
な~んだ、西側からなら217号まで車で入れるんだ。だから東側は3年も崩れたままで放置されてるのか~。

        

さて要はここからだ。219号の建っている山こぶから眺め回して降りていく小道と標識を発見。よし!
急な斜面に階段が続いている。頭上が繁っていて薄暗く湿っぽい。
それでも「道がなければ薮漕ぎも覚悟」だったので、ものすごく有り難い。尾根ならともかく谷の薮漕ぎはねー・・・危ないって。
下るにつれて倒木がごろんごろんし始めた。雨の季節には絶対来られないな。道が川になっている可能性も大だ。
荒れた杉林を降り切ると今度は湿地、その先は放棄された梅林だった。もう少し暖かくなったらマムシ注意だよ、こりゃ。

 

花の終わった梅の向こうに鉄塔が建っていた。そして、ぶぅーんという唸り。変電所だ!
一気に足が軽くなる。最後の繁みを過ぎると空間が開けた。

形といい広さといい分譲宅地みたいな区画が4面。その一つ一つに脚を置いて建っているのは苓北火力線最終鉄塔220号だ。
キリ番だからヘリ巡視用鉄塔番号札も付いている。ああ、やっと来られたよ・・・・・

             

巡視路を鎖の所まで降りていくと、目の前に中九州変電所が明るく広がっていた。
大きな鉄塔に釣り合う巨大な鉄構が印象的だ。今までに見た66kV仕様や220kV仕様の変電所とはスケールが違う。
なにもかも大きくて威圧感がある。これが500kVの迫力かぁ。
南半分ががらんとしているのは将来路線が増えたらそこに設備を入れる予定ということだろう。
春の日差しと低い唸りに包まれてしばらくうっとりと見入っていた。ほおぉー・・・(〃▽〃)

さあ、次回は鉄塔と変電所の写真です!