送電鉄塔の見える場所

稜線の向こうに消えてゆく鉄塔の列はどこへ続いているんだろう

宇土分岐線の消滅と転生

2011-11-20 23:52:16 | 気になる鉄塔
通勤途中の道から見える元の大淀幹線(この名称で確定です!)の鉄塔で建替工事の準備が始まった。ついに来たか・・・
春先あたりから「その時」が近いことを匂わせる兆候はあった。予期していてもいざ目の前で工事が始まると動揺してしまうなぁ。
そう、古い鉄塔はいつかは撤去されてしまう。去年の秋にも鉄塔が消えていくところを見たんです・・・

      
        最初に見つけた宇土分岐線2号。建設年月が消されてるのが気になる。198・・・いや199X?

麦畑に架線のない鉄塔を見つけたのは昨年の春も終わりの頃だった。路線名を確認し、九電HPの供給設備図を思い浮かべる。
あれかぁ。廃線になってたのか。(ここで頭に浮かんでるのは一昨年のもの。今年更新された設備図にはもう載ってません。)
すでに1号鉄塔は無かった。全部消えてしまうのも時間の問題、まだあるうちに見ておかなきゃ。そう思ってたのに。

     
    南熊本緑川線の手前に立つ宇土分岐線の廃鉄塔。右端の鉄塔と隣の2号の間に以前は1号鉄塔があったはず。

再訪した時は田植えの季節に突入していた。麦畑は水田に変わって空を映している。ちょうど作業中で周囲に苗の入ったトレイや
田植え機が並べられ、人も集まってて近寄ることができなかった鉄塔もあった。
稲刈りを待って改めて訪れてみれば、ああ、もう残り3本になってる!前回遠く眺めた鉄塔たちは跡形もなく消え失せていた。

      

2号と3号は残っていた。電線はなくなってるのに「電線注意」の文字が鮮やかだ。ヘリ番の位置には「危険」の表示札もある。
九電では分岐や交差に近い鉄塔には「注意」「危険」の札が付いている。頂部だけを赤や黄に塗装というのは見かけない。年月が
経つと鉄塔全体をベージュや薄緑に塗り替えるからなのか。濃い茶色の塗装なんてのもあったしな~。

   

4号はなかった。春にも見なかったと思う。5号は撤去作業の準備中。作業員さんがいらっしゃったので少しお話させていただいた。
1日に2基づつ解体しているのだそうだ。結構ハイペース!後の処理にもう数日かけるとのこと。周囲を含めて整地をしたり機材を
運び出したり、後片付けがいろいろあるんだろう。架線がいつまであったのかはご存じなかった。かなり前からなくなってたのか、
違うところが担当したのか・・・

      

6月には間違いなく存在していた6号もきれいさっぱり消えていた。湿気の多い結界だった場所は乾いた更地になっていた。
改めて画像を見ると番号札の下に古い札を外した形跡がある。そうだよな、最初から「宇土分岐線」だったわけじゃない。その横の
腹材は塗装されてないのであとから補強したものだと推測できる。いつ建てられたんだろう?大正の鉄塔とはたたずまいが違う。
でもかなり古そうだよね。ブライヒ結構じゃないっぽいし。なぜ年月表示を消してあるんだ~???llllll(-_-)llllll

    

7号は整地の真っ最中。重機が忙しく動き回っていて、この日の作業が終わる頃には残る工程はあらかたなくなったように見えた。
翌日には敷かれた鉄板も片付けられてしまったんかなぁ。続くはずの8号9号は6月の時点ですでに見あたらなかった(気がする)。

       

10号。もう鉄塔が建っていたことをうかがわせるものは何もない。じきに近所の人にだって「鉄塔?ここに?そうでしたっけ?」って
言われちゃったりするんだろうな・・・

     

13号の敷地跡もこんなんですもん。わりと高くて目立つ鉄塔だったんだけど。画像奥側の(たぶん)14号はどこにあったのかすら
はっきりしないorz この辺りは若番方面より早くから撤去が始まってたようだ。建ってた姿を見てない鉄塔は痕跡も捜せない・・・

           

宇土変電所に向かってさらに西へ進む。前回はこの先には行ってない。新幹線の高架の手前で真新しい異様な鉄塔に出会った。
これ、国道から見たことがある。携帯の中継塔でもないし何だろうと思ったんだった。ここまでは電線が来てる。つまりこの先はまだ
生きてるんだ。腕金のあたりがごちゃごちゃしてるのはブッシングが突き出しているから。ここでケーブルに変わって地下に入って
いく。ふーん、3相を撚り合わせてまとめちゃうんだ。架空線だとあんなに間隔が必要なのに。確かにものすごくコンパクトになる。
街中だと大きな鉄塔を建てて架線するよりケーブルを埋設する方がいろいろと簡単っていうのが納得できる。まず用地が要らない、
苦情が出にくい、補償金も要らない、送電線の経路がまるわかりってこともない。でも見る楽しみがないなーw

  

えらく長い路線名で読みにくい。どうやら「宇土JR九州熊本総合車両所線」と書いてあるようだ。えぇぇぇー!!そうなの!
熊本総合車両所といえば新幹線の車両基地ですよ。また意外なモノに行き当たったなー。
航空写真で確認すると元は宇土分岐線18号のあった位置。いや、ちょびっと移動してるかな。前のは隣の畑に建ってますね。
(2011年11月現在、goo地図の航空写真ではまだ全基が揃ってます。)


さて、ここまできたところで。一気に宇土変電所まで行っちゃう予定だったんですが・・・まだ先が長いんです・・・( ̄▽ ̄;)
なので2回に分けることにしました。次回は、いまだ現役の鉄塔たちの現在と過去、そして宇土分岐線の成り立ちについて。