送電鉄塔の見える場所

稜線の向こうに消えてゆく鉄塔の列はどこへ続いているんだろう

苓北火力線 209-206号

2010-08-16 18:50:20 | 苓北火力線
 
 山の上の4本は左端が209号、右の紅白が206号。下側を通っているのはおなじみの中九州南熊本線。左から13・14・15・16号。

209号へは国道のある平地からまた山へ上がらなきゃいけない。今度は眺望が良さそうなんで気合入れていくぞー(`・ω・´)
斜面に階段が続く。延々と続く。鉄塔巡りを始めてから足腰と心肺はずいぶん鍛えられた気がするなぁ。
5月上旬だったので暑くてたまらないということはなかったけど蚊がしつこいのには閉口した。だから谷筋はイヤなんだ(´・ω・`)

尾根にたどり着くと一気に楽になった。明るいし虫も減るし風が通って快適だ。足取りも軽くなる。
登りついたところに208号があったけど先に209号へ回るべきだろうね。

  

209号の敷地は草ぼうぼう。木々に囲まれて210号の敷地と似た雰囲気の場所だった。眺めはイマイチ。
でも送電線に角度を付けて次へ送る鉄塔がとてもきれいだから。内側でぐっと引き締めて外側へ大きく回す緊張感がたまらない♪
鉄塔はどの大きさのでもそれぞれ持ち味があって好きだけれど、500kV鉄塔の最大の魅力は架線を目で追う時の疾走感かな。
結界中心から見上げたときの「空につながる感じ」もハンパない。汗が引くまでじっくり眺めてから208号へ引き返す。

  

208号の敷地は東に向いて開けた草地で予想通りすばらしい眺めだった。やっと遠くが見渡せた。ああ~爽快だぁ~ヾ(⌒▽⌒ )ノ
ここでは送電線の角度はさっきより少し緩くて腕金の形がほぼ左右対称だ。ずらりと並んだ碍子を数えると31個だった。
10個目ごとに入れてある濃色のは光の加減によって紺色に見えたり黒に見えたりするんだけど実際のところは茶色い。
この長大な碍子連と、スペーサーや長幹碍子でがっちり固めたジャンパ線も大鉄塔の見どころだ。

207号は尾根の横に張り出した肩の上。さらなる絶景を期待して足を運ぶ。巡視路が少し荒れてるなぁ。
路肩が崩れてるのにはもう「またか」としか思わなくなったけど倒木を乗り越えたりくぐったりするのはどうも上手くならない。
しかも転がった木の上になんかのウンコが載ってるし。サイズからするとタヌキ?
がんばって敷地までたどりつくと、おお!なんという開放感!目の前には壮大な空間が広がっていて涼しい風が吹き抜けていく。

  
                       207号からの景色をどうぞ。これは北東方向を見たところ。
      画面左奥は阿蘇、右奥が九州山地。山の中では100年近い歴史を持つ水力発電所が今でもいくつも稼動している。

     
   南東方向。鉄塔の集まっている山の向こう側がスタート地点の中九州変電所だ。ここまで来たというかまだこれだけというか。
       (この記事を書いてる時点では旅はもうちょっとは進んでるんですけどね、記事が遅れててごめんなさい。)

  

207号では送電線は水平方向にも垂直方向にも角度がついていて再び左右の腕金の形が大きく違う設計だ。
次の206号は山の頂上。またも階段が続く。最初の画像でお分かりのように実はたいした距離じゃないんだけどキツいのなんの。
でも206号は節目の鉄塔なのでどうしてもそこまでは辿りついておかなくては。

ヨロヨロと階段を登り切りると今度は西日でいっぱいの空間に出た。海が見えるよ!あの90km彼方に苓北火力発電所がある・・・。
傾いた陽に206号の紅白塗装が鮮やかだ。陽の高いうちはせっかくの塗色も逆光で分かりにくいからなー。
ほれぼれと見上げると、あっ!ここから架空地線が3本になるんだ!ずっと先の191号あたりでそうなってるのは知っていた。
九州自動車道、国道3号線、鹿児島本線、九州新幹線と次々に越えていく間は3本だ。で最初と最後はどこだろうと気になってた。
斜面下の若番側へ回ってもう一度驚く。これ、航空障害灯用の電源に誘導電流を使うタイプ!確かに配電線が来ていない。

    

206号は苓北火力線の引込先が南熊本変電所から中九州変電所に変わった時に建てられた鉄塔の(位置的に)最初の1本だ。
205号から先の鉄塔たちは220kVの時代を知っている。対して206号から220号までは500kVしか運んだことのない鉄塔たち。

  

沈む夕日を浴びて感慨に耽っていたらうっかり長居をしてしまった。東斜面の階段を降りる頃には周囲が薄暗くなり始めていた。
頭上には木々が生い茂って光を遮っている。谷を下るにつれて足元が見づらくなっていく。やがて道の先が見えなくなった。
次の1段がどこだか判らないので足先で探りながら降りていく。数百m先には民家があるような場所なのに本気で怖い。
やがて少し木がまばらになって合間からほんのり明るい畑らしき場所がチラッと見えたときには走って降りて行きたくなった。
ようよう山道を抜けて平地に立ったら周りはまだ明るい。谷筋って木の下ってあんなに暗いのか。

教訓。山の中で日没を迎えてはいけない。日の射す側と日陰の側では昼と夜の違いがあると心すべし。