送電鉄塔の見える場所

稜線の向こうに消えてゆく鉄塔の列はどこへ続いているんだろう

苓北火力線 186-184号

2012-01-22 20:58:34 | 苓北火力線
明けましておめでとうございます。
ペースアップしたいと言いながら相変わらずスロー&成り行きまかせの当ブログを今年もよろしくお願いいたします。m(__)m

            

これが今回ご紹介する鉄塔たち。右端が186号。この記事は年が変わる前に書いておきたかった。理由は・・・この画像の撮影日。
2011年3月11日、例によって仕事帰りの午後6時過ぎ。その日起こっていた事柄についてはまだ何も知らないで鉄塔を見ていた。

186号と185号は国道3号線をはさむ位置取りでどちらも道からよく見える。熊本市周辺にお住まいの方であれば1度は目に入れて
いらっしゃる可能性が高い。ここと、鹿児島本線をはさむ182-181号間が苓北火力線全線中で一番人目の多い場所だろう。鉄塔は
視界に入っていても意識には上らないことが多いものだ。でも、これを読んでしまった人は次に通った時には気づいてあげてね。



186号の敷地はこざっぱりしていた。あたりが梅の香りに包まれていたこともあって小洒落た印象。鉄塔自体もきれい・・・いや、
キレイすぎ!なんか塗料の匂いもするし!てか、番号札もないのっぺらぼうー!188号どころじゃない思いっきし塗りたて!!
触ったら指紋が付くんじゃないかとすら思うほど。さすがにそこまでじゃなかった。触りまくったけど大丈夫でした~(= ̄▽ ̄=)



ミカンの花も終わる頃に再度行ってみた。番号札も回線表示札その他ももうちゃんと付いている。全部ぴかぴかのまっさらだった。

185号は中腹まで団地になってる小山の頂上。家々の間を登っていくと・・・あれ?1周回って元の場所。鉄塔に行く道はないの?
「近くに見えているのにそばに寄れない」という実に歯がゆいパターン。少しでも明るい間にたどり着きたいのにぃー ( ̄△ ̄;) 

           

念のためにもう1周。団地内だから人目も気になる。「さっきから変な人がウロウロしてる」とか思われてるかも。団地の南に広がる
ミカン畑に回ってみた。ああ、こっち側に巡視路があるみたいだ。

  

ようやく脚元まで来たのはいいが・・・また竹やぶ結界!内側はすでにかなり暗い。ここも外周は刈ってあるものの結界内は放置。
やっぱり上が見えません。なんだかな~(´д`) 塗りたて刈りたてのきれいな結界と竹ぼうぼうの不気味な結界。極端だよね。

老番側から見ると184号はゴミ処理場の煙突と並んで山の上に建っている。さすがにここへは処理場への道から行けると踏んだ。
若番側から上がれることを地図で確認。収集車が通るんだからそれなりの道路のはずなのに県道からの入り口がよく分からない。
どう考えても行き過ぎの地点まで来てUターン。「これかな?」と思った道も予定のルートとは違ってた。だけど裏道を走って走って
なんとか行きたかった道へ抜けられた。あぁ~ウロウロしてる間に陽が落ちちゃったよ。しょーがない。場所だけ確認して帰ろうか。

                 

カーブの多い登り坂の脇に携帯の中継塔があった。通り過ぎた先に184号。処理場の門の手前だ。鉄塔への入口もすぐに判った。
でも金網がある。「鉄塔の柵」じゃない。ゴミ処理場の囲いらしいが小道に入る扉が閉まっている。なんてこったーllllll(-_-;)
どっちみち暗くっちゃ何もできない。明るい時に改めて来て周囲をもっとよく調べてみよう。

     

そんなわけで2度目はいろいろ覚悟も決めてやってきた。そしたら。今度は扉が開いてた!案ずるより産むが易し。(←違うだろw)
紅白の184号は夕陽に染まって鮮やかだった。うん、やっぱり間近で見たいよね♪ 結界から見る電線は格別だしね。満ち足りて
185号方向を振り返ると、ここまでたどってきた鉄塔たちの列が重なり合う丘の上にずうっと延びていた。

  

「なんで毎回暗くなりかけてから行くんだ?」って思いますよね。苓北火力線のこのあたりは職場に近くて、帰りがけのちょっとした
寄り道に丁度よかったんです。まとまった時間の取れる休日には大淀幹線がらみの鉄塔を尋ねて回ってました。
最近ツイッターでもちょこちょこ呟いてるように、2012年1月現在、元の大淀幹線の一部で建て替え工事が行われています。次回は
その中間報告です。

苓北火力線 189-187号

2011-10-20 00:19:18 | 苓北火力線
前回の続きです。

190号から189号へは雑木林の間に巡視路が続いている。はっきりした小道だし傾斜も緩いし楽に行けそうだ。
あっさりミカン畑に抜けられた。冬の朝の陽射しを浴びて正面に189号と188号、向こうの山の上には紅白の187号も見える。

            

189号は若番方向からこちらへ登ってくる道の脇にあるようだ。楽勝~♪と思ったんだけど・・・なんだ、ここ。( ̄□ ̄;)

        

竹やぶだぁぁ。脚の外側だけは歩いて回れるように刈ってあるけど結界が塞がってる。500kV幹線の現役鉄塔でこの有様?
いままでにも怪しいのは何ヶ所かあった。205号や194号は丈の高い草や葛が茂っていた。木と違って草は伸びるの早いから・・・
ああ、竹も草だったか。ここって筍予防巡視の対象にはなってないのかな?

                         
                           南熊本宇土線18号にあった標識

竹林に隣接する鉄塔の敷地や送電線の下では「筍予防巡視」の標識を見ることがある。初めて出会ったときには笑ってしまったが
冗談ごとではない。春には筍ががんがん出る。1ヶ月もあれば20m近くを伸び切ってしまう。すぐにここみたいに薮になる。
だけど500kV鉄塔の周りでこの標識を見掛けたことはないな。電線の位置が高いから?問題ナシって訳でもなさそうなのに。

外側を3周くらい回って結界中心へ入れそうな隙間を捜した。見つからない。しょうがないので無理やり潜り込んで上を撮ってみた。
背中側の竹に体重かけて、目の前の竹を足で押して、やっとこれだけ開けられましたw

 

画像編集してて思い出した。これにもソーラーパネルが付いてたんだった。何の電源だろう?

巡視路はそのまま188号まで続いてるようだ。しかしそれを行くと車を置いてきた場所からどんどん遠くなるのでいったん引き返す。
188号へは反対側から車で行けるのが判っている。判ってるんだけどー、少々問題があるかも。さて、どうだろう。(´д`)

     

県道脇のこの鉄塔の存在は前から知っていた。でもねー、とある企業を囲む生垣の中にあるんです。入らせてもらえるのかなぁ。
どっちみち交通量の多い県道に路上駐車はできないので裏の農道に回って車を置く。畦道から県道に出られるかな、っと。あれ?
畦道が鉄塔の横を通ってる!裏側には九電の柵しかない。やった!!
文句も言われず鉄塔の下へたどり着くことに成功。うーむ、またも変な結界。真ん中に水路がある~( ̄▽ ̄;)



どうやら生垣のある会社の構内ではないらしい。柵があるにもかかわらず結界中心に立てるのは水路のおかげだ。ありがたい♪
それにしても、なんで水路を避けて竹林になってる斜面の上に建てなかったんだろう。前も後もここより高い位置にある。標高差は
少ない方がいいんじゃないの?きっと何か事情があったんだろうなぁーと、いつもの如く妄想を巡らせてしまうのでありました。



公園みたいなきれいな結界にピカピカつやつやの鉄塔。塗装したてだった。作業してるところが見たかったなー。

187号へ行ったのは1ヵ月ほど間が開いた2月の終わり。九州新幹線全線開通が目前で県内に浮かれた気分が漂っていた頃だ。

     

山の上は公園として整備されていて眺望が効く。ここまで来ると海岸線もはっきり見える。その手前に新幹線の高架が白い。
あの高架を越えると宇土半島に差し掛かる。八代海を眺めながら進むことになるだろう。楽しみだ(*⌒▽⌒*)

        

敷地の隅に立て札があった。テントを撤去した?鉄塔の中に住んでた人でもいたんだろうか。・・・ちょっぴり羨ましいかもw

     

ふと気になった。海の近いこのあたりで碍子の数っていくつだろう。数えてみたら39個。前に数えた時は30個前後だった記憶が。
どこから変わったのか確認してない・・・今更ながら調べたら220-206号が31個、205号が33個、204号からは39個になっていた。
碍子の数は基本的には海岸からの距離や大気汚染の度合いなどで決めるという。205号あたりって海岸線から20kmくらい?
それが境目だろうか。苓北火力線のルート上で初めて海が見えたのが206号だったから206号から増えててもいいようにも思う。
まてよ、206号から向こうの鉄塔はこちら側より後から建てられている。碍子数の違いは建設時期によるものって可能性もあるか。
何にせよこれから行く先は思いっきり海岸べりだったりする。もっと増えるかもしれない。気をつけて見ておかないと、いつの間にか
めちゃくちゃ増えてたりしてー (||| ̄▽ ̄;)

苓北火力線 192-190号

2011-09-19 14:04:25 | 苓北火力線
これまでは村はずれの里山をたどってきた苓北火力線。ここからしばらくは人里を通る。里とはいっても田舎だから、風景が
劇的に変わるわけじゃない。でも尋ねていく時の気持ちはかなり違う。前にも言ったけど、道路があるって素晴らしい!

  
      宇城クリーンセンターと並び立つ192号。右端は193号。手前に電線だけ写ってるのは南熊本宇土線。

苓北火力線192号はなにやらカラフルな建物に隣接して建っている。「構内になるのかな、下まで行けるかな?」と気になった。
行ってみると門の外側だし柵もないし、なんてことなし。この建物は公営のゴミ処理施設なので9時~5時は中に入ることも可能。
なかなか良い角度で192号を見上げることができる。だからといって、みだりに入り込んで作業の邪魔をしちゃいけません。



すぐそばに焼却場の煙突があるせいか高速道路の脇だからか、ここは紅白。配電線が接続されている。11月に見た時にはその
電柱が蔓草に覆いつくされてた。鉄塔周りの草刈りってどのくらいの頻度で行われるんだろう。季節とは関係ないんだろうか。
もう2~3年刈ってないんじゃないの?という敷地もあれば、いつ見てもきれいな場所もある。ここの場合は今年は春の終わり頃に
刈られてたような・・・あまりはっきり覚えてないな(||| ̄▽ ̄;)
ここには「準拠点」があった。初めて見た。基準点なら結界の中心にあるけど、これは足の部分のコンクリートに埋められている。
どの足だったか・・・忘れました・・・○| ̄|_
で「準拠点」て何よ?検索してみて土地の境界を確定させるための測量の基準にするものだということまではどうにか理解。
それ以上はなんのことやらサッパリ・・・自分は測量士にも土地家屋調査士にもなれそうにないことだけはよく解ったw

 

さて、このブログでは2度目のご紹介の191号。以前の記事は鉄塔を見て回り始めたごく初期のもので、たいした内容でもないので
敢えてリンクは貼りませんw 自分にとって非常に訪問しやすい場所だということもあってもう何度も何度も見に行った鉄塔。
実のところほぼ毎日眺めてるけど、いつ見ても美しくて圧倒的で見飽きることがない。このムダのないシンプルなフォルム!

 

配電線を引いてくる電柱が小さ~い。確かにNTTの電柱に使われてるような小ぶりの電柱ではある。でもそれにしてもこの違い。
こんな真ん中に溝のある結界もまだ他では見たことがない。あー、もっと本格的な水路のあるのなら見たか。結界もいろいろだ。

                      
                                左が191号。右は192号。

昼間だけじゃなく夜にも何度か見に行った。中光度赤色航空障害灯。肉眼で見るとあれだけきらびやかに輝いてるのに、それを
見たままには撮れないんだよねぇ。ケータイだしなぁ。実は結界にも入ってみた。航空障害灯は目的からして外側上方に向いた
ものなので内側の地上に光はほとんど届かない。周りの部材が赤く照らされているのが見えるだけ。真っ赤な薄明かりに満ちた
井戸の底を覗いているような妖しい光景だった。だけど夜の結界はいろいろと危険だから良識あるみなさんはやっちゃダメです。
溝に落ちたりヘビに遭遇したりする可能性大。 変質者だとか畑荒らしだとか思われるともっと面倒だし(||| ̄△ ̄;)
「それでも行ってみたい!」と思われるなら、虫やヘビのいない冬場のほうが無難。昼間のうちに周りをしっかり確認して斜面や
段差には近づかないことです。作物の植えてある所に踏み込むことは絶対に不可。

   

190号もまた自分にとってはとても馴染み深い鉄塔だ。でも行ったのはこの取材の時が初めて。霜で真っ白な1月の朝だったなぁ。
落葉を踏みしめて丘を登っていくと並んだ碍子が思いのほか近くに見えた。500kVにしては背の低いほうだ。いつもは丘の下から
眺める姿を「そうかー、あんたはこんなだったんかー。」と改めてしみじみ間近に見上げた。
遠くから見るだけの時と真下まで行った後とでは心理的な距離が全然違う。不思議なもので一度でも行った鉄塔はどこから見ても
「あ、○○線の××号だ!」と判る。なので知ってる鉄塔の見える範囲にいれば道に迷うことがなくなった。
敷地の隅には小さなお堂があった。塔が建った時に仏様たちをお遷ししたのかな。定期的にお参りされる方がいらっしゃるようだ。

 

以前から見かけるたびに気になってたものがここにもあった。足に打たれた数字、ここでは「1.0」。何だろう。基礎についての表示
なのかなぁ?これについてご存知の方がおられましたら教えていただけませんでしょうか。お願いします。m(__)m

190号を訪れた日は189号・188号にも行った。でも今回はここまで。続く鉄塔たちのことは次の記事でじっくりご紹介します。
どちらもなかなか曲者でした~ ( ̄ー ̄)ニヤリ

苓北火力線 195-193号

2011-06-13 00:16:54 | 苓北火力線
195号へは萩尾大溜池の堰堤北端に上がる農道から右折して入る。でもこの道、入口付近は轍が完全にえぐれてしまっていて
4WDでないとちょっと無理。徒歩で行くことにした。上のほうはいい道なのに (´д`)



登りきると視界が開ける。海の見える敷地はこれでいくつ目だっけ、だんだん海岸線が近づいてきた。ここへ行ったのは11月初旬
だったから湿度があまり高くなくて天草まで見渡せた。熊本の沿岸部では春は黄砂、夏場はモヤが多くて、景色なんて全然期待
できないのですよ。まあ、季節感がズレているのは勘弁してくださいませ。

 

前回書いたように195号の航空障害灯は静電誘導方式なので鉄塔には機材の類は載ってない。上部には何かあるんだろうけど
下からじゃ分からない。鉄塔の上を見てみたいなぁ。登らなくても見えるような低い鉄塔ってないだろうかw
しかし午前の光で見る結界は明るい。夕陽を浴びている時のような艶っぽさはないけれどすっきり爽やかでこれも良いですね♪

次の194号へは細い山道を行く。傾斜の緩い下りだから楽勝~。小山を半分降りたあたりにぼうぼう茂った結界があった。



中に入れないというほどじゃない。でもクモの巣だらけだ。秋の大きなコガネグモの巣は意外に丈夫で簡単には振り払えない。
結界の外側はもう完全に藪。枝が伸びてきているから上部を撮ろうとすると写り込んでしまう。真っ赤に色づいたハゼの葉と鉄塔の
組み合わせは秋らしいからいいかー。青空とのコントラストは悪くない。涼しくて気持ちがいいのでなんでも許せてしまう気分。

 

ここで持ってきたお弁当を食べることにする。この日は代休だったんだけど姑には仕事のフリして家を出てきたんだよねw でないと
一日中鉄塔巡りなんてできないからさぁ・・・なんという不良ヨメw でもこれから行き先がもっと遠くなってきたらどうしようかな。
そろそろ送電線趣味を白状するべきかなぁ。
座り込んであれこれ考えていたら眠くなってきた。いいかげんで次へ行かないと。立ち上がってまた坂を下って行く。

          

193号はもうほとんど平地と言っていい。どんどん降りてゆくとミカン畑の向こうに姿が現れた。続きの鉄塔もほぼ同じ平面上に
並んでいるのが見える。先の方に頭だけ見えてるのは191号だ。191号については過去にレポートしてるけど古いケータイで撮った
画像はボロボロだしその後何度も再訪してるし、このシリーズ次の回で改めてレポートしますね^^;

 
        11月5日 老番側から結界を見る                   1月7日 同じ場所を若番側から

さて敷地にたどり着くと…なんだこれー!背丈より高く葛がもくもく絡まりあってて結界に突入するのは無理っぽい。チャレンジは
したんですよー。でもダメでした。かずらは潅木よりもタチが悪い。なので葛がすっかり枯れてしまった年明けにリベンジを敢行。
霜柱をざくざく踏んでついに結界中心に到達!\(^-^)/バンザーイ
枯れ草の塊に突っ込んでゆく自分を近所の方が訝しげに見ておられたようだったが知るものかw 通報されなくてよかったww

 

それでもやっぱり視界クリアな結界画像とはいかなかった。でもこれはこれで冬の味わいが出ているということにしといて下さい。


次回はどうしよう。去年見つけた廃線のことを書こうか、戦前の資料集的なものを入れるか。資料集だと写真もなんもない堅苦しい
回になっちゃうかなぁ。悩む。

苓北火力線 198-196号

2011-05-25 23:32:12 | 苓北火力線
 
                       桜の季節に。左から197号・198号・199号。

3月に自分専用のPCを手に入れて、更新頻度を上げるつもりがますます遅くなってます・・・スミマセンm(_ _;;m
去年失敗したので今年は田植えが始まる前に写真だけでも撮っとこうと走り回ってたら、画像ファイルがどえらいことに。_| ̄|○ 
そんなこんなでちょっと疲れ気味なので今回は癒しの苓北火力線です。 (* ̄ー ̄)~♪ ゆったり眺めてくださいね。

          
    
198号は200号の向こうから尾根を続いてきた道の突き当たり。車でそばまで入れるので例のごとく仕事の帰りに立ち寄ってみた。
北向きの急斜面に夕陽が差し込んでいる。入口の正面に航空障害灯用の電柱が立っていた。番号札のあるB脚は一番下かw

  

これは職場から見える5本の紅白鉄塔の右端にあたる。午後ずっと「早く終えたい~、あそこに行きたい~」とちらちら眺めていた
場所に来てるんだ・・・ 工場の方向に目を向けても木々に遮られて見通しが利かない。航空障害灯の高さからなら見えるかな。
草の伸びた結界に入り込んで頭上を仰ぐと電線が端正な「>」を描いている。空の色に紅白が映える。紅白塗装は晴れた夕暮れが
いちばん鮮やかだ。九州電力の赤は橙色に近い。広島で見たのはもっと真っ赤だったような気がする。塗色の規定では「赤及び白
又は黄赤及び白」となってるから九電では「黄赤」を使っているんだろう。
立ち去り際にもう一度見上げると、まだ明るい空を背景にぽぉっと航空障害灯が点っていた。ああ、和むなぁ(^-^)

「←197号」の標識は198号近くの道端で見つけていた。細いけど歩きやすい山道・・・だったのは最初だけで、進むにつれて土が
えぐれて階段が浮き上がっていたりなくなっていたり。この道、もう使われていないっぽい。しかも急傾斜で下っていく。そのうちに
せせらぎの音が聞こえ始めた。198号からはほぼ同じ高さに197号が見えていた。だから尾根伝いにすぐ行けると思ったんだけど、
いったん谷底まで降りてから登り返さなくちゃいけないのなら日暮れ時に行くのは無謀すぎるな。

  

というわけで別のルートを捜して出直しするはずが、そのまま梅雨に突入し猛暑にへたばり、ようやっと197号にたどり着いたのは
もう野菊の咲く頃だった。なので鉄塔の周りにはムカゴだのアケビだの秋の恵みがたっぷりと。いや~美味でした ( ̄▽ ̄)V
(ホントは山のものは勝手に採っちゃだめです。地主さんの所有物ですから。この場合の地主さんは九電ですね。ゴメンナサイ。)

 

これにも航空障害灯用の配電線が繋いである。同時に絶縁架空地線(IGW)にもなっている。IGWは195号の航空障害灯用か。
198号・197号は配電線に繋がってるのになぜ195号だけ静電誘導方式?1本だけ低光度だから?これまでに見つけた静電誘導
方式採用の206号と204号も低光度だった。メーカーの製品情報を見ると静電誘導方式の航空障害灯を作っているのは1社だけ。
しかも低光度の1種類だけ。そうなんだー。中光度以上だと必要な電力を取り出すための仕組みが大掛かりになってしまうらしい。
研究はしたけど製品化には至ってないというところだ。技術的に可能だということとビジネスとして引き合うかどうかということは
まるっきり別の話だもんなぁ。

参考までに。
 低光度航空障害灯
  点滅しない赤色灯。60m以上90m未満の鉄塔の場合、頂上と中央あたりに取り付ける。
 中光度赤色航空障害灯
  点滅する赤色灯。90m以上150m未満の鉄塔の頂部に取り付ける。
  (あわせて塔高が105m未満なら2等分、105m以上なら3等分する位置に低光度航空障害灯を設置。)
 中光度白色航空障害灯
  白色の閃光。低光度や中光度赤色に代えて設置することがある。塔高105m未満なら頂部だけ、105m以上なら頂部と中央。
 高光度航空障害灯
  白色の閃光。塔高が150m以上になると頂部にこれ、途中に中光度白色(間隔は塔の高さによる)。

しかし自分、よっぽど航空障害灯が好きらしい・・・ スペーサーも萌えポイントだったり。     

 

次の196号はブラックバスで有名な萩尾大溜池の堰堤の脇。広めの敷地に鉄塔が2本並んで建っている。もう1本は上下ともに
110kV仕様、南熊本松橋線/南熊本宇土線の4回線。紅白ですらないのに下相の線が4回線鉄塔を軽く越えていくんですよ!
真ん中の架空地線に白い碍子が入っているのが見える。IGWがどういうものなのか実はよく理解できてないんだけど、充分な
電力を得るためには相応の長さの閉じた回路が必要らしいので、197号から195号までの間は鉄塔を伝って電気が流れていって
しまわないように碍子を入れてるってことで合ってるのかな?

  

この辺は南側はいくつも並んだ溜池、北側はゴルフ場というロケーションで、小山の頂上から頂上へと電線路が飛んで行く。
角度鉄塔の連続だ。こういうのっていいなぁ (〃▽〃)


予告。次回も苓北火力線の続きです。旅の方はこれを書いてる時点では180号まで到達してます。忘れないうちに書かないと!
ただし今後しばらくは大正鉄塔の取材を優先するつもりでいます。何本かは今年中に建て替えられるとか弓削分岐線の改編とか
古鉄塔解体につながるような情報がいくつか出てきたのです。なくなってしまう前にひとつでも多く見ておきたい。
苓北火力線も大正鉄塔も行こうとする先が自宅から遠くなってきました。ガソリン価格が高騰しないことを祈るばかりです・・・