ギリギリ探偵白書・271

 ギリギリ探偵白書
 「声のする方へ・第4話」



 取引が失敗に終わり顔面蒼白のダメ課長と女性社員。
 2人はそれぞれ社内から出て行った。
 元々の調査対象者だったダメ課長を社長室まで連れて行ったところで
 田中から女性社員を見失ったと言う情報が入った。 



そして、B班班長から連絡が続けて入った。


B班班長 「代表、全容がわかりました。今から帰ります」

阿部   「ああ、わかった」

B班班長 「あれ?声が沈んでいますよ」

阿部   「田中が撒かれたんだよ。困った事に・・・。でも、金は押さえて・・・、ん?」

ダメ課長 「お金は僕のデスクに・・・」

(ない、ないぞ・・・)


私はすぐにB班班長に事務所で待機するように指示した。

そして、調査主任の田中に連絡を取って、茶色のブリーフケースを派遣社員の
佐藤氏が持っていたかどうか確認した。

田中   「ええ!!持ってましたよ。何だか重たそう・・・
      あっ、あれってダメ課長が持って帰ってきたお金だ!!」

阿部   「ピッチを上げて探せ、こっちは履歴書とかデータを集めるから!
      応援を出すから、事務所と連絡を取り合え」

田中   「・・・了解です・・・すみません」

阿部   「すみませんは食えねぇーよ。結果を出せ。必ず見つけ出せ」


私は調査対象者のダメ課長の聞き取りを兼ね、お金を持って行方不明となった
派遣社員の佐藤氏のデータを収集した。
そして、事務所から関係先への聞き込みを行うように指示した。

(・・・なるほど、○○出身かぁ・・・。田中が見失った方向で行くと・・・)

大体の全容がわかった。

調査対象者のダメ課長は、出世の道はないと思うようになり、開発データを手土産に
ライバル社での地位を約束してもらおうと取引先へ話を持ちかけた。
そして、パソコンが得意で、お金に困っているという派遣社員の佐藤氏を仲間に引き入れた。

しかし、不穏な動きに気が付いた社長が私に依頼をした。
そこで、社内サーバーへのアクセス状況やピックアップした危険人物を
調査する事によって、ダメ課長は調査対象者となり、今回の騒動にいたった。


阿部   「なるほど、大体はわかったよ」

ダメ課長 「あのぅ、僕はどうすれば・・・」

阿部   「社長にそれは預けるしかないな」

ダメ課長 「・・・クビですか・・・」

阿部   「・・・自分のしたことがわかってんの?」

ダメ課長 「・・・すみません・・・。申し訳ないです・・・」

(だから、すみませんは食えねぇーんだよ)


こうした会話をしていると、事務所から電話がかかってきた。
電話元は代表代理のサザビーである。


サザビー 「撒かれたの?ブー」

※ブー・・・調査主任である田中の愛称

阿部   「ああ、何かわかった?」

サザビー 「ああ、今、新幹線だな。京都方面に向かってる。」

阿部   「了解した。B班を率いて、サザビー・・・」

サザビー 「よしっ!!そうだ、京都に行こう!!大作戦だな」

阿部   「・・・大丈夫か?」

サザビー 「京都と言えば二条城か・・・」

阿部   「観光じゃないんだぞ!!」


ちなみにサザビーの趣味はお城巡りである。


サザビー 「わかってますがな。すぐにみつけますよってに・・・」

阿部   「頼むぜ。俺もあとで向かうから」


そして、それから5時間後、私は京都にたどり着いた。
サザビーが指定したホテルに到着し、調査スタッフと合流した。




        続く



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