ギリギリ探偵白書・272

 ギリギリ探偵白書
 「声のする方へ・第5話」


 
 事の全容が判明した。
 しかし、ダメ課長が持っていたはずの金がなくなっていた。
 金は女性社員が持っていったのだった。 
 我々は女性を追い京都に向かった。



サザビー 「おう、車は遅いな」

阿部   「・・・で?捕捉はできたのか?」

サザビー 「ああ、できたよ」

阿部   「んじゃ、すぐに向かうぞ」

サザビー 「いや、ここだけど」

阿部   「早く言えよ!!で?どの部屋だ」

サザビー 「それが、いないのよ。今、合流した田中に聞き込みさせてるけど・・・」

阿部   「レンタカーはどうだ?」

サザビー 「ん?まだ聞いてないよ。調べるか?」

阿部   「ああ、残りのスタッフは部屋を監視してくれ。
      俺らは聞き込みに向かうから。」

スタッフ 「オイーッス!!」

(・・・・はいっ!!だろ!!)


私の勘はドンピシャで当たった。
派遣社員の佐藤氏は、すぐに会社から出て京都に向かった。
京都は彼女が学生時代を過ごした場所である。
土地勘がある。
そして、およそ佐藤氏は情緒不安定な状態に一時的に陥っている。

部屋についてみたものの、会社の様子が気になるだろうし
自分は追われているかもしれないと、思うだろう。

こうした人の多くはレンタカーで比較的人気のない場所に向かう傾向にある。

ホテルのロビーで確認すると、ホテルと提携しているレンタカー屋は2軒あり
電話で聞き込みしたところ、1件目のレンタカー屋で車を借りている事がわかった。

私はサザビーを連れて、日本海方面へ向かった。
そして、田中も同時に日本海方面へ向かった。

二手に分かれて巡回調査を開始したのだ。

(ホテルの部屋に帰るかもしれないが、場合によっては戻らない事も過去にはあった。
ホテルの部屋が判明したからといって安心はできない)

探すこと3時間、すでに時刻は深夜になり、日も変わっている。


サザビー 「・・・無理だな・・・。スタンドもコンビニも全滅・・・」

阿部   「ちっ、オレの勘が外れたか・・・」

サザビー 「勘だったの!!おいおい、振り回されちゃったよ・・・」

阿部   「・・・すまん」


そろそろホテルに帰ろうかと話していると、二手に分かれた田中から連絡が入った。


田中   「おおおおおお!!!あった!!あった!!」

阿部   「見つけたか!!」

田中   「ええ、ナンバーは・・・・でしたよね」

阿部   「ああ、それだ。どこだ?」

田中   「・・・・海公園の駐車場で・・場所は・・・」

阿部   「よしっ、ナビに入れた。お前は辺りを探ってくれ」

田中   「了解です!!」


私は急いで、その駐車場に向かった。
走る事約30分、私はその駐車場に到着した。

まるで乗り捨てられた車のように乱雑に2台の車が停まっている。


サザビー 「アレだな。」

阿部   「ああ、田中はどこ行ったのかな?」

サザビー 「・・・探しにいくか」

阿部   「ああ、行ってみるか。しかし、真っ暗だな・・・」


あとでわかった事だが、この辺りは自殺者が多く、近所の人は夜は寄り付かない
場所であったそうだ。


サザビー 「何だよ」

阿部   「は?何?」

サザビー 「今、俺の肩をトントンってしたろ?」

阿部   「してねぇーよ」

サザビー 「えっ?したよ」

阿部   「バカヤロウ、これ見てみろ、俺の両手は塞がってるだろ。」

サザビー 「・・・・じゃあ、今の何?」

阿部   「・・・・もしかして・・・」

サザビー 「皆まで言うな!!・・・はぁ~、帰りてぇ・・・」

阿部   「おっ、アレはブーじゃないか?」

サザビー 「おっ、ブーちゃん発見!!お~い、ブー!!!」

田中   「ブーじゃないでしょ!!」


田中は無事に佐藤氏を確保して戻ってきていた。
もちろん、ブリーフケースも無事に回収した。

そして、帰り道。


阿部   「そういえば、田中、お前、あの状況でどうやって見つけたの?」

田中   「根性です!!」

サザビー 「いや、もう暗くて、5メートル先は見えなったぜ」

田中   「根性があれば見えます!!」

サザビー 「どんな目じゃいっ!!お前はデビルマンか!!」

田中   「実は声がしたんですよ。こっち、こっちって」

阿部   「ああ、呼んでたんだな」

田中   「いや、別の人・・・男の声だったような・・」

阿部   「あそこには、俺らしかいなかったぜ」

田中   「え?・・・またまた、冗談ばっかり!!ってマジですか」

サザビー 「大マジです」

阿部   「・・・そういや、あそこは自殺の名所らしいぜ」

田中   「・・・・この辺って神社とかありましたっけ」

サザビー 「よく聞いた!!ついでに二条城とちょっと足伸ばして彦根城と・・・」


二人は仲良くお参りに行ってから帰ることになった。





        完



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