ギリギリ探偵白書・161

 ギリギリ探偵白書
 「失踪癖の男・第2話」



 依頼は行方調査だった。
 対象者である男性を無事家に送り届けた。
 しかし、1ヶ月後、その男性は再び姿を消した。 





阿部   「今度は?」

依頼者さん「ええ、今度は孫の誕生日プレゼントを買いに行くと言って、それっきり・・・」

阿部   「・・・いつからですか?」

依頼者さん「一昨日です。」

阿部   「プレゼント買いに行くのに、そんなに時間はかかりませんね」

依頼者さん「そうですよね。もう、あの人、ボケてるんじゃないかしら
      全くもう!!ブツブツブツブツ・・・・・」


男性はコートを羽織って荷物も持たず、買い物姿で行方不明になった。
しかも、GPS付きの携帯電話は、最寄の駅に置いていっている。

私は情報網に連絡を取ると同時に、独自に聞き込み調査を進め
彼の行動を追跡した。
聞き込み調査は分散し、調査チームとして、情報が全て私のところに
集まるようにしていた。

3日間の調査の末、男性がまた雪国で見かけらている事がわかった。
そして、ある山荘のオーナーを聞き込んだところ、5日前から
自分の山荘を借りていると言う。

宿帳のようなノートを見せてもらうと、そこには男性の名前が
しっかりと書いてあった。

その日の内に車両で聞き込み調査を行っていた調査スタッフの田中に
連絡を取り、先行して現地へ向かうように指示を出した。

※調査スタッフ田中・・・T.I.U.総合探偵社の主任調査員。体脂肪率30%越え。

私は新幹線のチケットを取り、遅れて現地にタクシーに乗って到着した。


運転手  「ここらじゃ、携帯が繋がらないからね。
      何かあったら5キロ離れたところに公衆電話があるから
      そこから連絡してちょうだいね」

阿部   「え?マジで?」

運転手  「田舎だからね」

(これまた大変なところに来てしまったなぁ・・・)


私は雪で転ばないように慎重に足を進めて、山荘の敷地内に入った。

すると、田中の声が聞こえてくる。


田中   「お父さん、もういいじゃないですか!!」


私は声のする方向を見た。
木々の間に人が二人立っているのが見えた。


阿部   「(大声で)お~い!!どうしたんだ!!」

田中   「(大声で)あっ、代表!!今回は帰らないってゴネるんですよ」

阿部   「(大声で)ちょっと、待ってろ!!」


男性は逃げようとはしない。
しかし、頑固に帰宅を拒否している。


阿部   「○○さん、お孫さんの誕生日プレゼントは用意できたんですか?」

男性   「できとらん!!だから帰れん!!」

田中   「こんな所に、何があるんですか!!
      さっ、駅前におもちゃ屋さんありましたから
      そこで買いましょう」

男性   「・・・・・ダメだ」

田中   「この調査って連れ戻すまでが、契約なんですか?代表」

阿部   「一緒に来てくれないと、奥さん来ますよ」

男性   「うっ・・・・呼べばいいじゃないか!!」

阿部   「お孫さんの誕生日って明日でしょ。いいんですか?」

男性   「それは・・・、急がないと」

(何かを作っているのか?)

その場で膠着状態が続いたが、男性は頑として帰らないと言い張っている。
そして、その理由も話そうとはしなかった。


阿部   「とにかく、寒いから中に入りませんか?」

男性   「確かに寒いな。じゃあ、中に入ろうか」


山荘は丸太で組み立てられているような外装だが、中にはエアコン
大型の石油ファンヒーターがあり、今風のマンションの作りに似ていた。


阿部   「じゃあ、奥さんに連絡しますが、いいですね」

男性   「・・・すればいいじゃないか」


私は携帯を取り出し、連絡をしようとしたが・・・。


        続く



 メールマガジン「ギリギリ探偵白書」の復刻版です。

 ギリギリ探偵白書は、過去に行った調査を本人了承のもと掲載しています。
 尚、調査時期や調査対象者・ご依頼者様の個人情報は本人様の請求以外は開示いたしません。
 また、同作品に登場する人物名は全て仮名です。


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