ギリギリ探偵白書・269

 ギリギリ探偵白書
 「声のする方へ・第2話」


 
 企業からの依頼だった。
 社内で不正を働いている人物を調査していた。
 持ち出された社内データをすり替え、不正取引を防ぎつつ
 他の協力者を割り出す作戦だった。 




B班班長 「代表、例のディスクは転売するようです」

阿部   「ふ~ん、ずいぶん高いディスクだね」

B班班長 「応援、いいですか?場所は・・・・・・」

阿部   「了解、A班を向かわせる」

B班班長 「至急でお願いします!!」


私はすでに合流していたA班を向かわせた。


田中   「あのぅ・・・、僕は・・・」


会社に入るところから、田中と女性スタッフが私の付き人のようについてきていた。


阿部   「そうだな、お前は、マルタイをここから見ておけ」

※マルタイ・・・調査対象者のこと。

田中   「ラジャー!!」


すると、早速、動きがあった。

調査対象者のダメ課長の携帯電話が鳴ったのだ。
同時に私の携帯電話も鳴った。


阿部   「どうした?」

B班班長 「代表!!大変です。今、ノートパソコンで確認しています!」

阿部   「・・・中身まで見てるの?」


ファイルのフロントページは、ちゃんとした開発ファイル名が入っている。
しかし・・・そこから先は・・・


B班班長 「ええ、今、大音量であえぎ声が聞こえました!!」

阿部   「で?」

B班班長 「殺してやるぞ!!って怒鳴り散らして、一人店を出て行きました」

阿部   「う~ん、アメリカンジョークが通じない人だね」

B班班長 「・・・・アメリカンジョークじゃないと思いますけど・・・
      そっちは、どうです?動きがありますか?」


調査対象者のダメ課長は、青ざめた顔で事務所から出て行った。


阿部   「う~ん、あるみたいだよ」

B班班長 「・・・それじゃ・・・どうします?」

阿部   「一応、相手の身元を全部押さえてくれ」

B班班長 「了解しました」


私は田中にトイレに行くフリをして、調査対象者のダメ課長の様子を見てくるように指示した。

すると、調査対象者のダメ課長がある女性にメモを渡した。
双方、青ざめた顔をしている。


阿部   「社長、あれは誰ですか?」

依頼者  「ん?ああ、あの子は、派遣スタッフの佐藤(仮名)さんだよ」

阿部   「あの子は何をやっていますか?」

依頼者  「え~と、ファイルの整理とか受付とか・・・」

阿部   「何か資格とか持っているんですか?」


すると、依頼者である社長は机の中をゴソゴソとあさりはじめた。


依頼者  「え~と・・、老眼だから・・・ほいっ」

(ん?履歴書か)

阿部   「・・・パソコン検定・・・ワード、マイクロソフト・・・
      前職、PCトレーナー・・・・」

依頼者  「今どきの子は、みんなパソコンだからね。私は・・・」

阿部   「こいつだな。あのダメ課長が開発ファイルを見分けられるわけが
      ないんだ。田中!!張りつけ!!」

田中   「えっ?いいんですか!!」

阿部   「いいんだよっ(志村ケン風)」

田中   「グリーンだよ!!」

(・・・・つい、ノッテしまった・・・)

という事で、調査は新たな展開になった。



        続く



 メールマガジン「ギリギリ探偵白書」の復刻版です。

 ギリギリ探偵白書は、過去に行った調査を本人了承のもと掲載しています。
 尚、調査時期や調査対象者・ご依頼者様の個人情報は本人様の請求以外は開示いたしません。
 また、同作品に登場する人物名は全て仮名です。


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