ギリギリ探偵白書・83


 ギリギリ探偵白書
 「ラジカセ・第4話」



ラジカセを元の持ち主が判明した。
それは、依頼者もよく知る人物である。
調査を続けるかどうかは依頼者に委ねられた。 




私は、依頼者である女性に調査結果を報告した。


女性   「えっ、○×君が・・・。
      そういえば、近々、遊びにくるって・・・」

阿部   「それは、いつですか?」

女性   「予定が決まったら、メールするって・・・」

田中   「もしかして、あの頻繁に鳴っていたメールって?」

女性   「ええ、○×君からで・・・」

田中   「間違いないですよ。どうします?」

阿部   「ああ、どうするかね・・・」

女性   「何かムカつきます」

田中   「仕掛けますか?」

阿部   「それも彼女が決めることだ。一応、相手はわかったんだ」

女性   「・・・・わかっただけでイイです。私で何とかします」


我々は調べる事が仕事だ。依頼を受けていない余計な事は行わない。
我々は警察でもなんでもないのだ。
依頼された事柄を調査する探偵である。

冷たいように聞こえるかもしれないが、依頼者に追加の調査を
押し付けるワケにはいかない。
依頼自体は彼女が決めることである。


阿部   「緊急の場合は、こちらに電話して下さい。
      緊急の対応もできますから、それから、この件を
      しっかりと終わらせたいとお考えなら、弁護士さんに
      動いてもらって法的な解決を図った方がいいですよ」

女性   「弁護士さんですか・・・。少し考えてみます」


それから、4日後の事である。

依頼者であった女性から事務所に緊急の電話がかかってきた。

どうやら、自分で相手の男に事実を話し「今後近付くな!」と言ったらしい。
逆上したストーカー男は、彼女の元に現れたようだ。


田中   「代表、どうします?今、逃げてるって」

阿部   「そばに、警察関係はないな・・・。タクシーは?」

田中   「タクシーは?どうです?あっ、います?」

阿部   「乗らせろ」


事務所にいた調査スタッフは総員で現場に向かった。
女性との連絡は田中が行っている。

私はワタボンの黒のワンボックスに乗っていた。


阿部   「もう少し、早く走らないのかよ、この車」

ワタボン 「出ますよ。」


(ウヲォォォン!!!!)

(うわっ、コワイ・・・)


そして、女性の乗ったタクシーを発見した。

しかし、ストーカー男の姿は見当たらない。


阿部   「田中、お前はタクシーの後部座席に隠れて乗れ」

田中   「オ、オッス。俺の車は?」

阿部   「ワタボン、サザビーを連れて先入りし、周辺警戒。
      男を特定してくれ」

田中   「あのぅ、僕の車は・・・。」

阿部   「松!!逃げんな。お前は俺と田中の車で向かう」

松○   「一番、危ない位置じゃないですか・・・。
      だって、僕の役目は代表の盾でしょ・・・」

阿部   「いくぞ」


そして、先入りしたサザビーから、ストーカー男が非常階段で
待っているとの報告を受けた。

女性の乗るタクシーが停まると、ストーカー男は非常階段から
顔を一瞬覗かせた。

私は無線機を取り出した。


阿部   「サザビー達は先回りして上の階から押さえてくれ、
      俺らは下から行く。田中は彼女の前を歩いてガード」

全員   「了解」


私はマンションの裏に車を止め、塀を飛び越えた。
そして、足音を殺して、階段を上った。


田中(無線)「今、エレベーターに乗ります」


松○は、緊張して手が震えている。
そう、すぐそばにストーカー男がいるのだ。


田中   「今、エレベーターを降ります。・・部屋に近付きます」


(キキキキキ)← 非常階段のドアが開く音。


サザビー 「かかれっ!!!ヤロウども!!」

(バカッ、叫ぶなよ!!)

瞬間、男の左手から黒光りする刃物のようなものが見えた。

緊張が増す・・。


阿部   「左だ」


ストーカー男に飛びかかろうとした田中が瞬間、挙動を変えた。

ストーカー男は、3方向から人が出てきたことで動転している。

(今だ)

私は刃物のようなものを持つ手首をつかんだ。
それと同時に、足を掛けた。
男の体が宙を舞った。


ストーカー男 「うわっ!!」


続けて田中が飛びかかる。


田中   「うすドン!!!」

松○   「ホールドじゃい!!こりゃ!!」


ストーカー男は身動きが取れなくなっている。


ストーカー男 「ごめんなさい、ごめんなさい、イタイイタイ・・・」


そして、サザビーがストーカー男のもっていた刃物の様なものを拾って
私に渡した。


サザビー 「マジックの花がパッと出るヤツみたいよ」

阿部   「・・・・・ほんとだ・・・」

(ヤレヤレだ・・・)

その後、携帯電話型の発信機を仕掛けたことを男は自白した。




        完



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 ギリギリ探偵白書は、過去に行った調査を本人了承のもと掲載しています。
 尚、調査時期や調査対象者・ご依頼者様の個人情報は本人様の請求以外は開示いたしません。
 また、同作品に登場する人物名は全て仮名です。


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