ギリギリ探偵白書・7


 抜けるような青い空だ、雲一つない。
 人の人生において、一点の曇りもない、なんてことは無いのだろう。

 始まりは一通のメールだった。

 <娘が結婚する。相手の男を調べてくれ。>
 
 私(サザビー)は田中と組み、調査にあたった。

 男は、娘さんの会社の上司で、32歳。
 有名大学を卒業後、今の会社に就職。
 10年間、無遅刻無欠勤で、現在は部長。

 まじめな性格で周りの評判も良い。
 浪費するタイプではないようだ。
 人付き合い、家族関係も特に問題は無かった。

  
田中   「まじめなんですね」

サザビー 「おれか?」

田中   「違いますよ!彼ですよ」

サザビー 「けど、こういう人間ほど、何かあるんだぜ」

田中   「人をそういう風に見るの、やめたほうが良いですよ」


 調査も終了に近づいた日曜日だった。
 男の部屋から、一人の女性が出てきた。

 (ん?この女性は、いつ部屋に入ったんだ?)

 昨夜から部屋への出入りは無いはずだ。
 田中が単眼鏡で面を確認する。

田中   「あれ、本当に女ですかね?」

 私は、田中から単眼鏡を奪い
 女の顔にピントを合わせた。

 (・・・・・)

 女の格好はしているが、明らかに男である。
 そして、それは対象者本人であった。


サザビー 「おかま?ニューハーフ?罰ゲーム?」

田中   「アイ、ワズ、ゲイ!なんちゃって」


 仕事も学歴も問題のない男には女装癖があった。
 この事実を依頼者の娘が知っているかは不明である。
 この報告により、結婚がダメになる可能性もある。

 しかし、真実を報告するのが我々の仕事である。


        完



 メールマガジン「ギリギリ探偵白書」の復刻版です。

 ギリギリ探偵白書は、
 過去に行った調査を本人了承のもと掲載しています。
 尚、調査時期や調査対象者・ご依頼者様の個人情報は
 本人様の請求以外は開示いたしません。



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