ギリギリ探偵白書・235

 ギリギリ探偵白書
 「メシが美味いという事・第1話」



その日、私は定時より5時間早く出勤し、ホームページなどの作成をしていた。

(T.I.U.総合探偵社の定時は、午前10時から午後8時です)

なぜか私はクリエイティブな作業をしていると、甘いものが食べたくなる。

そんなわけで、事務所にある小さな冷蔵庫を開けると・・・・。

現像液や精液鑑定剤の他に、大量のドーナッツが所狭しと入っている。


(誰だ!!ドーナッツをこんなに入れたヤツは!!)


とりあえず、私は手ごろなドーナッツを手に取り、それを食べながら作業を続けた。


通常の出勤時間である午前10時に近付くと、まずは、代表代理のサザビーが
スポーツ新聞を片手に普段着で出勤してきた。


サザビー 「おう!!あべちゃん!!今日も早いね」

阿部   「おう!!」

サザビー 「さてと、・・・おっ!!ドーナッツじゃん。これ?食べていいの?」

阿部   「名前書いてないからいいだろう」

サザビー 「んじゃ、早速!!」


サザビーはココア風味のドーナッツを数個取り、食べながらパソコンで昨日の
横浜戦(ベイスターズ)をチェックし始めた。

続いて、調査主任のワタボンと新人の藤吉郎がやってきた。

この二人は、何の断りもなく、ドーナッツをほおばり始めた。


ワタボン 「おおぅ、これは中がイチゴだぜ」

藤吉郎  「んだ、こりゃ、ウマイッス」

ワタボン 「おう、どんどん食え。多分、代表に送られてきた差し入れだ」

藤吉郎  「代表さん、イタダキマッス」

(藤吉郎、拝まないでくれ。オレは神様でも仏様でもないから・・・)

藤吉郎は東北出身の新人探偵で、T.I.U.探偵養成学校の卒業生である。
地元の探偵社に就職していたが、その探偵社が倒産してしまったため
T.I.U.総合探偵社に契約社員として入社した。

なまりが抜けないためか、顔がサルっぽいからなのか「藤吉郎」と呼ばれている。

そして、老年中途採用探偵チョーさんと調査主任の田中がギリギリの時間にやってきた。

田中   「いえーい!!オレの勝ち!!」

チョーさん「なんじゃい!!バカにしおって!このブーが!!」

田中   「ブーとは、何ですか!!僕はただ太っているだけです。ブー」

チョーさん「内山君って名付けるぞ!!」

田中   「じゃあ、チョーさんは老いぼれって名付けますよ」

チョーさん「むむむっ!!電車で会ったが百年目!!いざ勝負じゃ!!」

田中   「受けてたちますよ!!何ですか!DSトレーニング勝負ですか!」

チョーさん「あっち向いてホイッ!!じゃ。DSトレーニングは好かん」

サザビー 「まぁまぁ、喧嘩しないで、これでも仲良く食いなよ。ホラッ、ドーナッツ!!」

チョーさん「おお、すまんね」

田中   「あっ!!誰が食っていいって言ったんですか!!それは、僕のですよ」

サザビー 「えっ?あべちゃんに来た差し入れじゃないの?」

阿部   「いや、冷蔵庫に入ってただけだぜ」

田中   「うわっ、藤吉郎!!お前、何個食ってんだよ」

藤吉郎  「・・・15個ッス」

田中   「あっ!!おれのストロベリー!!ワタボン!!返せ」

ワタボン 「・・・もう、グヂに入って・・・る・・・」

田中   「食いかけでも返せよ・・・」

(・・・ドーナッツぐらいで騒ぎやがって・・・うるさくて仕事にならん・・・)

田中   「うおおおお!!返せ!!」

阿部   「うるさい!!黙れ!!ボケ!!仕事しろ!!ドーナッツは、
      オレが弁償してやるから!!食いたいヤツは食え!!」

(シーーン)

阿部   「で?田中、このドーナッツはいくらだ?」

田中   「タダです・・・」

阿部   「もらったのか?」

田中   「ヤマト便の人が持ってきたので・・・」

サザビー 「誰宛だよ?」

田中   「・・・代表宛です」

サザビー 「ん?」

田中   「阿部さん宛ですよ!!依頼者さんから!!」

(シーーン)

阿部   「おう!!遠慮なく食っていいぞ」

藤吉郎  「オッス。。イタダクッス」

チョーさん「ホレ、見ろ、ブー、お前さんは、これだから、もてないんじゃよ」

田中   「・・・関係ないでしょ・・・」

(なんだか、田中が可哀想になってきた)


つい先日の事だが、以前の依頼者さんからホテルの食事券をもらった。
1枚しかもらわなかったので、一人で行くのもどうかと思って、使わなかったのだ。


阿部   「田中、ホイッ」

田中   「なんですか?食えないものは・・・、おっ、食事券!!」

阿部   「それで飯、食って来い」

田中   「代表!!いや、偉大なる将軍様!!一生付いていきます!」

阿部   「ああ、何でもいいから、静かに仕事しろよ」

田中   「お任せ下さい。今からサイレントモードですから!!はい」

阿部   「よし。みんなも仕事してくれ」

一同   「は~い(ほ~い)」


さて、こんな感じでやっと仕事が始まった。

(いつもこんな感じだ・・・。大丈夫か!? T.I.U.総合探偵社!!)

ワタボンとサザビーは藤吉郎を連れて、調査に向かい、チョーさんは単独で調査に向かった。
田中は急ぎ足でホテルへ向かった。

(・・・いつの間にかに私一人だ)

得てして、こういうときに依頼の相談はやってくる。
この時もそうだった。

(ルルルルルルルッ)←電話の呼び鈴


阿部   「はい、T.I.U.です」

相談者  「指紋ってどうですか?」

阿部   「は?」

相談者  「指紋です。指紋。指の指紋」

阿部   「ええ、指紋は鑑定できますよ」

相談者  「今すぐお願いします。では」

阿部   「は?おいっ!!・・・切れちゃったよ」



        続く



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 ギリギリ探偵白書は、過去に行った調査を本人了承のもと掲載しています。
 尚、調査時期や調査対象者・ご依頼者様の個人情報は本人様の請求以外は開示いたしません。
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