ギリギリ探偵白書・347


 ギリギリ探偵白書
 「見て見られて携帯電話・第1話」



 プルルルルルーーーー。


サザビー 「おい、急げ、電車閉まっちゃうぞ」

田中   「うおぉぉ、待ってくださーい」

サザビー 「お前が弁当選びに時間かけすぎだからだろ」

田中   「そんな事いったって・・・」

サザビー 「12号車ってドコだよっ!!」

田中   「ちょっ、ちょっ、サザビーさん」

サザビー 「いいから早くしろっ」

田中   「違うんですよ」

サザビー 「違わねぇよ!!」

田中   「違いますよ、電車が、コレの後ですよ」

サザビー 「・・・・・」

田中   「・・・まったく」

サザビー 「俺の走った体力を返せ!!」

田中   「こっちのセリフですよっ」


 その日は、地方での調査を終え、東京に戻るところだった。
 調査機材とおみやげの入ったカバンがズシリと重い。

 ホームにベンチを見つけ、腰を下ろす。
 田中は、すでに一つ目の弁当を開いている。


サザビー 「あと、ちょっとで電車来るんじゃねぇの?」

田中   「ええ、それまでに一つ、たいらげます」

 (早食い大会か!!)


 我々が東京駅に着くと、当然、迎えの車が来てるはずはない。


サザビー 「荷物も重いし、タクシー乗ろうぜ」

田中   「金は、どうするんですか?」

サザビー 「勿論、割り勘だよ、お前と会社で」

田中   「・・・払う気なしじゃないですか?」

サザビー 「おとなしく電車で帰るか」

田中   「そうですね、その前に腹ごしらえしましょう」

サザビー 「まだ、食うのかよ」

田中   「へ、だって朝から、あまり食べてないですから」

 (大食い大会かっ!!)


 電車を乗り継ぎ、事務所に戻ると、誰もいなかった。
 あべちゃんの机の上に、メモが残されている。

 「面談中♪帰るなよ」


サザビー 「見なかった事にするか・・・」

田中   「ええ、こう、風で飛んじゃったふうに・・・」

サザビー 「いや、書類が崩れてかぶっちゃったふうに・・・」

田中   「とにかく、面談が終わる前に逃げ出しましょう」


 コンコン。

 物音がした方を振り返ると
 あべちゃんがドアの前に立っていた。


阿部   「作戦会議は終わったか?」

田中   「作戦会議なんて、そんな・・・」

サザビー 「ほら、おみやげ買ってきたから」

阿部   「おお、ひよこ♪・・・って、東京土産だろっ」

サザビー 「ん、いらないの?」

阿部   「いるよ」

田中   「じゃあ、サザビーさん、オイトマしますか」

サザビー 「ですね。田中さん」

阿部   「いや、そうもいかんのよ。
      早速、調査に行って欲しいんだが?」

サザビー 「うっ、強度の時差ぼけが・・・」

阿部   「国内に時差はないぞ」

サザビー 「うっ、エコノミー症候群が襲ってきた・・・」

阿部   「襲ってこないよ。次は何?」

サザビー 「うっ・・・」

阿部   「ふっ、ネタ切れか」

サザビー 「失語症が・・・」

阿部   「しゃべってるじゃん」




        続く



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