ギリギリ探偵白書・362


 ギリギリ探偵白書
 「持ってるカネ・第2話」


 
 調査を終えた時には終電は終わっていた。
 始発で帰宅すべく乗った電車で、まさかの6時間爆睡。
 帰宅を諦め事務所に戻ると、待っていたのは桃鉄だった。



サザビー 「・・・仕事は?」

田中   「まあ、ボチボチやれば良いっすよ」

サザビー 「へぇ、ボチボチだってよ、あべちゃん」

田中   「ぐげっ!桃鉄なんかやってないっす、仕事命っす」

サザビー 「冗談だよ」


 その時、田中の背中越しに、事務所の戸が開くのが見えた。


田中   「まったく、鬼代表が湧いて出たのかと思いましたよ」

 (湧いて出てる途中ですよ)

 やはり、事務所に現れたのは、あべちゃんのようだ。
 しかも、意地が悪いことに、物音を立てずにいる。
 田中は背後の気配に、全く気が付いていないようだ。


田中   「さ、桃鉄やりましょう。鬼のいぬまにね♪」

サザビー 「・・・・・」

田中   「ん、どうしたんすか、早くやりますよ」

阿部   「仕事をか?」

田中   「何言ってんすか、桃鉄ですよ。モモ・・・ゲッ!!」

阿部   「ゲッ!って何だよ?やりましょう、桃鉄」

田中   「いや、僕は報告書をつくらねば・・・」

阿部   「ボチボチやれば良いじゃない」

田中   「いえ、そんなわけには・・・」

阿部   「じゃあ、桃鉄やらんの?」

サザビー 「鬼がいたら出来ないんだよな」

田中   「な、よ、余計な事を」

阿部   「ほう、鬼ね・・・」


 その時、電話がなった。
 

阿部   「ち、命拾いしたな」

 (命まで取る気!?)


 電話は、相談の電話だったようだ。
 そして、その日のうちに相談に来るらしい。
 私は、電話の途中で事務所を出た。
 
 1時間後、東山温泉から戻ると、田中が正座して仕事をしていた。


サザビー 「何やってん?」

田中   「サザビーさんのせいですよ」

サザビー 「あべちゃんは?」

田中   「面談です」


 それから、しばらくウトウトしていると賑やかに、あべちゃんが入ってきた。

 
阿部   「お~い、調査だぞ。ん、田中、どうした?正座なんかして」

 (アンタの指示では?)

 
 相談者は、詐欺に遭っていた。
 金を貸していた人間に逃げられたらしい。
 
 携帯電話の連絡が取れなくなったのは1週間前。
 どうやら、解約されているらしい。
 そして、教えられていた住所地に行ってみたが、そんな住所は無かった。
 当然、金を貸した男を見つけることは出来なかった。


阿部   「名前も偽名かもしれないんだよ」

サザビー 「なるほど、迷宮入りだな」

田中   「な、あきらめ早いっすよ」

サザビー 「写真は?」

阿部   「ない」

サザビー 「迷宮入りだな」

田中   「すぐに諦めない!」


 依頼者と逃げた男は婚約していた仲だったという。
 しかし、依頼者は男の部屋にも行ったことがなければ写真すら持っていない。

 本当に恋人関係だったのかも疑わしい。
 しかし、借用書だけはしっかりしていた。
 
 
阿部   「とりあえず、携帯の線から追ってみるべ」




        続く



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