ギリギリ探偵白書・207



 ギリギリ探偵白書
 「睡眠薬と潜入・第2話」


 
 睡眠薬を使ったレイプ犯。
 状況的には、対象者のやっている事は明白だが証拠がない。
 そこで、女性調査員に合コン潜入を命じた。



依頼者である女性にその男性が来る合コンの情報を入手してもらい、内部潜入から
食事、昏睡までの流れを行わせる事で、確証をつかもうと思ったのだ。


山本   「・・・私に行けって事?」

阿部   「まぁ、そういう事になりますけど・・・」

山本   「ひっぱたいてもいい?」

(ヤバッ・・・目がキレてる・・・)

阿部   「イヤなら、別のヤツに頼むから・・・」

山本   「アハッハッ・・・違う。その男を引っ叩いてもいいってこと」

阿部   「・・・おお、ビビッた。オレが殴られるのかと思ったぜ。
      ああ、ビンタでも○○蹴りでも何していいよ」

山本   「わかった。サポートよろしくね」

阿部   「ああ、言っとく」

山本   「あれっ?代表がサポートに入るんじゃないの?」

阿部   「田中がやるよ。おれは、先約があるから」

山本   「ブーがね・・・。まっ、いいわ。任せなさい」


やたらと度胸のいい、山本は女性部のエースであると同時に責任者だ。
調査では相手がヤクザであとうと、変質者であろうと、構わない。

そして、いよいよ合コン当日、内部潜入が行われた。
案の定、山本は接触に失敗した。

(気が強そうに見えるしね・・・)

しかし、山本は只者ではない。アネサン振りを発揮し、その男性のターゲットになって
いるだろう女の子から色々な相談を受ける立場になっていた。
わずか数時間である。報告を聞いた私もその潜入能力に驚愕した。


山本   「大丈夫、今、○○子は、何でも情報をくれるから、ブーに
      監視させて、証拠をおさえる手筈よ!!」

阿部   「おお、とりあえず、任せた」


その合コンから2日目の事。その男に狙われた女の子の元に食事の誘いがあった。
そして、田中を含めた調査チームが監視をする事になった。

この日、私は別の調査に当たっていたため、終了次第、現場に合流する事になった。

私が田中の報告から都内某所のアパートに到着した時には、その男が泣いて土下座していた。
男の前には、女性部部長山本が仁王立ちをして説教をしていた。

(私がいない間の経緯はこうだったようだ)

・・・・どうやら、女の子が化粧室に行っている間に、男は何らかの薬のようなモノを
飲み物に混入したらしい。
そして、その飲み物を飲んだ女の子は数分後深い眠りについた。

その時点では決定的な証拠をつかめなかったそうだ。
店内の混雑から映像に残せなかったようなのだ。
そこで、女性部部長山本が立ち上がり、いきなり男をひっぱたいた。

(多分、ボブサップも逃げ出すほどの勢いだったはずだ・・・)

田中は女の子の飲み物をサンプルとして採取した。
そして、男のカバンからビデオカメラ、アイマスク、同様の粉末などを発見した。

そこからは、女性部部長山本が鬼の様な形相で、男を連れ出し、男のアパートに
向ったという事だった。

田中からの連絡を受け、高速道路で向った私が見た状況は
左の頬が真っ赤に腫れ上がり、まな板を持たされながら
土下座して謝っている男の姿であったのだ。


山本   「おい、こらっ、お前は去勢しろ!!去勢して詫びろ!!」

(きっと、ボブサップも逃げ出すだろう恐怖の空間だ)

男    「ひぃぃ、ひっくぅ・・・それだけは・・・」

山本   「男ならちゃんと責任を取れ!!」

田中   「まぁまぁ、やまもっさん、自白してるし、ビデオテープも
      没収しましたし、あとは依頼者さんに任せましょうよ・・・」

山本   「だめ!!コイツは捕まったって、またやるんだよ。
      ここは、去勢しかないでしょ!!」

男    「ひぃぃ、ひっくぅ・・・それだけは・・・」

(・・・・とんでもない時に来てしまったようだ・・・。こういう時は・・)

阿部   「あのうぅ、山本さん。こういう時は、○が飛び散るんで
      ビニールシートを引いて、え~と、・・・ゴムか何かで
      血流を止めてから、ハサミか何かで・・・・」

男    「ひぃぃ、ひっくぅ・・・それだけは・・・」

山本   「・・・・」

田中   「・・・・」

阿部   「それで、一応、病院に連れて行って・・・」

田中   「それって、やった事あるんですか?妙に詳しいですが・・・」

阿部   「・・・あるわけないだろ。とにかく、帰るぞ」

山本   「・・・でも・・・」

阿部   「私的裁判の禁止。バイ日本国憲法。罰はお国が決めて
      罪は世間が決める。だろぅ?」

山本   「・・・・確かに・・・」


我々はその場を後にした。
後日、被害者の女性一人一人に、山本がビデオテープなどを返却した。

それから、数週間後、被害団が結成され、その男は訴えられたそうだ。

そう、罰は司法が決める。そして、罪は世間が決める。
探偵は調べるだけなのだ。




        完



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 ギリギリ探偵白書は、過去に行った調査を本人了承のもと掲載しています。
 尚、調査時期や調査対象者・ご依頼者様の個人情報は本人様の請求以外は開示いたしません。
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